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根尖病変は切開では治りません。

根管治療を専門でやっていると初診の患者さんでたまにいるのが、

腫れて近医に行った際に切開を行って治療をしたのに治らないというケース

 

基本的に根尖病変由来で腫れた場合は、切開をしても治りません

腫れて膿んだ原因は歯の中の細菌感染であり、歯の中の細菌除去を行わないと何度も腫れを繰り返します。

つまり、「切開」は膿がかなり溜った際に膿を外に出し減圧を行い痛みを多少和らげるぐらいの応急処置の1つです。

 

では、なぜ原因除去である根管治療をせずに切開で済ませるのか!?

 

こういったケースの多くは、長いポストが入ったコアが入っており、根管治療がしにくい場合が多いです。

 

今回の患者さん

40代男性 7~8年前から痛みがあり近医で切開治療を行った際に膿んで骨が溶けていると言われた。

 

レントゲン

2025EEdental URT (1).jpg

 大きな根尖病変が見られ、案の定長いメタルポストが入っています。

ただ、歯根端切除などは行っておらず根尖は破壊されていません。

*たまに患者さんは切開と表現されても「歯根端切除術」という外科処置がされている場合があり、この場合の予後は悪いです。

 

患者さんに一通り説明して、まずは根管治療でトライしましょうとなりました。 

  

長いメタルポストですが、このぐらいの長さであれば歯内療法専門医であれば問題無く除去可能です。

2025EEdental URT (2).jpg

治療は2回法で行いました。

この歯神経管は2本でしたが1本しか治療しておらず、手づかずの神経管はドロドロに汚れていました。

歯の中からも細菌が作る独特の臭いが部屋に充満します。(綺麗にすれば臭いは殆ど取れますが、患者さんは自分の歯の臭いでビックリする人もいます。)  

 

術後痛みも腫れもなく経過しており

2025EEdental URT (3).jpg

レントゲンでもだいぶ病変は小さくなってくれています。

かかりつけでクラウンを入れてもらう予定で治療終了となりました。

  

今回のケースは手づかずの神経管に細菌感染が起こり、結果膿んできたと推測されます。

つまり切開をしても原因の除去を行っていないので、何度も腫れたり痛んだりを繰り返します。

  

今回のケース、先日電話があり

「先生に作ってもらった仮歯が割れた&隣の銀歯も取れた」

と連絡があり5年ぶりに来院してもらうと

 

2025EEdental URT (4).jpg

根尖病変は綺麗に治ってくれていました。

仮歯が6年も持ったのは初ではないでしょうか(笑)

 

患者さんに「本歯は先生やって!」と言われたので6年越しにセラミッククラウンを入れることになりました。

 

仮歯は入れてから1~2年後には本歯にしてくださいね( ・ω・ ;) 

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