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歯内療法日記: 2020年9月アーカイブ
顕微鏡がないと出来ない根管治療ケース
- 2020年9月26日 09:19
- 歯内療法日記
患者さんは40代女性
10年前から診させてもらっている患者さん
右下に痛みが出てきた為EEデンタルへ
来院時も痛いとのこと
レントゲン
過去に何度も根管治療を行ったようで、太い根管充填剤と太いコアが見られます。
過去のレントゲンは問題なかったのですが、来院時には根尖病変(赤丸)が見られます。。。
(根の病変も縦長で遠心側に少し影が偏っています)
これだけ太く削ってあると外科的歯内療法で攻めてもいいかもしれませんが、
患者さんと話し合って通法の根管治療でスタート
太いGPを除去すると根の先が「Y」字に分岐しており、
遠心側の出口を穿通すると、ドバドバ膿が出てくる。
基本「オープンにはしない派」なので膿が止まるのをずっと待つ
*治療時間内なら1時間でも待ちますが、次の患者さんがいればオープンにして帰ってもらい次の日に仮封します。
今回のケースは30分後膿の勢いも弱まり、消毒を行いこの日は終了
1か月後の治療2回目
たまに違和感はある程度で痛みや腫れはないとのこと
MTAにて根管充填を行い土台+仮歯までSet
2本の分岐した穴に綺麗に入っています。
そこから1年3か月(遠方の患者さんでコロナの為来院出来ず)
症状もなく根尖病変も綺麗に治ってくれています!
これだったら大丈夫でしょう(^ε^)
今回のようなケースは顕微鏡がなければ・・・
僅か1mmしか離れていない場所に出口が2つある場合
裸眼での発見はまず無理です。
この場合、最悪腫れが収まらず治療が治療が長期化した恐れはあります。
歯科医院を選んでもらえれば、顕微鏡での拡大視野での治療で
【20年前では出来なかった細部の治療】が出来る時代になっています。
実際自分が治療をする際には顕微鏡はマストですね!
顕微鏡がなければ今の私の治療は成立しないのでEEデンタルの顕微鏡が壊れた日には診療はお休みさせて頂います(笑)
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その手術必要!?【穿通なし ⇒ 外科的歯内療法!?】
- 2020年9月23日 09:12
- 歯内療法日記
痛みが続くという40代の患者さん
レントゲン
第一大臼歯6番のMB根に根尖病変が見られます。
後に7番の痛みも出てしまい歯髄保存治療を行いました。
根管治療を行いましたが、各根石灰化で根尖まで届きませんでした。。。
因みになんですが、歯内療法専門医と言っても
スタイルは様々で診断も異なります。
以前AAE(アメリカ歯内療法学会)で講演を聞いたアメリカの歯内療法の先生は
根尖病変(+) 根尖まで穿通(-)の場合
外科的歯内療法で根尖病変を取り除くそうです。
私の歯内療法専門医としてのスタイルは、
根管治療後6カ月~1年ぐらいまって外科的歯内療法が必要か判断します。
多くの患者さん、多くの一般開業の先生は
【根の先まで治療しなくて大丈夫か!?】
こう思われると思います。
この話は、講演用スライド
根の先まで掃除出来た場合は成功率が90%とありますが、
根の先まで治療しなくても、開けれた所までを徹底的に綺麗にすれば69%の治癒報告もあります。
私は成功率が30%と言う処置であれば、次の処置も早々に考えますが、
成功率が60%以上あれば待つことをチョイスします。
とりあえず開けれる所までを綺麗に清掃
根管充填は軟化ガッタパーチャー
*MB根のイスムスも綺麗に除去しています。
因みに、講演スライドの右上のレントゲンのように
Hファイルなどでゴリゴリ削って本来の神経管とは違う場所に穴を開け、
そこが感染した場合の成功率50%以下・・・
と本来の根管とは違う場所に穴を開けると、更に問題を作ってしまいますので注意が必要です。
*つまり無理に削ることは害でしかない
歯内療法専門医は、どのようなチョイスをすると成功しやすいか!?
どのようなことをしてしまうと都合が悪く、成功に導けないのか!?
などを知って治療を行い成功率を上げます。
今回のケースの患者さん
今月に入り本歯を作りたいと来院されたのでレントゲンを撮らせてもらうと、
病変は綺麗に治っており、これであれば外科的歯内療法はせずにすみそうです。
ただ2年半も仮歯は止めてね・・・
仮歯の目安は1年~1年半
私は外科は積極的なタイプの専門医ではなく根管内で治したいタイプの専門医です。
が、
実は、今月1件全く同じように穿通出来ず、病変が治るかみていたのですが・・・
違和感が出た後に腫れてきてしまい外科的歯内療法を行いました。
http://www.eedental.jp/endo.html
このケースはまたの機会に報告します。
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違和感のある前歯の根管治療
- 2020年9月18日 09:03
- 歯内療法日記
患者さんは30代女性
前歯に違和感があり、根の先の病変を指摘されEEデンタルに
現在の症状は体調の悪い日に痛みが出るとのこと
レントゲン
外に飛び出たGPの周りに広がる縦長の病変
稀にGPに細菌が住み着いていることもあり、この場合外科的に取り除く必要が極稀にあります。
ただ、この割合は非常に低くまずは歯の中を綺麗にする治療から
仮歯を準備しておき1回法で
やはり根尖は大きく開いておりMTAプラスで根管充填
その後、仮歯で経過観察
術後1年、症状も無くなりました。
その間に他の虫歯+ホワイトニングを行い
クラウンSet
歯根が黒く変色していた為、歯肉が多少暗く見えます。
これは過去に金属性の土台を入れたことにも関係していると思います。
*なるべく歯を綺麗に治したい方はあまりメタルコア使わない方がいいですよ。
歯がある程度残っていればレジンコアで十分です。
とは言え、この部分は唇に隠れる部分なので、話したりする際にも他人には分かりません。
「歯の保存」と元の状態に近い「審美修復」、またそこに元の状態に近い「機能」を
1本の歯に付与するのは非常に難しい。。。(T。T)
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外部吸収治療から12年
- 2020年9月15日 09:16
- 歯内療法日記
開業してちょっとした頃に来院された当時30代の患者さん
病院に務められてそこの口腔外科で11年前に抜歯宣告を受け
EEデンタルに来院された方
「原因不明の外部吸収ケース」
歯の中からと外科処置を併用させてもらい保存処置を行いました。
その時の治療動画
何故か口蓋根が丸々吸収してしまっており、吸収部分から排膿
1年後膿も止まり骨もしっかり出来ていたのですが・・・
2020年
「また依然と同じ感じになってきた」と連絡があり
レントゲンを撮らせてもらうと、2008年の初診時と同じ感じに・・・
近医の先生に抜歯した方がいいと言われており、最後に確認したいと来院されました。
歯肉の状態や膿の状態、歯の吸収形状から、私も「抜歯した方がいい」と判断させて頂きました。
患者さんには「治療を行い10年持ってくれた」と言われましたが、
ホント、歯の保存は難しいとつくずく感じる。。。(>。<)
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虫歯治療後に大きく腫れ抗生剤の点滴
- 2020年9月 8日 09:08
- 歯内療法日記
患者さんは10代女性
1カ月半ほど前に近医で虫歯治療(レジン)を受ける
お盆に驚くほど顔が腫れてきた為、歯科口腔外科を受診
口腔外科でPerによる骨炎と判断され、抗生剤を点滴で投与
同時に腫れた歯茎を切開し膿を出す為ドレーン挿入
*腫れが大きい場合の緊急処置になります。
3日後には腫れは収まり、口腔外科の先生にEEデンタルを紹介される。
来院時
綺麗にレジンが詰めてあります。
が・・・、
レントゲン
赤丸:部分に骨の溶けた所見(今回の腫れを起こした部分)
紫の丸:レジン治療がしてありますが、中はがっつり虫歯が残ったまま・・・
黄色の丸:前の歯にもかなり大きな虫歯が・・・
さて、どうする!?
患者さんとお母さんに説明を行い
第一小臼歯はAIPCを行い歯髄保存を試みる(ダメなら後で抜髄)
第二小臼歯、神経の治療+土台+レジン充填(一回法)
今回の腫れは虫歯の大きかった部分を触ったことにより、神経が死んでしまい起こってしまった為と推測できますが、
個人的にはですが、どうせ治療を行うのであればきちんと虫歯は削っておきたい派です。
術前⇒術後
側枝から感染が外に出たようで、側枝部分にシーラーが入っています。
治療時間:2時間
次回前の歯のAIPC(非侵襲性歯髄覆罩法)と第二小臼歯近心(*)のレジン治療を行います。
(*)歯の強度の低下を考え近心辺縁隆線の保存を行います。
虫歯の治療を行うと、何本かに1本ぐらいの割合でこのように神経が死んでしまうことがあります。
これはどんなに上手な先生が行っても起こりうることです。
一応私は術前時に神経が残せそうな歯に関しては、
「今回は神経を残す治療をトライしますが、ズキズキ痛みが出たり、温かい物で痛みが出る場合は処置が違うという体の反応なので、その症状が出てしまったら神経を取ります」
と話させてもらって神経保存を行いますが、
やはり虫歯の大きな歯の神経保存の予知性は低くかなりカケのような治療の側面があります。
ただ、直接覆髄より間接覆髄の方が成功率は高く予知性が高いので、
若い患者さんには「AIPC」を行っていますヽ( ̄▽ ̄)
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石灰化した根管の再治療
- 2020年9月 4日 09:03
- 歯内療法日記
患者さんは20代女性
予定では他の歯の治療を行う予定だったのですが、
予約数日前から右上の歯にうずきと、噛むと痛みが出てきてしまったとのこと
当日治療内容を変え右側の根管治療
少し大きめの銀歯が入っています。
レントゲン
銀歯の下に大きな隙間&虫歯があり、小さめの根尖病変が見られます。
過去にも再根管治療が試みられたようですが、石灰化で開けれる所まで治療したような所見
CBCTで検査してみると
歯の真ん中辺りは石灰化しており、根尖近くにオリジナルの根管があり
どうもこの部分が問題を起こしていると推測
「洞窟の途中が落石事故で道が閉ざされている状態」
先日の「髪の毛より細い道具を使った根管治療」
http://eedental.jp/ee_diary/2020/08/post-2097.html
と同じ感じ
患者さんには今回攻める治療をするが、
パーフォレーション起こしそうならそこまでを消毒して治療を行う。
その場合外科治療が必要になる可能性があることを説明し
根管治療スタート
まずは銀歯のしたの大きな穴&虫歯の処理
隔壁を兼ねたレジン充填
その後、元神経管だった部分を顕微鏡下で丁寧に削って行き
何とかオリジナルの根管を探し出し根管充填+コア+レジン充填
MTAプラスで根管充填
術前 ⇒ レジン充填後
1回法で治療を行いました。
治療時間2時間
治ってきてくれるかは今後経過を見ていきます!( ・▽・ )
外科せず治ってくれるといいのですが・・・
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何年も膿の出続ける歯の保存根管治療
- 2020年9月 3日 09:03
- 歯内療法日記
3年前に来院され、左下4のブリッジが外れており左下6は大きく骨が溶けていると
指摘させてもらった60代の女性患者さん
その歯が腫れてきた為来院
この歯は過去に根管治療を2回しているが瘻孔があり、そこから膿が排出され痛みなく過ごせていた歯
*個人的にはGPの入り方で成否は決められませんが、過去の根管治療の「質」が・・・
今回、症状が出てしまった為、外れているブリッジ何とかならないか!?ということ
客観的にみて、ブリッジ手前の歯(小臼歯)の保存は行えるが、奥歯(大臼歯)は抜歯が第一選択肢であることを伝える。
7番も破折が疑われおり、左側の歯が3本無くなるので入れ歯かインプラントになることを説明
患者さんには「歯の揺れもないし、やるだけやってみるか!?」ということで
根管治療にトライさせてもらいました。
大臼歯の治療回数2回
4本の神経管がありましたが、どの根管も殆ど手づかずの状態で・・・
(神経治療はどれだけ少ない回数で根管内が綺麗になっているかを重視します)
小臼歯は外れたブリッジの影響で中に大きく虫歯が出来ており、歯髄断髄を行いました。
出来ることはやってみたので、後は経過観察して保存できるか経過を見ていきます。
残すのが難しくなるので、膿の出る歯はあまりそのままにしておかない方がいいですよヾ( ̄∇ ̄)
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スプーンを噛んだら根管治療した前歯がかけた
- 2020年9月 2日 09:08
- 歯内療法日記
患者さんは30代男性患者さん
スプーンを噛んでしまい前歯がかけたとのこと、神経のない歯だから痛みなどはないそう
神経を取った歯というのは、歯の周りの感覚受容器が鈍感になってしまい、
神経のある歯に比べ3倍ぐらい強い力をかけないと危ないという感覚が出ません。
つまり神経を取った歯というのは知らない間に強く咬んでしまっているということが分かっています。
今回スプーンを強く咬んでしまいかけたのもその理由でしょう。
表面が3×3mmほどかけた所をレジンで1回で40分で治療を行いました。
すみません、顕微鏡画像で(汗)
実はこの歯以前膿んでしまった歯でしたが、
根管治療を行い病変も綺麗に治ってきてくれています。
病変部分にびっしり骨ができ、病変は完全に消失しています。
個人的には下顎の前歯は被せるよりレジンで行ける所まで行った方が歯の寿命を長くできるような気がしています。
かけてもレジンが得意な先生ならレジンでその場でリペアできますしね!
下顎の前歯って、被せると殆ど自分の歯無くなりますから注意してください(・Д・;)
再根管治療を行うと、残る歯の少なさを実感します。。。
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