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歯内療法日記: 2022年10月アーカイブ
意外に多いMB2とイスムスが原因の根尖病変
- 2022年10月15日 09:03
- 歯内療法日記
豊橋祭りの為、今日の診療は16時半までとさせて頂きます。
上顎の第一大臼歯
解剖学的に9割以上の歯は神経管は4本とされています。
ただし、この4本目のうちの1本の神経管は滅茶苦茶細く、裸眼ではほぼ見つけることが不可能です。。。
私の患者さんへの説明は、
「国道の3車線道路の横に、凄い細い1台通れるか?ぐらいの自転車道路があるようなもの」
と説明しています。
そんな細かな神経管ですから、大学卒業の頃この4本目がたまたま見つかり治療できると1日気分よく診療が行えたものです。
私のイメージ的に裸眼で上手な先生でも1割見つけれればかなり凄い!という所ではないでしょうか!?
実際、歯内療法専門医の上手な先生でも発見・治療は6割程度と言われています。
以前、自分でも何割見つけれているか調べた所約5割の発見率でした。
最近の私はこの発見率は多少下がっており、イメージ的に3.5割ぐらいではないでしょうか!?
理由は病変がなければ、そこまで積極的に探しに行かなくなった。というものです。
「手を抜いているんじゃないの!?」と思われるかもしれませんが、(笑)
実はこの4本目の近心頬側根というかなり小さな根があり、そこに神経管が2本あるので
細い神経管を治療と称し2つ大きな穴を開けると・・・
折れやすくなるのでは!?という経験から、戦略的に削って、削って意地でも探し出す!という治療はやめました。
ただし、そこは歯内療法専門医
マイルールがあり、髄腔開口を行いすぐに見つけれるような太いMB2(4本目の神経管)は治療します。
また感染根管などで近心頬側根のイスムスが黒く染まっている場合(細菌感染の恐れ:大)も探しに行きます。
今回のケースはMB2とイスムスを積極的に治療したケース
患者さんは50代女性
悪い所は治しておきたいとのことで、全顎検査を行い第一大臼歯に根尖病変があったので治療をすることに
レントゲン
先に書いた上顎第一大臼歯に近心頬側根に根尖病変が見られます。
実際治療を行うと、汚れたイスムスとMB2が見られ4本目の神経管を綺麗に掃除しました。
根管充填
1本に見えますが、2本の神経管を治療しています(0。0;)
そこからレントゲンで経過観察
治療後1年、大きな病変は綺麗に治ってくれました!
経験上、この近心頬側根に病変がある場合に関しては顕微鏡で治療をした方がいいと思います。
ただ、この部分イスムスという厄介な神経の溝もあるので、治すのは他の歯に比べると難しいです。
今回の患者さん綺麗に治ったので次回クラウンを作成していきます!
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副鼻腔炎の原因の歯
- 2022年10月 8日 09:08
- 歯内療法日記
患者さんは50代女性、
他院で神経を取るかもしれないぐらい大きな虫歯があると言われたとのことでEEデンタルへ
レントゲンを撮らせてもらうと、
奥から2本目の第1大臼歯に大きな虫歯
一番奥の第2大臼歯には根尖病変が見られます。
患者さんに説明を行うと、過去に副鼻腔炎になり耳鼻科で指摘されたとのこと。
CBCTを撮ると、3根に根尖病変が見られ特にMB根には大きな病変が見られます。
過去の治療もヒョロヒョロのガッタパーチャーっぽいものが見られます。
奥歯の治療は難しいので仕方がない気もしますが、患者さんの立場からすると。。。
患者さんの了解を得て2本の治療を行いました。
第1大臼歯は神経保存を行いゴールドアンレー
第2大臼歯は根管治療を行い歯の保存
第1大臼歯はかなり縁下(歯茎の下)に虫歯が入りこんでいましたが、
電気メスを用いて外科的レジン治療と歯髄保存を行いゴールドアンレー
今の教科書的に言えば、ここまで深い虫歯は
根管治療で神経を取り ⇒ 矯正で引っ張り出し ⇒ 外科処置で骨、歯肉の処置 ⇒ クラウン
という流れだと思いますが、4つの治療が全て成功して歯の保存が行えます。
ただ、個人的にはここまでやっても歯の寿命は短いと思います。
歯の治療はできるだけシンプルになるべく触らない方が予後が良いと私は感じているので
必要最低限のことを行い歯の保存
と言ってもやっていることは全て顕微鏡下で精密な治療を行います。
第2大臼歯もMB根にMB2があったりと、かなり治療の難しい歯でした。
術後6か月で根尖病変もだいぶ小さくなってきてくれたので、
フルジルコニアクラウンを入れさせてもらいました。
術後1年
鼻などに症状はなく順調とのこと
大きな虫歯だった第一大臼歯の神経も死んでおらず安心しました。
そういえば先日、ある先生と話しているとアメリカのある州では
第2大臼歯の根管治療は専門医が行い、GP(一般歯科)の先生は治療しない州もあるとのこと
個人的な印象でも上顎第2大臼歯の根管治療はやはり神経管が複雑で、保存治療はかなり難しいので
歯を残そうと思えば顕微鏡はあった方がいいと思えます( ̄~ ̄)
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レントゲン検診忘れていた・・・
- 2022年10月 7日 09:00
- 歯内療法日記
2014年 神経が死んでしまい
レントゲンでは根尖病変は少し大き目
根管治療を行ったのですが、
身内ということもありレントゲン診査するの忘れており、
先日他の歯の治療でカルテを見直したら・・・
あれ!?術後経過のレントゲン撮り忘れているな・・・
ということで、術後8年のレントゲン
根尖病変は綺麗に治ってくれていました(笑)
*8年後のレントゲンは根尖付近にガッタパーチャー(GP)にボイドありますが、特にGPの入りはそこまで気にしていません。
(GPはオーバーさせなければOK)
歯内療法の世界はGPの入りなどを他の先生から突かれるのですが・・・
それって重要!?って今は思います(笑)
患者さんには1年予後のレントゲン撮りに来てね!と連絡するのですが、
身内は痛いと言われない限り忘れてしまいます・・・
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たまたま治る!?外科的歯内療法はひとまず回避
- 2022年10月 4日 09:01
- 歯内療法日記
患者さんは40代女性
過去に2回ほど根管治療した歯が咬むと痛い
かかりつけの先生から紹介状を読むと、
昨年から痛みが出てきており近心根にファイル破折+根尖病変が見られる。
かみ合わせを落として様子をみるも、年始から痛みが大きくなってきた為根管治療を行い、
近心根はファイル破折があり1根しか穿通出来なかったとのこと、
治療後痛みは取れたのでクラウンを入れた所数日でまた咬合痛が出てきたとのこと
レントゲンを撮ると、
近心根に根尖病変+ファイル破折
治療1回目に人工物を除去
クラウンの適合はバッチリ! 虫歯の取り残しなども一切なし!
が、
ファイルは湾曲しており、私の技術では除去不可能っぽい。。。
*まぁ、私はあまり積極的にファイル除去するタイプではないので・・・
ただ、ファイルは根尖病変の感染源にならないので安心してください。
治療2回目 根管充填
根管内を徹底的に洗浄して根管充填
!?
ファイル破折とは別の根
根の先まで探したと思っていたのですが、前の先生のパフォレーションを拡大して掃除してしまったようです。
オリジナルの根尖までは掃除できていない・・・
太いピンク線が私が入れたガッタパーチャー
細いピンク線が1回目の治療のガッタパーチャー
細い白線が破折ファイル
患者さんには治らなかったら外科的歯内療法で残すと説明
根管充填後1カ月
患者さんが急患で来院
凄く痛いとのことで、患者さんの方が外科的歯内療法で治したいとおっしゃられる。
とりあえず、痛みを抑える為に抗生剤を処方
抗生剤の効果で数日でまた痛みは引いてきました。
患者さんにとりあえず3カ月様子を見させて欲しいと説明
私の次の治療をするかの基準は「腫れ」と「フィステル(歯茎からの膿)」
あまり痛みは基準にしていません、痛みは個々の痛みへ耐性が異なるので基準には使いにくい・・・
患者さんにOKをもらい経過をみていくと、
術後3カ月:咬むと痛い感じはあるが痛みは落ち着きつつある。ジンジンする感じもたまにあるが腫れなどは一切ない。
術後7カ月:歯と歯が当たった時に何か違和感を感じる。腫れなどは出ていない。レントゲン所見で治癒傾向が出てきている。
術後1年
根尖病変は大分小さくなり、治ってきている。
患者さんも全く痛みなく、仮歯で噛んでも痛みはなく調子は良い。
OK,OK,!
とりあえず、本歯(クラウン)を入れて経過をみることにしました。
根尖病変のある根は根の先まで掃除出来た方が治癒率は高いです。
ただ、根尖まで触れなくても徹底的に洗浄(消毒)することで治ってくれる場合もありますね!
根管治療は1回目の治療より2回目の治療、2回目の治療より3回目の治療の方が治療は難しく、成功率も低くなります。 理由は前の先生が起こした医原性の問題の解決をしなければいけないからです。
根管治療は細菌相手なのでホント難しいです。
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