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根の先端まで掃除できない神経管

先週散々偉そうなこと書いてましたが(笑)

「今回は根の先まで穿通出来なかったケース」 

 

神経の治療は0.1mm以下で行う治療で、私が使っている道具の最細は0.06mmと髪の毛と同じぐらいの道具です。

ただ、この0.06mmの道具頻繁に使うか!?と言われれば頻繁には使わずよく使う道具は0.08mmの道具(ファイル)です。

この辺は歯科医師の手の感覚になってしまいますが、細ければ道具は良いというものではなく

私の感覚では、この0.02の差で金属の剛性が極端に失われ、金属に腰がなくなり使いづらくなりますので、私の術式だと0.08mmがあっています。

 

不思議なもので人って、毎日同じ道具を同じように使っているとその道具の先にも感覚が生まれます。

これらの技術を職人技などいいますが、そこに意識するかどうかで差が出ると思います。

 

以前ハンズオンセミナーなどさせてもらい多くの先生の技術を見させてもらいましたが、傾向として上手な先生ほど道具の廃棄が少ないです。 

第10回 エンドハンズオンセミナー終了! - EE DENTAL_Blog

 

何故か!? 

先に書いたようにファイルの先に感覚を持っている先生ほど、ここから回していい、押していいが分かっているのでファイルに余計なダメージを与えず使うので、道具は長持ちします。

 

私的には、根管治療の技術力=穿通能力だとある部分思っています。

 

今回の患者さん50代女性

昔から来院頂いている患者さんで8年ぶりの来院でした。

右上に鈍痛があり、何かかけてきたとのことでレントゲンを撮ると・・・   

2025 EEdental SIM (1).jpg

 歯と歯の間の歯茎よりから虫歯が出来中で大きく広がっており、神経も死んでしまい根尖病変が見られます。

普通は抜歯というケースだと思います。

ただ、この状態でも揺れもなく痛みもなく腫れもない ←ココ不思議なんですよね。 

またこの歯

2025 EEdental SIM (2).jpg

昔から虫歯があったようで、2010年にはあったはずの近心頬側根(小さな黄色⇒)が石灰化して閉じてしまっています。

こういうケースはCTで輪切りにして神経管の有無を調べるのですが、CT上でも神経管は閉鎖しているようです。 

治療1回目

歯茎下の虫歯を除去しレジンにて隔壁を作り、神経管の掃除

*隔壁:唾液や菌が入らないように囲いを作る

2025 EEdental SIM (3).jpg

やはりMB根は石灰化しており、入口しか分かりませんでした。 

 

治療2回目 もう一度MB根を超音波で切削し探して見るのですが・・・

2025 EEdental SIM (4).jpg 

ない! CT上でも根尖病変(膿)はないので無理せず開けた所までで根管充填 

  

神経管の探索というのは非常に細かなものになり、一筋縄では行きません。

顕微鏡やCTがあった方が神経管の確認はできますが、根の先まで治療出来るかは術者の腕になります。

また閉じてる神経管(根管)は私は無理にこじ開けません(この辺りは専門医でもバラバラです)

この後、仮歯を入れ半年待ってレントゲンを撮って行きたいと思います。 

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