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たまたま治る!?外科的歯内療法はひとまず回避
- 2022年10月 4日 09:01
- 歯内療法日記
患者さんは40代女性
過去に2回ほど根管治療した歯が咬むと痛い
かかりつけの先生から紹介状を読むと、
昨年から痛みが出てきており近心根にファイル破折+根尖病変が見られる。
かみ合わせを落として様子をみるも、年始から痛みが大きくなってきた為根管治療を行い、
近心根はファイル破折があり1根しか穿通出来なかったとのこと、
治療後痛みは取れたのでクラウンを入れた所数日でまた咬合痛が出てきたとのこと
レントゲンを撮ると、
近心根に根尖病変+ファイル破折
治療1回目に人工物を除去
クラウンの適合はバッチリ! 虫歯の取り残しなども一切なし!
が、
ファイルは湾曲しており、私の技術では除去不可能っぽい。。。
*まぁ、私はあまり積極的にファイル除去するタイプではないので・・・
ただ、ファイルは根尖病変の感染源にならないので安心してください。
治療2回目 根管充填
根管内を徹底的に洗浄して根管充填
!?
ファイル破折とは別の根
根の先まで探したと思っていたのですが、前の先生のパフォレーションを拡大して掃除してしまったようです。
オリジナルの根尖までは掃除できていない・・・
太いピンク線が私が入れたガッタパーチャー
細いピンク線が1回目の治療のガッタパーチャー
細い白線が破折ファイル
患者さんには治らなかったら外科的歯内療法で残すと説明
根管充填後1カ月
患者さんが急患で来院
凄く痛いとのことで、患者さんの方が外科的歯内療法で治したいとおっしゃられる。
とりあえず、痛みを抑える為に抗生剤を処方
抗生剤の効果で数日でまた痛みは引いてきました。
患者さんにとりあえず3カ月様子を見させて欲しいと説明
私の次の治療をするかの基準は「腫れ」と「フィステル(歯茎からの膿)」
あまり痛みは基準にしていません、痛みは個々の痛みへ耐性が異なるので基準には使いにくい・・・
患者さんにOKをもらい経過をみていくと、
術後3カ月:咬むと痛い感じはあるが痛みは落ち着きつつある。ジンジンする感じもたまにあるが腫れなどは一切ない。
術後7カ月:歯と歯が当たった時に何か違和感を感じる。腫れなどは出ていない。レントゲン所見で治癒傾向が出てきている。
術後1年
根尖病変は大分小さくなり、治ってきている。
患者さんも全く痛みなく、仮歯で噛んでも痛みはなく調子は良い。
OK,OK,!
とりあえず、本歯(クラウン)を入れて経過をみることにしました。
根尖病変のある根は根の先まで掃除出来た方が治癒率は高いです。
ただ、根尖まで触れなくても徹底的に洗浄(消毒)することで治ってくれる場合もありますね!
根管治療は1回目の治療より2回目の治療、2回目の治療より3回目の治療の方が治療は難しく、成功率も低くなります。 理由は前の先生が起こした医原性の問題の解決をしなければいけないからです。
根管治療は細菌相手なのでホント難しいです。
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