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歯内療法日記: 2022年12月アーカイブ
覆髄した歯が痛い...
- 2022年12月23日 09:03
- 歯内療法日記
患者さんは40代男性の歯科医師
2016年に大きな虫歯治療をさせて頂いたのですが、
2022年11月初めに、弱い自発痛が出始めたと連絡を頂きました。
とりあえず、咬合調整を行いあたりを和らげてもらい様子をみていたのですが、
その後、咬むと痛みが出てきた。しばらく経過して違和感に変わりたまに咬むと痛い
冷・温痛は出ていない。
年明けに神経を取りましょうか!?となったのですが、
12月に入り、膿んできたようで歯茎から膿が出てくるようになり急遽来院してもらいました。
レントゲンを撮ると
根尖病変が現れて、遠心の歯質にはクラックが見られました。
1回法で3mmの穴から根管治療をさせて頂きました。
ラバーダムをして1時間後
この歯はMB根とML根の間に発達したイスムスがあり、そこからMM根が出てきました。
今回の歯に関しては咬合が疑わしいので、この後仮歯を入れ経過観察をしていく予定です。
1時間の治療時間で消毒などの時間は確保出来ているのか!?という疑問もあるでしょうが、
私抜髄やネクローシスパルプには消毒液のNCを入れっぱなしで治療を行うので、
治療中ずっと消毒を併用して治療を行っています。
*菌を殺し、タンパク質である歯髄を溶かすので一石二鳥!
過去に神経の保存を行った歯、短期的には問題が出ていなくても中・長期的にみると今回のように歯髄炎を起こしてしまうケースがたまにあります。
ただ、今回の場合は過去の治療というより夜間の歯ぎしり(噛みしめ)が原因のような気もします。
個人的には、歯を残す専門でやっていますが歯の喪失理由で一番厄介なのは噛み合わせ(夜間の歯ぎしり)だと思っています。
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パフォレーション部の骨の治り
- 2022年12月20日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは30代男性
痛みなどはないが左上の歯茎から膿が出てくる。
レントゲンを撮ると
根側面に大きな透過像(骨が溶けている)
またかなり大きな金属の土台も入れているよう・・・
今回の病変私は、側枝もしくはパフォレーションを疑いました。
患者さんに説明を行い、今回歯を残す方向で治療を行いました。
長めに時間を頂き1回法で治療を行うと、過去の治療で2か所パフォレーション(歯に穴)があり、
下の部分をMTA、上の部分をレジンにてリペア
前の先生も頑張って残そうとチャレンジしたとは思いますが、
土台を取る時か、土台を作る際にパフォレーションを起こしてしまったのかと・・・
その後、仮歯を入れレントゲン
術後すぐにフィステルは無くなり膿は止まったそう
病変は一回り小さくなり骨は出来てきているようです。
術後1年
全く問題なく経過しております。
ちょっと大きな病変でしたので、もう半年様子をみることに
術後1年半
そこまで大きな変化は見られません。
むしろ透過像がMTAを取り囲むような所見に変わってきています。
こういう経験をいくつもすると、MTAなどの生体親和性が高い材料でも歯の外に出さない方がいいなと思います。
今回のケース腫れなどが出ない限り使えるだけ使ってもらおうと思いますヾ(・∀・)
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痛みと腫れが引かない歯の隠れた神経管の細菌感染
- 2022年12月16日 09:07
- 歯内療法日記
患者さんは30代女性
昔神経を取った右下に痛みが出てきた後歯科医院を受診するも、その後から激痛になってきた
その後、かかりつけの先生から口腔外科を紹介され、口腔外科で切開を行ったが痛みは変わらず
切った部分に麻痺っぽい症状も出てきたとのこと
現在、妊娠中でこの痛みを何とかしたい。
初診時 痛みを取る為に根管を開放されたオープンの状態でした。
レントゲンを撮ると、
レントゲンに収まらないぐらいの根尖病変
破折の可能性もあるか、とりあえず残す方向で治療を行うことに
きちんと隔壁を行ったあとに根管内を確認すると、治療してあった神経管の真横に
メチャクチャ怪しい場所があり、その場所を顕微鏡下で綺麗にしていくと、2本目の神経管の入り口発見!
これが感染源か!?
ただ、この見つけた神経管の入り口極細で#06(先端0.06mm)の道具で慎重にタッグバックを追い根の先まで清掃(やり方などは知立のセミナーでお話します オープナーやNi-Ti、M4コントラなどを使用します)
この第1小臼歯で神経管が2本はたまにありますが、裸眼で見つけることはほぼほぼ不可能。。。
CTで最初に神経管の数を把握する方法もあります。
1回で根管内を綺麗にして、1か月後の治療2回目
腫れや痛みは無くなったとのことで根管充填
根途中でボイドを作ってしまいましたが、自分はガッタパーチャーの入りはさほど気にしない。
*学会などの場では突かれるポイントですが・・・
出産の為里帰りをされ経過をおえませんでしたが、
落ち着いた1年予後に来てもらえました。
腫れや痛みはなく、根尖病変は殆ど無くなりました。
ただ患者さんは切開した部分の多少の麻痺は治っていないとおっしゃられていました。
骨の治りとともにこの症状も改善してほしかったのですが。。。
根尖病変の原因の多くは歯の中の細菌感染です。
ここをどうやって効果的に綺麗にするか!?細菌の数を減らすか!?を最初に考えるべきです。
歯の外は原因ではないので、大きく腫れていない限りむやみに切開はしない方がいいと個人的には思います。
専門医の腫れと痛みが引かない時の対応
①仮蓋を取りオープン
②腫れている場合、黄色い膿が見える場合は切開して排膿(無理に切開はしない)
③抗生剤、消炎剤、胃薬の3種類の合剤を3~6日投薬
④痛みは抗生剤が効くまで痛み止めで我慢してもらう
という所でしょうか。
今回のように妊娠中だと、薬もあまり積極的には飲めないので自分の治癒能力で症状が引いてくるのを待たないといけなくなります。
妊娠予定がある方は口腔内に根尖病変がないか調べられておいた方がいいと思います。
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根尖病変は治っても痛みだけが残ってしまう。。。
- 2022年12月 7日 09:01
- 歯内療法日記
患者さんは30代女性
転勤に伴いN先生から紹介を受けた患者さん
初診時に左右の上の前歯、左右の奥歯が痛い、
主訴の場所を治療させてもらい経過を見ていくと除去に痛みは引いて来ていたのですが、
今度は左下に痛みが出てきました。。。
レントゲンを撮ると、
第1大臼歯、第2大臼歯に根尖病変が見られ
第2大臼歯は過去に2度根管治療したようでかなり大きな金属の土台が見られます。。。
見えないのは分かるのですが、削り過ぎのような。。。
第2大臼歯から根管治療を行い
樋状根でしたが、イスムス部に汚れが溜っており破折ファイルも出てきました。
根尖は石灰化しており根尖までは穿通できませんでしたが、開けれた所まで徹底的に根管内を綺麗にして根管充填
*現在治療中ケースで、オリジナルの根尖以外の場所を大きく削って治らないケースがありますが、本来の神経管でない所を削っても治りません。まさにガッタパーチャーをを入れる為の害だけ残る根管治療。。。
その後に第1大臼歯の根管治療
第2小臼歯の外部吸収も進行して痛みが出てきた為保存を試みてみたのですが、保存できず抜歯させてもらいました。
その後、仮歯を作り1年経過をみて術前ほどの痛みは無くなったので延長ブリッジをSet
第一大臼歯は綺麗に骨ができています。
ただ、この右下のブロックは定期的に痛みがでるようで、TCHの説明やナイトガードなどで咬合因子を疑いました。
*咬み合わせによっても痛みが出ることがあります。
先日痛みがまた出てきてしまい根管治療後4年半経過したレントゲンを撮らせてもらいました。
第1・第2大臼歯ともに骨はしっかり出来ているのですが、痛みだけが残ってしまいましたので、これ以上歯は触らない方がいいと判断し
ペインクリニックの方へ行ってもらうこととなりました。
病変も綺麗に治ったことですし、痛みが取れてくれるといいのですが。。。
是非、痛みが取れたと連絡を頂きたいです。
今回のようなケースは歯を抜いても痛みは治ってきませんので、診断などは慎重に行った方がいいケースです。
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自分の歯を長く使いたい人へ
- 2022年12月 6日 09:10
- 歯内療法日記 | EEデンタル NEWS
歯を残したい人へのアドバイスとしては、
①、なるべく健康な神経は取らない
②、神経の治療になったら、1回目の根管治療をきちんと行う
③、膿んでしまった歯は寿命が近づいていると考え、より専門性の高い先生(歯内療法専門医など)に頼る
この3つを覚えておいてください。
①:歯の寿命は神経のある・なしで大きく変わってきます。
虫歯が大きくても症状がない歯であれば、丁寧な治療で神経は残ることがあります。
ただ、保険治療だとこの辺り技術評価がなくそこまで手間をかけれないのも事実。。。
動画の神経もかれこれ4年経過して、未だに神経には問題が出ていません。
②神経の治療はホント1回目の処置が大切
基本的に神経が生きていればそこには細菌感染は軽度の状態です。
人が歯に穴を開けたとたん唾液と一緒に口の中の菌も一気に歯の中に入り込みますので
まずは虫歯をきちんと取り、隔壁という唾液が簡単に歯の中に入らないような壁を作る必要があります。
ただ、この隔壁も保険診療だと技術評価がなく、歯科医院のサービスで行う処置なのでやらないことが多いですが、
歯内療法専門医としては隔壁しないとラバーダムも出来ないですし、仮蓋もいい加減になるのでこの下処理は非常に重要だと考えます!
菌の侵入を考えず行う根管治療で歯の中にガッタパーチャーを入れることに何の意味があるのか!?とも思います。
③膿んでしまった歯(腫れたり、痛んだりした歯)はその歯の抜歯は目と鼻の先です。
特に土台を除去する際にはかなり多くの歯を削ります。
先日の患者さんのケース、基本的に奥歯などは目で見えず手の感覚だけで削るので。。。
5か所に歯に穴を開けられていました。(しかも患者さんへの説明なし。。。)
この歯でも患者さんに説明をして残す方向でトライセクションを行い保存させて頂きました。
歯の保存を考えると土台は必ず顕微鏡下で見ながら安全な取り方で取る必要があります。
似たようなケース
これだけ大きなメタルポストでも歯質の切削は最小限に安全に除去は可能です。
ただ、これも保険治療だと治療費が500円であり材料費も賄えませんので・・・
急いでガンガン削ってしまう傾向はあります。
①~③で共通して言えるのは、悪くなってしまった歯を残すには必ず手間がかかるということです。
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