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ファイルのテーパー

現在、イリゲーション(根管内洗浄)についてブログを書いているのですが。。。〆(・ω・。)

長くなりそうなので、まずファイルのテーパーについて、

 

イリゲーションを行う際に、根管形成と言うものが大切になるのですが。

(理由はまた書きます)

イリゲーション:歯の中を消毒液で洗うこと

根管形成:歯の中の神経を取り除き理想的な形態に整えること

 

その際、「テーパー」と言うものが1つのポイントになってきます( 'ノω')コッソリ

 

友人とも話していて、よく「テーパー」って何!?と聞かれるのですが、

私も以前はよく分らず単語を言っていました。(現在もそんな単語多いですが^^;)

 

簡単に言えば『角度』のことです。

テーパーの数字が大きければ大きいほど、角度が大きいと思ってください。

例えば、

ビールジョッキの様な左右の面が平行で角度のない形のものはテーパーが少ない

カクテルグラスのように下に向かい尻つぼみになっているものはテーパーが大きい

といった具合です (^―^)

 

で、ここからなんですが、

よく04テーパーとか06テーパーとか書いてありますが、正確に表現すると0.04テーパー、0.06テーパーです。(略すと04、06テーパーです)

数字が大きいほど角度は大きいと思ってくださいね(大切なので2度言いました_( ゚Д゚)ノ)

 

で、洗浄効率を上げるには角度をつけてやった方がよいとされています。

ビールジョッキではなくカクテルグラスを作った方が消毒液が還流しやすいということです(*Φ皿Φ*)ニシシシシ

 

日本では太く、太く削れとされていますが、今のエンドの流れはそんなに大きく削らない傾向にあります。

前にも書きましたが根尖、解剖学的根尖孔(黄色の矢印)は大きく開けない方がいいと思います)

理由は歯を削ることによる破折リスクの増大などがあり、あまり削らない方が・・・

ある程度削って、後は薬剤で神経を溶かしてしまうという方法もあります。

 

患者さんの違和感がある ⇒ 直に根管拡大 はパーフォレーションのリスクも上がります。

 違和感が長く続くケースなどを私に紹介してくれますが、ナイス判断だと常々思います!!((*´∀`))

 

また太いファイルは剛性が強く曲がっている根管を直線化していまい、「トランスポーテーション」や「ジップ」(本来の根管から大きく形態が変わってしまう)が起こりやすい、また湾曲根管では歯にそうとうな応力もかけてしまうので根尖(解剖学的根尖孔)を大きく開けるメリットはあまりない気が。。。(あくまでも私見ですからね^^;)

 

昨日治療した患者さんも前歯の根の先端が#80番(0.8mm)以上開いていました。

言い方が悪いですね、生理学的根尖孔が0.8mm以上ではなく解剖学的根尖孔が0.8mm以上開いていました。

(一般の方には難しいですね。。。 お知りになりたければ⇒http://www.gugule.nomaki.jp/ )

私的に言うと歯を破壊しているとしか。。。

 

では、話を戻して、

「どのぐらいのテーパーが良いのか!?」(-ι_- )

 

ちょっと前の話になりますが、

大体06以上のテーパーが必要と考えられています。

(実際もう少し必要だとは思いますが^^;)

 

もう1つテーパーをそんなに与えず、太く削る方法でも洗浄効率は上がります。

ただし#60以上の拡大が必要です。。。(彎曲根管には#60ほど剛性が強いファイルは届きません^^;)

 

では、この06テーパーの根管を作ろうとすると、

1、グレートテーパーのニッケル・チタンファイルを使用する。

2、ISO規格の02(0.02)テーパーのKファイルを使用してステップバックを行う。

の2パターンがあります(>ω・)ノ

 

06テーパーを作った根管の形は、

基準点(根尖)から10mm先の直径が0.6mm大きくなっています。

例えば根尖#35でテーパー06の根管だと10mm上の部分は#95なわけです。

 

ISO規格のKファイルなどは02(0.02)テーパーです、

根尖が0.35mm(#35)の場合、

根尖から10mm先の歯冠側では0.35mm+0.02mm×10mm=0.55mm(#55)

1mm歯冠側は0.35mm+0.02mm=0.37mmとなります。

0.55mm-0.35mm=0.2mm拡大 ←これが02テーパーなのです(* ゚,_っ゚)

 

分りずらいですね(*-ω-)

小林先生の本の図で、

一番右(C)の黒い筒が神経です。

必要最低限削っていこうとすると下が小さく上が大きなカクテルグラス上の形成が必要になります。

DSC01027.jpg

左の白い数字は長さを表しています。0mm、5mm、10mm

図A、ISOのKファイル(02テーパー)だと#60(0.6mm)のような極太のファイルを根の先端に入れた所で中間部から上の部分は削れきれません。

図Bは神経管の大体の太さとしましょう。下から#35(0.35mm)、#40(0.40mm)#45(0.45mm)・・・

10mm付近ではいくら太いファイルを入れても神経管は削りきれていない訳です。。。(*゚Д゚)φ))

ですから、ある程度角度をつけた形成が必要になる訳です。

 

では02テーパーのKファイルを使用した場合どのように形成すればいいのか!?(*・ω・)

例えば根尖を0.35(#35)まで開けたとしましょう。

根尖0.35(#35)から1mmずつフィル号数を上げた場合

1mm先 0.40(#40)

2mm先 0.45(#45)

3mm先 0.50(#50)

4mm先 0.55(#55)

5mm先 0.60(#60)

6mm先 0.65(#65 こんなファイルないですけど^^;)

7mm先 0.70(#70)

8mm先 0.75(#75 こんなファイルないですけど^^;)

9mm先 0.80(#80)

10mm先0.85(#85 こんなファイルないですけど^^;)

根尖から10mm上が0.85-0.35=0.5mm大きくなっています、これだと05テーパーなのです。

 

ではどうすれば。。。

1mm毎にファイルを上げるのではなく0.5mm毎にファイルを1つ大きくすると

0mm       0.35(#35)

0.5mm先   0.40(#40)

1mm先     0.45(#45)

1.5mm先   0.50(#50)

2mm先     0.55(#55)

・・・

書くのがメンドクサイので結論をd(・∀・*)♪

10mm先では1.35mm(#135)

根尖から10mm上では1.35mm-0.35mm=1.0mm大きくなりテーパーは10テーパー(0.10)になるのです。

 

ですから、ステップバックで根管形成するには根尖径が決まってから、0.5mmずつ作業長を短くして形成すれば10テーパーの形成が出来る訳です。

 

ただし非常にめんどくさい!!(ー△ー;)

 

で簡単に06テーパーを付けようとすればNi-Tiファイル

DSC01025.jpg

下から04、06、08テーパー(正確に言うと0.04、0.06、0.08テーパーです)

よく見ると微妙に太さが太くなっていると思います。ただこの3本の先端は同じサイズの0.25mmです。

この場合グライドパスをさせてから

下の写真のファイル2本で06テーパーの根管形成は済みますφ(・ω・ )

 

 

 結論

・06テーパーのニッケル・チタンファイルを使用する

・02テーパーのKファイルで0.5mmずつステップバックを行う

 

で次の洗浄(イリゲーション)に備える。 

 

理想的なこと書き過ぎていますが、少しでも理想的なアプローチをしながらラクをしようとすればニッケル・チタンファイルが必要になる訳です。

日本は売れていないみたいですね・・・ 

理由:。。。

世界的に一番売れているプロテーパーなどのファイルはマルチプルテーパーでファイルの場所によってテーパーが違うものもあります(´・ω・|||)

 

最後にテーパーとは関係ないのですが、ニッケルチタンを使用してもニッケルチタンは真円です。

また根管の多くは楕円ですから、ある程度大きく削らないと楕円は処理できません。

楕円の短径をきっちり処理するのか、長径まできちんと処理するのかでも根管形成は異なってきますので注意してください。

 

こんなデーターもあります。

        長径        短径

前歯    #120       #45

小臼歯   #80        #50

大臼歯   #150       #60

 

さすがに#150まで削るのは不可能ですね・・・(゜д゜)

ストリップパーフォレーションも起りそうですし 

 

以上、テーパーについて、親父にも分るように書いたつもりです(笑)

 

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