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歯内療法日記: 2013年1月アーカイブ

レントゲン診断の限界と根管治療

根管治療を行う上でどうしても避けて通れないのが歯根破折

 

過去のブログで書いていますが、

神経を取った歯はモロくなるので大きく削って被せましょうという流れなんですが、

実は被せても折れます、割れますヽ(≧Д≦)ノ

 

例えば、

'>

えっ、じゃあ先生の言うことは嘘!?

 

嘘ではありません。

実際アメリカの大規模調査でも被せていなかった歯の方が抜歯の割合がたかかったとの報告もあります(・∀・)

 

ただ、これは治療の質にも大きく関係してくると私は思います。

(いい加減なアマルガム治療もありますしね)

 

 

私の今の根管治療・破折をできるだけ回避する考えは

・なるべく歯を削らない、

・再治療にならないような感染のコントロールをした抜髄を行う

(再治療の度に歯は大きく減ります)

 

細かく見ると、

・神経を取る場合必要最低限の根管形成に留める

・根尖(根の先)の形成はあまり大きく開けない

・不必要なポストは作らない

・接着性のある材料を使用する

 

 などの配慮はしています。

 

が、文献的には3〜10年で1.5〜3.7%の割合で破折が見られるそうです。

 

また一般の方はレントゲンなどで破折は見つけられると思われがちですが・・・

 

 

 

レントゲンでは全く分りません(・∩・)?アレ??≡

 

 

実は今日も破折症例に遭遇で・・・

 

術前、奥の銀歯から膿が出るとのことでレントゲンを撮らせてもらいました。

CI2.jpg 

 所見的には非常に上手な根管治療がしてありますが、

問題点も

・大きな金属の土台が入っている

 

 

一度再治療をさせて頂きしばらく経過を

CI22.jpg

お〜ぉ、いい感じで治ってきてくれた!

と思ったのも束の間

 

再び膿がでてきてしまい意図的再植術(外科)で治すことに

 

で一度抜いてみると・・・

EEdental hasetu 2.jpg  

 

「きゃ〜〜〜〜〜ぁ」

 

折れている。。。(黒っぽいスジ)

今回は根の先の方から割れてきていますから、根管治療から破折が起こったのでしょうか?

 

 

 

診療後にこの歯を使わせて頂き実験を!

 

レントゲンで破折を診断する時には

「破折線に対してレントゲン線が4度以内であれば破折の診断が行える」

とあります。

 

ではこの抜かせて頂いた歯

破折線に対してレントゲン線が4度以内になるようにレントゲンを撮ってみると!

CI24.jpg  

破折線は、全く識別することはできませんでした(´ω`。)

 

じっさい、折れた場所が分っていてもレントゲンでは破折分らないんです。

 

ただし、レントゲンでも折れ方によっては分ります。

例えば、

EEdental hasetu.jpg  

 赤丸の黒い線の部分が折れている所です。

 

ただし、この破折はバックリ割れていたケースで、目で見ても分ったケースです。

また、この部分に金属の土台などが入っていると、 破折線は隠されてします。

大きく割れていても分らないです(ノ∇・、)

 

と言うように破折の診断は非常に難しいです。

もし破折の診断が治療前に90%の確率で分る器具さえ出ればたぶん100万ぐらいまでなら即買いすると思います。

 

 

どこかのメーカー研究して出してくれないかな・・・ (p_・q) チラッ

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抜髄根管は難しい (人生初の6canal)

下の奥歯は神経管が3〜4本と考えられており、

保険治療においては奥歯は3本の神経管という治療設定になっています。

 

保険治療では、4本見つけても5本見つけても治療費は150円しか変りません(´_`。)

海外の先生の中には神経管の数で治療費を決めている先生もおられるそうで神経管1本につき3〜5万といったところでしょうか。 

 

国が変わると神経管1本の治療に300倍の治療費の差が・・・

 

そんなアホな((;・з・ ))

 

私自身、数年前にMM根の存在を知ってから、たまに4本、5本という数の神経管の治療はしていたのですが・・・

*MM根は探し方があります、やり方を聞けば誰でも探せます。

(1月20日のペントロンのスライド製作中 すみませんまた大分スライド増やしています)

 

 

長い前フリでしたが、

なんと今日、人生初の6根管を体験してしまいました。

AAEpathway of the pulp にたまに載っているのは見て知っていたのですが、まさか日本人の歯で遭遇するとは(p・Д・;)

 

術前

EEdental Si.jpg

以前私がMTA直接覆髄レジン充填をしたのですが、痛みが出てきてしまい神経を取ることとなりました。

ただ、レントゲンでは極々普通の難易度のちょっと高い神経管(3本)に見えるのですが、治療をしていくと・・・

 

途中で「えっ、これって・・・ 神経管多くないか?」(p・Д・;)

 

根充後

EEdental Si (1).jpg

おっ、側枝にも綺麗に薬が入ったね!(白い点状の部分)

 

でも実は、別角度でレントゲンを撮ると

EEdental Si (2).jpg

白い線が重なって6本あるの分りますかね!?ヾ(・_・;)

 

いやぁ〜、私自身歯医者13年やっていますが、6本の神経管を治療したのは今回が初ですね!

と言うかたぶん今まで何本かはあったはずなのですが、知識、技術がなくて治療出来ていなかっただけだと思います。。。

 

あっ、この歯も3〜4mmの穴から根管治療をしています。

 

 

次は7本の根管治療を!

 

って、治療したら世界的に自慢出来る症例になりますね!(ノ´∀`)ノ

(私も7canalは本でも見たことないですね・・・)

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大きく削らない根管治療(抜髄根管)

毎度、同じ様な写真ですが、術後

EEdental Ku1.jpg

神経を取った歯が2本あります(・ω・)ノ

 

写真の下2本は最初大きな白い詰め物がしてありました。

EEdentak k.jpg 

 

 

術前のレントゲン

EEdental Ku.jpg

痛みが出てしまい神経を取ることとなりました。

歯の1/3がプラスチックの状態だったので、大きく削って被せるか迷ったのですが・・・

 

個人的な意見で申し訳ないのですが、

ハイブリットアンレーって結構な頻度で割れているものを見ます。

私の経験でもハイブリットアンレーは強度的にも弱い気が・・・(> <;)

 

どうしようか迷ったあげく上記の写真のようにプラスチックで足りない部分だけ補う方法で修復を行いました。

 

まず、レジンの詰め物をして細菌が歯の中に入らないような環境を作り

その後大体3mmぐらいの穴を小さく開け、その穴から根管治療してしまいます(*`・∀・)ノ

 

この場合、綺麗に詰めると言う目的の前に歯の中に細菌が入らないような環境を作ることがメインです。

細菌が歯の中に入り込んでしまえばせっかく作った詰め物も意味がなくなってしまいます。

審美の前にまず歯が長く持つようなことを考えます!ヽ(´∀`)

EEdental Ku1 (2).jpg

この白い丸い部分が神経を取る覗き穴みたいなものです。

慣れてくると、この穴からでも十分根管治療は可能です。

 

この方法は一切咬み合わせを崩さず治療を行います(^ω^ )/

ですので、今までの根管治療とは異なり、大きく咬み合わせが狂うということはありません。

また、根管治療でありがちの周りの歯が傾く、咬み合う歯が伸びるなどのリスクもまずゼロにできます。

 

もう1点私がよく考えるのは、再治療がしやすい形で治療を終わらせる

歯科治療は残念ながらリペアです、元の状態に戻している訳ではありません、また再治療を行う時期は必ず来ます。

今回のような方法で治療を済ませれば、大きな金属の土台、被せ物も入れませんので、もし再治療をする際にも簡単に根の方へ再アプローチすることが出来ます。

うまく治療すれば再び被せずに詰め物だけで治療を終わらせれるかもしれません( ・0・)ノ

 

ただし、根管治療中も噛み合わせはあるので、ものを咬もうとすると咬み合わせには参加してきてしまい、下手をすると咬合痛(咬んだ時に痛い)が出てしまいます。

咬まないように患者さんには言いますけど^^; 

 

で、この白い穴からの根管治療が終わるとこの穴をレジンで塞いでしまいます。

EEdental Ku1 (3).jpg

 

ホントにこんな小さな穴から治療が可能なのか!?

 

一応根充後+レジン充填後の写真

EEdental Ku (2).jpg

6番 3根管(ボルテックスファイル+プロテーパーF2)

7番 2根管(ボルテックスファイル+プロテーパーF2) 

 

どうでしょう!?

一応見逃し根管もない形で必要最低限の根管形成もできたかな!?と思います。 

 

 

 

この方法凄くメンドクサイように思えますが・・・

 

 

 

 

 

 

実際、凄く手間もかかりメンドクサイです(笑)

 

 

 

しかし、現状私はこの方法の方が色々な面でメリットが多いと考えこの方法を採用しています(^ω^ )/'''

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