Home> 歯内療法日記: 2010年5月アーカイブ

歯内療法日記: 2010年5月アーカイブ

第一大臼歯の外科的歯内療法

 

いつも前歯の症例ばかり出しているので^^;


たまには難しかった奥歯の症例を( ̄∀ ̄;)


動画:http://www.youtube.com/watch?v=i154hriQWmM


 

術前


根の治療を既に2回行っているそうなのですが、フィステルが消えず経過しているようで・・・

赤い丸の中にある白い物がガッタパチャー、赤い丸の辺りの骨は炎症で無くなっています。

 

1.jpg

 

再々治療をしてみると、

既に2回治療してあるだけあって根の先が大きく開いてしまっていました(*´Д`)=3



具体的に言うと、元々根の先端は大体0.3mmぐらいなのですが、0.9mmぐらいまで広がっていました。。。

ミリで言うと少しなのですが、円なので公式は『半径×半径×π(3.14)』になりますから、

直径が0.3mmの場合 半径0.15×0.15×π=0.0225π

直径が0.9mmの場合 半径0.45×0.45×π=0.2025π

 

ですから、3倍に見えても実は9倍の大きな穴が空いている訳ですε=(‐ω‐;;)

 

 

治療すれば治療するだけ歯の中はボロボロになるので理想を言えば1回目で決めるのが理想です。

私は基本的に根の先端が0.7mm以上はMTAで根管充填を行っているのですが、

東京の専門医のS先生にも基準を聞いた所だいたいそのぐらいと話されていました。


ただ、

MTAを詰めた歯は再根管治療は不可能なので、駄目なら外科処置(意図的再植術、外科的歯内療法、抜歯)になります(´∩`。)

 

セメントだけあって一度固まったものはほぼ除去不可能なのでケースはホント選ぶ必要があります。




今回の6番ですが、4根管全てMTAで詰めたのですが・・・

  

 

MTA根充.jpg

 

フィステルがまた再発 ハァ━(-д-;)━ァ...

(MTAが綺麗に入っても病変が治る訳ではない良い例ですね。。。)



と言うことで『外科的歯内療法』に踏み切りました。

逆に言うと外科的歯内療法の為に戦略的にMTAだけで根管充填しておいたのですが( 'Θ')ノ( 'Θ')ノ( 'Θ')ノ


こうしておくと上手く行く場合では根のカットだけで外科的歯内療法が終わり手術時間の短縮が図れる場合が。。。

ただ実際、カットだけでは終わりませんけどね^^;


今回のケースもカットして見ると根管と根管の間に細いフィン(溝)がありこの部位が感染現でしたので、音波で溝を削り、その溝にMTAを詰めました。


遠心投影するとフィンにMTAが入っているのが分ります。

レントゲンの白い横線。(赤⇒)

図1.jpg

 

 

        動画を使用すると

図3.jpg

説明をすると、

 

図2.jpg

でこの部分をフィンを溝を削ってしまいます。すると

 

フィン2.jpg

 

で、ここにMTAを詰めて

  

フィン3.jpgすると3ヶ月後・・・

 

 

2.jpg

 

見事に骨が出来あがってきました!!

 

手術後3ヶ月後

画像 0201.jpg

 

 

私の場合になりますが、外科的歯内療法で上手くいくケースに関しては大体3〜6ヶ月で骨が回復してきます。

術後6ヶ月


CI19.jpg

 

 

最近思ったのですが、「1年後にレントゲン撮りに来てね」と言っても殆どの人が来院していません。。。

まぁ、症状が出ていないからでしょうけど。

 

お願いだから来てね、「統計」取りたいので⊂(゜Д゜⊂【



3ヶ月、6ヶ月で骨がほとんど出来ており、上手く行っているケースばかりなのでさほど心配していないのですが、。。。


何かあれば必ず電話が鳴るはずだし、「まぁ、いいか」と




と言うことで今後手術を受けられる方は1年予後まで来てくださいね、ホントは3年予後も取りたいのですが。。。

(多くの統計が3年予後まで追っているので3年後のデーターも欲しいのですがね)



今回のケースもほぼ99%上手く行くケースだとは思いますが、1年後も来てね!!


MTA 外科.jpg  

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

樋状根2

前回に続きまた樋状根です。

http://www.youtube.com/watch?v=OzF-nOfpnvc

患者さんは抜髄を行ったのだが全く痛みが取れないということで来院されました。

原因はもう1本神経管が隠れていてそこが痛みの原因になっていました。

 

今回の歯を裸眼で行うのはちょっと難しいですし、下手に攻めの治療を行えば歯に穴を開け抜歯になるところでした。

 

患者さんの転院はたまたま『吉』となりました。

 

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

ファイルのテーパー

現在、イリゲーション(根管内洗浄)についてブログを書いているのですが。。。〆(・ω・。)

長くなりそうなので、まずファイルのテーパーについて、

 

イリゲーションを行う際に、根管形成と言うものが大切になるのですが。

(理由はまた書きます)

イリゲーション:歯の中を消毒液で洗うこと

根管形成:歯の中の神経を取り除き理想的な形態に整えること

 

その際、「テーパー」と言うものが1つのポイントになってきます( 'ノω')コッソリ

 

友人とも話していて、よく「テーパー」って何!?と聞かれるのですが、

私も以前はよく分らず単語を言っていました。(現在もそんな単語多いですが^^;)

 

簡単に言えば『角度』のことです。

テーパーの数字が大きければ大きいほど、角度が大きいと思ってください。

例えば、

ビールジョッキの様な左右の面が平行で角度のない形のものはテーパーが少ない

カクテルグラスのように下に向かい尻つぼみになっているものはテーパーが大きい

といった具合です (^―^)

 

で、ここからなんですが、

よく04テーパーとか06テーパーとか書いてありますが、正確に表現すると0.04テーパー、0.06テーパーです。(略すと04、06テーパーです)

数字が大きいほど角度は大きいと思ってくださいね(大切なので2度言いました_( ゚Д゚)ノ)

 

で、洗浄効率を上げるには角度をつけてやった方がよいとされています。

ビールジョッキではなくカクテルグラスを作った方が消毒液が還流しやすいということです(*Φ皿Φ*)ニシシシシ

 

日本では太く、太く削れとされていますが、今のエンドの流れはそんなに大きく削らない傾向にあります。

前にも書きましたが根尖、解剖学的根尖孔(黄色の矢印)は大きく開けない方がいいと思います)

理由は歯を削ることによる破折リスクの増大などがあり、あまり削らない方が・・・

ある程度削って、後は薬剤で神経を溶かしてしまうという方法もあります。

 

患者さんの違和感がある ⇒ 直に根管拡大 はパーフォレーションのリスクも上がります。

 違和感が長く続くケースなどを私に紹介してくれますが、ナイス判断だと常々思います!!((*´∀`))

 

また太いファイルは剛性が強く曲がっている根管を直線化していまい、「トランスポーテーション」や「ジップ」(本来の根管から大きく形態が変わってしまう)が起こりやすい、また湾曲根管では歯にそうとうな応力もかけてしまうので根尖(解剖学的根尖孔)を大きく開けるメリットはあまりない気が。。。(あくまでも私見ですからね^^;)

 

昨日治療した患者さんも前歯の根の先端が#80番(0.8mm)以上開いていました。

言い方が悪いですね、生理学的根尖孔が0.8mm以上ではなく解剖学的根尖孔が0.8mm以上開いていました。

(一般の方には難しいですね。。。 お知りになりたければ⇒http://www.gugule.nomaki.jp/ )

私的に言うと歯を破壊しているとしか。。。

 

では、話を戻して、

「どのぐらいのテーパーが良いのか!?」(-ι_- )

 

ちょっと前の話になりますが、

大体06以上のテーパーが必要と考えられています。

(実際もう少し必要だとは思いますが^^;)

 

もう1つテーパーをそんなに与えず、太く削る方法でも洗浄効率は上がります。

ただし#60以上の拡大が必要です。。。(彎曲根管には#60ほど剛性が強いファイルは届きません^^;)

 

では、この06テーパーの根管を作ろうとすると、

1、グレートテーパーのニッケル・チタンファイルを使用する。

2、ISO規格の02(0.02)テーパーのKファイルを使用してステップバックを行う。

の2パターンがあります(>ω・)ノ

 

06テーパーを作った根管の形は、

基準点(根尖)から10mm先の直径が0.6mm大きくなっています。

例えば根尖#35でテーパー06の根管だと10mm上の部分は#95なわけです。

 

ISO規格のKファイルなどは02(0.02)テーパーです、

根尖が0.35mm(#35)の場合、

根尖から10mm先の歯冠側では0.35mm+0.02mm×10mm=0.55mm(#55)

1mm歯冠側は0.35mm+0.02mm=0.37mmとなります。

0.55mm-0.35mm=0.2mm拡大 ←これが02テーパーなのです(* ゚,_っ゚)

 

分りずらいですね(*-ω-)

小林先生の本の図で、

一番右(C)の黒い筒が神経です。

必要最低限削っていこうとすると下が小さく上が大きなカクテルグラス上の形成が必要になります。

DSC01027.jpg

左の白い数字は長さを表しています。0mm、5mm、10mm

図A、ISOのKファイル(02テーパー)だと#60(0.6mm)のような極太のファイルを根の先端に入れた所で中間部から上の部分は削れきれません。

図Bは神経管の大体の太さとしましょう。下から#35(0.35mm)、#40(0.40mm)#45(0.45mm)・・・

10mm付近ではいくら太いファイルを入れても神経管は削りきれていない訳です。。。(*゚Д゚)φ))

ですから、ある程度角度をつけた形成が必要になる訳です。

 

では02テーパーのKファイルを使用した場合どのように形成すればいいのか!?(*・ω・)

例えば根尖を0.35(#35)まで開けたとしましょう。

根尖0.35(#35)から1mmずつフィル号数を上げた場合

1mm先 0.40(#40)

2mm先 0.45(#45)

3mm先 0.50(#50)

4mm先 0.55(#55)

5mm先 0.60(#60)

6mm先 0.65(#65 こんなファイルないですけど^^;)

7mm先 0.70(#70)

8mm先 0.75(#75 こんなファイルないですけど^^;)

9mm先 0.80(#80)

10mm先0.85(#85 こんなファイルないですけど^^;)

根尖から10mm上が0.85-0.35=0.5mm大きくなっています、これだと05テーパーなのです。

 

ではどうすれば。。。

1mm毎にファイルを上げるのではなく0.5mm毎にファイルを1つ大きくすると

0mm       0.35(#35)

0.5mm先   0.40(#40)

1mm先     0.45(#45)

1.5mm先   0.50(#50)

2mm先     0.55(#55)

・・・

書くのがメンドクサイので結論をd(・∀・*)♪

10mm先では1.35mm(#135)

根尖から10mm上では1.35mm-0.35mm=1.0mm大きくなりテーパーは10テーパー(0.10)になるのです。

 

ですから、ステップバックで根管形成するには根尖径が決まってから、0.5mmずつ作業長を短くして形成すれば10テーパーの形成が出来る訳です。

 

ただし非常にめんどくさい!!(ー△ー;)

 

で簡単に06テーパーを付けようとすればNi-Tiファイル

DSC01025.jpg

下から04、06、08テーパー(正確に言うと0.04、0.06、0.08テーパーです)

よく見ると微妙に太さが太くなっていると思います。ただこの3本の先端は同じサイズの0.25mmです。

この場合グライドパスをさせてから

下の写真のファイル2本で06テーパーの根管形成は済みますφ(・ω・ )

 

 

 結論

・06テーパーのニッケル・チタンファイルを使用する

・02テーパーのKファイルで0.5mmずつステップバックを行う

 

で次の洗浄(イリゲーション)に備える。 

 

理想的なこと書き過ぎていますが、少しでも理想的なアプローチをしながらラクをしようとすればニッケル・チタンファイルが必要になる訳です。

日本は売れていないみたいですね・・・ 

理由:。。。

世界的に一番売れているプロテーパーなどのファイルはマルチプルテーパーでファイルの場所によってテーパーが違うものもあります(´・ω・|||)

 

最後にテーパーとは関係ないのですが、ニッケルチタンを使用してもニッケルチタンは真円です。

また根管の多くは楕円ですから、ある程度大きく削らないと楕円は処理できません。

楕円の短径をきっちり処理するのか、長径まできちんと処理するのかでも根管形成は異なってきますので注意してください。

 

こんなデーターもあります。

        長径        短径

前歯    #120       #45

小臼歯   #80        #50

大臼歯   #150       #60

 

さすがに#150まで削るのは不可能ですね・・・(゜д゜)

ストリップパーフォレーションも起りそうですし 

 

以上、テーパーについて、親父にも分るように書いたつもりです(笑)

 

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

日本人に多い樋状根(といじょうこん)

樋状根の治療動画です。

http://www.youtube.com/watch?v=WUfP_LoT-jU

 

日本人の下顎第二大臼歯の2〜3割に『樋状根』という特殊な形態の神経が見られます。別名「Cシェープ」とも言われ「C」の字型をしていますが、治療は非常に難しく予後が悪い場合が多いのでより専門的なアプローチが必要になります。 今回の動画はその治療の流れです。

 

 

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

原因不明の外部吸収

歯内療法動画

http://www.youtube.com/watch?v=H1SCCEirq9k

 

レントゲン上で大きな影があり、その影の部分の根が吸収され無くなっていました。 今回の歯はトライケースでしたがMTAを使用することで何とか歯が残せました。

 

注)、血の映像が出てきますので気の弱い方は見ないでください^^;

 

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

下顎第一大臼歯の外科的歯内療法

歯内療法動画

http://www.youtube.com/watch?v=i154hriQWmM

 

根の治療を行ったのですが、根管治療では治癒せずに外科的歯内療法で歯の保存を行いました。 

 

注)、血の映像が出てきますので気の弱い方は見ないでください^^;

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

ストリップパーフォレーション

歯内療法動画

http://www.youtube.com/watch?v=ZDODkzJcmeQ

 

半年以上治療しても歯の違和感が取れないとのことで来院されました。 根の治療を行い過ぎて歯に穴が開いておりそこが原因で違和感が出ていたようです。 今回はMTAを使用してリペアの方を行いました。

 

違和感があると言って歯の中をけずってばかりしていると、歯に穴を開けてしまいます。。。

  • Comments (Close): 0
  • TrackBack (Close): 0

Home> 歯内療法日記: 2010年5月アーカイブ

購読
Powerd By

Return to page top