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髪の毛より細い道具を使った根管治療
- 2020年8月 5日 09:01
- 歯内療法日記
患者さんは40代女性
以前のブログの「難易度高し!超石灰化根管」
http://eedental.jp/ee_diary/2020/07/post-2090.html
の反対側の歯(第2小臼歯)
レントゲン
この歯も石灰化が進んでおり、神経が死んで根尖病変(赤丸)が見られます。
隣の歯の神経管に比べ当該歯は黒い線(神経管)が見つかりません。
そんな時はCBCT
当院の超マニアックなCTはスライスピッチ0.085mm
*メーカーの人に「全然売れていないから、値引き殆どないですよ」と踏み止まるようにいわれた機種(笑)
その単位での解析は可能!
0.085mm以下になると識別不可能となります。
ターゲットを第2小臼歯に合わせ色々な角度から見てみる
ん~~、よく分からん。。。
しかし、矢状断で色々な方向から見てみると1点ピントのあう所が!
根中央部より下には極細の神経管っぽい黒い線が確認できます。
ということは解析能力の0.085mm以上は神経管の太さがあると判断
日本人の髪の毛の太さは0.08mmとのことなので、歯の中から髪の毛を除去する治療に例えれます。
が、
ただ神経管はストレートな直毛ではなく、いわば「くせ毛」
微妙にクネクネ曲がっており、時に太い部分、細い部分が存在します。
まず髄腔開口
*小臼歯は軸を間違えるといけないので私はこの場合ラバーダムしませんでした。
レントゲンで大きく軸がズレていないことを確認し、
軸を間違えてスタートしては、髪の毛のような細さの神経の断面は見つけれません。
ラッキーなことに、
元神経管であった場所をに先端が0.1mmのマイクロオープナーが
微妙に引っかかる場所があり、そこから微量の液体が出てくる。
*顕微鏡でわずかに見える浸出液です。
そこから髪の毛より細い0.06mmのKファイル(針金)を顕微鏡でその穴に合わせ挿入
すると3mmほど入る!
「きたぁ~~~~!」(心の叫び!)
ターゲット捕捉です。
*06Kファイルを入る所まで入れ、その後Ni-Tiファイルのオープナーで上を削り、
再び06Kファイルを入る所までいれ、またNi-Tiオープナーで上を削るの繰り返しで
気長に少しずつ慎重に根の先に0.06mmのファイルを勧めます。
この繰り返しをすること30分 0.06mmのファイルを根尖までとどかせる。
その後0.08mmのファイルを30秒で通し、次のNi-Tiファイルを安全に通す為のガイドを少し太くする。
穿通してしまえばこちらのもの、あとはシステマチックにNi-Tiで拡大し
開始から1時間40分後
拡大・洗浄後、根管充填⇒レジンコア、レジン充填
治療後のレントゲン
何とか根の先まで綺麗に治療の方が完了しました!
レントゲン上で確認できない根管=難易度が高い ということは言えます。
そんな時はCBCTは非常に有効でエンド(根管治療)モードなど細かな解析ができる道具は有効です。
が、レントゲンやCBCTで手に入るのは情報です。
極細の神経管があるのは分かっても治療は人の手で行うので、
戦略と経験がものを言います。(この辺りは職人と言われる分野です)
使用ファイル
*今回の1本の神経管を探し削り取るまでに使用した針金ヤスリです。
0.06mm~0.25mmの道具を使用
歯冠を落とさず(歯を削らず)治療を行うので必然的に作業長は長くなり、
これも難易度を上げている1つの要因ではあります。
*レジン治療を成立させるためにわざと難しいことをしています。
後、こういう根管のファイル操作はプッシュ&プルが基本で
大学で教わるターン&プルを使うとレッジを作り、作った時点でTHE エンドです。
二度と本来の根管にはアプローチできなくなります。
この辺りは12月の講演と来年のハンズオンで説明したいと思います。
http://eedental.jp/ee_diary/2020/07/12-1.html
追記:
レントゲンで根管の確認できない超石灰化根管の予後報告 - EE DENTAL_Blog
いやいや、2本とも奇跡ですわ!(^。^)
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