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歯を長く残したい患者さんへ「土台除去はリスク:大」
- 2025年5月23日 09:00
- 歯内療法日記
何度か書いていますが、個人的には
歯の治療で歯の寿命を縮めてしまう最大の因子は【歯科医師の治療】
「えっ、治す為に治療しているんじゃないの!?」
と思われますが、違います。
歯の治療=歯の寿命を短くする になります。
虫歯の進行と言うのは個人差がありますが、歳を取れば取るほどゆっくりになります。
しかし、歯科医師の治療というのは虫歯が数年かけて進む距離を2~3秒程度で削ってしまいます。
特に歯を大きく削るのは根管治療後に入れた土台を除去する際
患者さんの中には、歯科医師が入れたものなんだからレゴブロックのように簡単に外れるようなイメージを持たれている方もいますが、外れないように入れた物ですから、外すのは全て削って壊しながら除去します。
全て顕微鏡下でチマチマ治療している先生なら、どこからが人工物でどこからが天然歯の見分けは付きやすいですが、それでも微妙に健康な歯は削ってしまいます。
*たまにいるのですが、顕微鏡治療を受ければ健康な歯は削らない的なことをいう方いますが、「それは無理だって! アロンアルファーでくっ付けたもの綺麗に外せますか!?」(笑)
今回のケース
50代女性
歯周病健診で行った歯科医院で「根に膿がたまっている、今すぐ治療した方がよい」と言われ説明もないまま治療が始まり、クラウンとコアを外したら「抜くしかない」と宣告されショックを受けた。
全く症状も無かった歯だけに。。。
抜歯宣告をされて2か月後にEEデンタルへ
レントゲン
土台は外しているようなのですが、近遠心根に根尖病変+根分岐部にパフォレーションの疑い
ん~、経験上大きな痛みや腫れがない限りそんなに急いで治療する必要などはないと思うのですが・・・
根尖病変(膿)は慢性疾患であり、糖尿病や高血圧と同じように日に日に微妙に悪くなる病気です。
患者さんに残す方向で治療してみるか!?と話
治療スタート
治療1回目
パフォレーションが2か所あり、その部分の補修
裸眼で奥歯の土台を外すとこのリスクはかなり大きくなります。
*保険診療では仕方がないと思います、窓口負担200円程度でやる処置なのであまり時間はさけれません。(ホント治療費設定誤り過ぎだって!)
1本100万円の価値があるという歯を200円で治すって、ちょっと意味不明(100万円の軽自動車を200円で何直せますか!?と同じ)
治療2回目
腫れや痛みなどの症状もないことより根管充填+レジンコア+仮歯まで
ここから経過観察をして行きます。
術後1年
根尖病変は小さくなってきてくれていますが、根分木部の骨はあまり回復していません。
患者さんも仮歯で普通に生活出来ているとのことで、仮歯でもうしばらく様子をみることに
術後2年
根尖の透過像は小さくなったように見えますが、根分岐部の骨はあまり出来ていません。。。
経験上、根分岐部付近のパフォレーションは治すのが難しいです。
ただ、これって患者さんの不摂生で作ってしまった病気ではなく、治療で削り過ぎたことによる医原性の問題です。
今回のケース、問題無く2年使えており先日仮歯が割れてきてしまったので、そろそろ本歯に入れ替えをしようと思います。
日本の医療システムは優秀だと思いますが、歯科に関して言えば安過ぎの為に起ってしまう問題でもあります。
物事には適正価格があると思うんですけどね。。。(>。<)
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