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歯内療法日記: 2014年5月アーカイブ

歯を残す為の治療法の選択(根管治療or外科的歯内療法)

術前 右下6 左下7

EEdental hir (1).jpg

 

左下は2カ月前に抜髄をしたものの痛みが取れず、同じ先生が2回目の根管治療中だったのですが、

先生に「痛みが引かないのでもうこれ以上治療は出来ない、抜歯する」と

言われたそうで、根の治療のことをネットで調べEEデンタルへ来院されたそうです。

  

また運の悪いことに、左下の治療中にも関わらず右下6が原因で歯茎が大きく腫れ痛みも出てしまっています ( ̄∀ ̄;)

 

 

とりあえず、右下の腫れは抗生剤を飲んでもらい落ち付けさせてその間に左の治療中の歯から着手しました。

 

 

左の下の奥歯は日本人に多い『樋状根』

http://eedental.jp/MTOS/cgi-bin/mt-search.cgi?search=%E6%A8%8B%E7%8A%B6%E6%A0%B9&IncludeBlogs=4&limit=20 

 

この歯の神経の形態はかなり複雑で教科書的なパターンが通用せず、1本ずつ顕微鏡で手探りで治療を行います(;・д・)

 

その証拠にレントゲン上では一度目に入れたガッタパチャーのカスがイスムスという非常に細い隙間に入り込んで取れていません。

 

*イスムス:http://eedental.jp/ee_diary/2011/11/post-276.html ←かなり長文

 

 

左下は難易度の高い歯だったんですが、治療後2週間もすると痛みが納まり2日目の治療時には最終的な薬を入れることができました。

 

根管治療は闇雲に行っても治りません、原因らしき場所を見つけそこに対してアプローチする!d(・ω・ )

(書けば簡単なんですが・・・)

  

治療後1年(被せ物はかかりつけの歯科医院で)

EEdental  (4).jpg

綺麗に病変は無くなり、痛みなどは一切ないようです。(左下を治療したことも忘れていたぐらい順調です)

 

 

 

さてさて、問題は右下

EEdental hir (2).jpg

一般の方に見やすいように病変部分を黄色くしてみましたが、

1つの病変は根の横に出来てしまっています。

 

また、レントゲンの白い線(GP)も中央ではなく右の方へシフトして、

前回の根の治療で本来の神経管とは違う部分を削って治療をしたことがうかがえます(p・Д・;)

 

 

こうなった神経管と言うのは本来の神経管の部分の掃除と言うものが困難で、論文によると40%程度成功率が下がってしまうようです。

 

根の治療は何度も行えません、また治療の度に前の術者が作ってしまった問題も同時に解決せねばなりません。

最後の根管治療 : http://eedental.jp/ee_diary/2014/05/post-956.html  

 

つまり私が再び通常の根管治療をしてもこの歯は治る見込みは少なく、他の方法を考えねばなりません(ノω` )ノ

そこで提案したのが外科的歯内療法:http://www.eedental.jp/surgery.html 

 

 

患者さんのOKをもらい外科を行うこと1年

EEdental hir (3).jpg

綺麗に 骨が出来上がってきてくれています。

 

 

結果ことして、この歯も奇跡的に保存することができました! (´・ω・)ノ

 

歯を残す為の診断と戦略が歯科では大切なポイントです

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戦略的に行う歯科治療

1本治療後

EEdental ni (1).jpg

治療していますが、分かりますか!?

分からないように治しているのですが・・・(;´・ω・)

 

 

 

実は、

1.jpg

赤丸のゴールドインレーの中に大きな虫歯があり、レジンで治療を行いました。

 

少し大き目の金属+中が虫歯なので一般的には金属修復なのかもしれませんが、

私が出した方針は他院での根の治療中の歯が保存できるか分からないので、

後で金属修復に変えれるようにしながら一度レジンを詰めるというものでした。

 

 

患者さんは歯医者の先生でしたが、2分話し合ってOKをもらいました(っ・∀・)v

(何の治療法がいいのかなどは、先生毎に違いがありますが、かかった先生の得意な方法で治療を受けられた方がいいのは事実です) 

 

 

その後、他院で治療中の一番奥の歯を引き継いで治療を行い

EEdental ni.jpg

3か月後、腫れも、痛みもなく順調に経過しているようで、うっすら骨が出来てきているような所見も出てきています。

 

ただ、この歯パーフォレーション(歯に穴)も見られ、GPが突き抜けています。

(個人的には一番奥歯の根管治療などには顕微鏡はマストアイテムだと感じています)

 

その人為的な問題出たら戦略的に意図的再植術で治療しますと、2段構えの治療で根管治療を行っています。

 

何とか外科なしに綺麗に治ってくれるといいのですが!(>ω・)ノ

 

 

 

 

『歯を残す為に色々なことを考え最善の方法を提示する』

言葉にすると簡単なんですが、意外と難しいものなんですよ(´-ω-`;)ゞ

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最後の根管治療

歯の神経を取る根管治療は、1回目の治療が非常に重要でその治療によって

長く使える歯になる、近い将来で抜歯になるが決まってきます(・ω・ノ)ノ

 

患者さんの殆どの方はこういう事実をしらないままに治療を受けられていますが、

知っている方は、神経の治療になる可能性があると分かれば根の治療の得意な専門医にかかるようになってきています(`・∀・)ノ

 

 

また1度目の神経の治療がうまく行かないと、細菌感染が起こってしまい、腫れたり、歯茎から膿がでてきたりします。。。

 

患者さんに知っておいてもらいたいもう1つのポイントは、こうなってしまった感染根管は後、治療出来て1~2回ということです(p・Д・;)

 

AAE(アメリカ歯内療法学会)の会場でも根管治療は出来て3回で打ち止め次は抜歯になると多くの専門医の先生が感じられています。

またケースによっては2回目の根管治療で治療の打ち止めとなり、3回目の根管治療は出来なくて抜歯になる歯もあります。

 

 

成功率で見れば、

根の治療は1回目より2回目、2回目より3回目と治療の度に成功率が下がります。

 

患者さんからしたら、全て同じ条件の歯で治療しているように思われますが、同じ条件で治療をしている訳ではないのですヽ(´Д`ヽ)

 

つまり1回目の治療が失敗に終わった場合、もうその歯は崖っぷちの所まできていると考えられた方がいいのですヾ(・_・;)チョット‥

 

 

今回の患者さんは過去に根管治療を2度受けられ治らず、検診の際に大きな膿の袋があると指摘され来院された方でした。

 

術前、綺麗なセラミックが入っていたのですが、大きな病変がありその影響で歯の吸収も起こってしまっていました。

 

EEdental um.jpg

個人的にはこういったケースは成功率がなお低くなる気がしていますが、治療をして1年経過した所でレントゲンを撮ってみると綺麗に治っているのが確認できます(`・∀・)ノ

 

根の治療は、非常に奥の深い分野の治療で、自分の歯を長く残すことができるか?の治療になります。

 

 

根の治療の歯科医院選びは、

先生の知識量(科学的な考え方)、技術(最後は歯科医師の腕です)

歯科医院の設備・道具 ラバーダムマイクロスコープ隔壁(レジン)、CT 

でしょうか。

 

まぁ、手っ取り早いのは根の治療だけを専門に行っている先生の歯科医院(と言っても大都市にしかありませんが・・・(ーДー;))

に行ってもらった方が上手な先生に巡り合える確率は高くなりますよ。

注意:根の治療後他院で被せ物など作ってもらう必要があります。

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歯の神経を取らない為の『歯髄』の勉強

週末、珍しく岐阜駅の方へ行ってきました。

(岐阜はホスダル以来ですね。 http://eedental.jp/ee_diary/2012/03/post-480.html )

 

 

今回の講演は『象牙質・歯髄複合体』のテーマで、その道の第一人者の興地教授の話でした。

DSC00136.jpg 

また、臨床的にはレジンと歯内療法の中間の話でしたので、この2つを主に治療を行っている私には非常に勉強になりました。

 

歯髄の診断というのは非常に難しく、神経を残すのか?神経をとるのか?と言うのは術者の知識・経験に大きく依存するものです。

また神経を残した場合、その後の細胞の活動や痛みが出た際に神経内で起こっている細胞の現象など見えない部分で何が起こっているのか理解しておくのも大切なことだと思います。

 

 

今回の俺ノート

・根管治療を行った歯の8年経過後の生存率:97% (n=1,462,936)

 salehrabi&Rotstein J Endod 2004

(生存率とは口の中に歯があるかの判断です、病変があっても口の中にあれば成功とカウントしています)

結局、インプラントの成功率も殆ど生存率で見ているので、根管治療した歯でも多くの場合で口の中に残っていることになります。

 

 

・歯髄診断

患者さんの痛みの種類、感じ方によって診断を下し病名を付けるが、痛みと病理所見は一致しない。

痛みの有無と歯髄の健康状態は一致しない (Seltzer et al 1963)

ここなんですよね、痛みがあっても神経を取らなくていい場合もありますし、痛みが無くても神経を取らなくてはいけない時もある。

50年前からこの分野の優れた診断ツールは出ていないんですね・・・  開発を希望します!

 

 

・歯髄に対する刺激

1、切削刺激

2、充填材料による刺激

3、マイクロリケージ(削った面の象牙細管から細菌感染)←ここに大きな問題があるのでは!?

興地教授も可能なら間接法より直接法で象牙質をなるべく汚染させない方がいいと言っていましたね。

私も唾液感染が避けれない間接法より、その日のうちに象牙質を封鎖してしまう直接法の方がいいと思っています。(だからレジンなんですよ(笑))

 

 

・遊離エナメル質の積極的な除去は不要(現在教科書にもこう書いてあるそうです)

私が大学で習ったのは遊離エナメルは弱いそうなので削って取りなさいと教育されました。

 

 

・1液性のボンディング剤はドレッシングと同じで、分離しているものもあるので使う前によくふる。

 

 

・レジンの光の当て方:LowからHigtのように最初は「弱」途中から「強く」

 (レジンの収縮補正)

 

 

・電気歯髄診断 神経のAβ繊維が反応してC繊維は反応しない

また、結構ノイズの多い検査法であり、これだけでの診断は危険! 歯質の厚みにもより偽陰性が出るそうです。

 

 

・非定型歯痛 歯内療法が行われた歯の3~6%に出現 40代女性、上顎臼歯部に好発 

Melis et al 2003

 ロンドンなどでは12%との報告もあるが、興地教授曰く都会の方が出現率が高いのではないかと話されていました。

(私も思いますが、都会ほどストレスはかかりますし、精神的にも疲れる環境にある為ではないでしょうか!?)

 

 
・シールドレストレーション(虫歯を取り残したまま緊密な充填を行い細菌を生き埋め状態にする)でう蝕は進行停止する。
Maltz et al 2002  、 Oliverira et al 2006 

 

 

・「暫間的間接覆髄(AIPC)」と『シールドレストレーショ』 成功率が高いのは『シールドレストレーション』

興地教授の話ではこの理由は、AIPCを行っても2回目のリエントリーに来院がない患者さんがいるの成功率が下がるそうです(笑)

まぁ、3か月後に来てと言っても症状無くなっていれば患者さんの来院は1/3はないですわね。

注意:暫間的間接覆髄法、IPC法(Indirect Pulp Capping)、非侵襲性歯髄覆罩法(AIPC)、stepwise excavation(段階的感染歯質除去)全て同じような意味だそうです。 

 

 

・暫間的間接覆髄と虫歯を1回で全て除去する方法 での歯髄保存

1年予後での成功率 暫間的間接覆髄 74.1% 一括除去 62.4% 

Bjorndal et al. Eur J Oral Sci 118: 290-297 .2010

 

 

・レジン充填の際の間接覆髄剤(水酸化Ca)は不要

(水酸化Caの種類によっては将来死腔ができるとも聞いたことがあります)

 

 

・直接覆髄法の隠れた目的は歯髄内の幹細胞の保存

 

 

・直接覆髄法の成功率 ≦80%

偶発露髄、外傷は成功率高い

う蝕病巣内の露髄 成功率低い

歯頚部露髄より髄角の露髄の方が成功率が高い

 

 

・歯髄再生:動物実験では成功してきている、ようやく人での地検に入る時期だそうです。

 

 

自分なりに収穫の多い1日でした。

 
  

 

 

セミナー帰っからてきて、ある要件でたまたま歯医者の友人と電話で話していたら、

「1日歯髄の話し聞いてきた!? お前の聞きに行く講義はマニアック過ぎる!」と

 

 

考えてみれば、かなりマニアックな話を1日聞いていたなと(笑)

 

 

不況の歯科業界、お金儲けの勉強会もたくさんありますが、私的にはこういう話もいいと思うのです。

 

 

『歯を残す為の勉強』 or 『歯が無くなってからの治療の勉強』 

先生の診療スタイルが如実に出る所ではないでしょうか!?

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奥歯のレジンが割れた! でもすぐに治るのがレジンの良い所!!

だいぶ前に書いたブログ

http://eedental.jp/ee_diary/2012/08/post-577.html 

EEdental oo (3).jpg

全く答えを書かないまま終わっていました(笑)

 

正解は左下6でしたヽ(´∀`ヽ)

EEdental oo (1).jpg

今見ても綺麗な治療がしてあり、安心、安心!

EEdental oo.jpg

 

 

 

で、2年経過経過した先日

「先生、奥歯がかけた!」とメールがあり(p・Д・;)

 

今日、実際診察してみると、

EEdental oo (5).jpg

赤丸の部分

 

「OK,OKこれだったらレジンでリペアしましょう!」

「その方が歯に対するダメージ少ないですしね!」( ゝω・)ノ

 

セラミックインレーとは違い同じ材料でリペア出来るのはレジンの強みですね!

セラミックは物性が安定しているので、割れた部分にレジンをくっ付けリペアするるのも一苦労です。。。

割れた陶器のお皿をくっ付けるようなもので、なかなかくっ付きません(・ω・、)

 

 

 

ちょちょっと、リペアすること20分綺麗にリペアが終了!

 

推測するには以前入っていたスライスカットインレーの窩洞の影響だと思えました。

(スライスカット部も現在は、ちょっとしたテクニックで割れにくくすることは可能だと感じていますが、でも割れてきやすい形態です。。。) 

右下のレントゲンを見てみると、

EEdental oo (4).jpg

手前のゴールドクラウンの歯の根の方も綺麗に治ってきているのが見られました。

(パフォレーションギリギリの歯質でかなり神経をとがらして治療した覚えが・・・)

 

 

この患者さんは実は歯医者の先生でしたが、先生曰く

「こういった地味な神経の仕事の凄さは、同業しか分からないよね!」

と、

  

 

セラミッククラウンやダイレクトのように、大きく印象が変わる治療も好きですが、

私は患者さんに見えない部分の治療こそ歯の寿命に直結するので大切にしたい部分だと思います(>ω・)ノ

 

 

 

まぁ、その辺が玄人受けしてもらえる治療なんだと思います(笑)

ina.jpg

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レジン・フル活用術

奥歯に銀歯が見られます。

EEdental mor (1).jpg

私は今このぐらいの銀歯であればレジンで修復を行っています。

(強く咬む人などは適応症になりませんが、約9割近くの歯でこのレジン治療しています((・ω・)ノ)

レジン治療:http://www.eedental.jp/resin.html 

 

白くセラミック治療で治したいとなると今回のケースは、「セラミックインレー」が 代表的な治療になってきます。

ただ、今現在、私はこの治療は行っていません(・д・;)

 

 

技工士とも何度も話し合いましたが、

やはりセラミックインレーの適合精度を上げるのは健康な歯を大きく削る必要がある。

適合を上げるのは、かなりシビアな形成(削り方)が求めれること。

(非常に滑らかに削る形成テクニックも必要になります)

 

被せ物(セラミッククラウン)よりかなりハードルの高い治療なんです┌(。Д。)┐

 

歯を大きく削る方法に疑問を感じつつ、

反面レジンの術式がある程度自分の中で確立できたこともあり、

セラミックインレー治療の選択肢を持たずに済むようになり止めたという経緯があります((((((((((/・ω・)ノ

  

レジンとセラミック違い『変色と着色』

http://eedental.jp/ee_diary/2013/02/post-716.html 

 

 

 

今回のケースは奥から2番目の歯の神経の治療がしてあり、根尖病変(膿)も見られた為に根の再治療も行う必要がありました。

EEdental mor (2).jpg

 

と言っても私は根の治療の方がどちらかと言えば専門なので( ´∀`)・ω・) ゜Д゜)・∀・) ̄ー ̄)

 

戦略的な隔壁を作り根管治療を行い全体的に白く自然な感じに修復を行いましたヾ(´・ω・`)

 

術前 ⇒ 術後 

EEdental mor (3).jpg

  

左下の根管治療後は

EEdental mor (4).jpg

どうやら根尖1/3に側枝があったようで、その部分まで綺麗に治療が終わりました。

 

この歯は削った歯の足りない部分だけレジンを詰めて補うビルドアップ治療で治療をおこないました。

http://www.eedental.jp/buildup.html 

 

 

神経の治療+レジン治療は健康な歯の保存が可能です!

こんな流れで治療します『10分動画』

(長いので1分で理解したいせっかちさんは ⇒ 最初の30秒から~60秒まで、終わりの12:50~13:07秒まで  )

 

 

治療前と治療後見分けがつきますか!?

今後は、根管治療した歯の骨の治りをみて行きます(^ω^ )/

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