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歯内療法日記: 2023年10月アーカイブ
3年前から痛いと言っていた奥歯
- 2023年10月31日 09:00
- 歯内療法日記 | EEデンタル こだわり
患者さんは50代女性
3年前ぐらいから「咬むと痛い」と先生に言っていたが「様子をみましょう!」と言われていた
4ヵ月前に左上6の過去に神経の治療をした歯が悪いと言われ、治療をスタートするも一向に症状が改善しない。
過去には腫れたり、膿が出てきたようなことはない。
レントゲンを撮ると
治療中の左上6 には根尖病変はない。
年の為CBCTで診査しても根尖病変はない。
顕微鏡で診査すると、痛みの原因は左上7の歯冠破折と思われる。
側方運動(歯ぎしり)してもらうと、遠心頬側咬頭内斜面にガイドがあり
左上7が痛みの原因で全てが一致!
患者さんには治療中の左上6は根管治療+土台+仮歯 左上7は虫歯治療+仮歯
仮歯を入れ生活してもらい、痛みが引けば3か月後ぐらいに本歯を作ると説明。
まず左上6の根管治療
根尖病変も無い為、1回法で根管治療+土台まで この日は仮歯の型取りをして終了
*1回法でもMB2は処理しております。
次に左上7の破折している歯に仮歯を入れ経過をみてもらい
症状は一切くなったことを確認
クラウンSet
左上6:セラミッククラウン
左上7:ゴールドクラウン
今回のケース、顕微鏡で歯を観察すれば一番奥歯が破折と分かりました。
奥歯は見えずらい所に入っており、0.1mm以下の破折線は見えないことがあります。
3年神経が死なずに堪えてくれていたのは奇跡に近いと思います。
また歯科治療は痛みの原因歯に対して適切な治療を行わないと症状は落ち着いてきません。
患者さんも3年耐えて、治療をしても治らない痛みで不安だったでしょう。
治療している先生も自分の手に負えない場合は他の先生に頼った方がいいと思います。
開業して16年1本の歯を残したい患者さんの駆け込み寺みたいな存在になってきていますが、
傾向として困った患者さんがネットでEEデンタルを見つけ来院されますが、意外にも先生からの紹介はホント少ないです。
歯科医院過剰の時代に他の歯科医院に紹介して患者さんを取られたくない気持ちも分からなくはないですが、一番困るのは患者さんなんですから根管治療して3カ月経過し改善がなければその歯だけでも専門医に頼った方がいいと思いますよ。
ただ、全部が全部治療出来治せる訳ではないですが。。。
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親知らずの根管治療は難しい
- 2023年10月25日 09:05
- 歯内療法日記
基本的に私はあまり親知らずの根管治療はしません。
理由は、上下できちんと咬んでいる機能している親知らずが少ないこと
歯磨きが奥まで出来ずに虫歯にしてしまった歯なので、再び虫歯にするリスクが大きい
親知らずの神経管は複雑を極め治療が難しい&ラバーダムが出来ないポジションの歯もあること
などから、親知らずに問題がある場合抜歯を勧めることが多いです。
今回の患者さんは50代女性
4ヵ月前に親知らずの虫歯の治療を行った。
1ヵ月前ぐらいからズキズキ痛みが出てきた、今は冷・温水痛があり痛みには波があり大きな痛みが出ることも
治療した歯科医院で知覚過敏のコーティングはしてもらったとのこと
レントゲンを撮ると
詰め物の下に虫歯が残っており、かなり大きな段差のレジン充填+根尖にも透過像が出始めています。
下歯槽管と根尖が重なっており、麻痺の可能性もあるのでCBCTで診察
根の先と太い神経管とは離れているが、歯の中の神経管は複雑でかなり細い・・・
患者さんには虫歯が大きくて神経が弱ってきてしまっていることを説明
患者さんは第2小臼歯が先天性欠如で、親知らずが左上7がきちんと咬んでおり
親知らずがきちんと機能しており仕事をしている、抜歯すると咬みづらくなることが予想され
患者さんに残す方向で治療をするか提案
患者さんも残したいとのことで治療スタート
2回法で治療をしました。
歯茎の中にかなり大きくレジンが詰められており、その除去に時間をかなり取られました。
正直、このレジン治療はやらなかった方が良かったと思います。
神経管も複雑で細く、クネクネしており0.06mmのファイルを駆使しても根尖まで届きませんでした。
とりあえず開けれる所までを良く洗浄して、レジン充填で修復しました。
術後6か月のレントゲン
1カ月前に痛みが一度出たとのこと、ただ、術前時にあった疲れると首から肩まで痛みが広がっていた症状が治療後からは出ていないとのこと
レントゲンでも歯根膜腔が綺麗な所見になってきており、問題ないように見えます!
親知らずの治療は虫歯の取り残しが頻繁に見られますし詰め物も段差が多いです。
患者さんが歯磨きしにくい場所は、歯科医師も治療しにくい場所で予後が悪いです。
患者さんには虫歯にしないように奥まで歯ブラシ入れて下さいね!と言っていますが、今回の患者さんは非常に綺麗に磨けておりある部分安心しております。
この後、1年予後のレントゲンを撮って終わりとなります。
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若い人の骨の治るスピード
- 2023年10月14日 09:05
- 歯内療法日記
昨日書かせて頂いた骨の治りの遅いケースとは対照的なケース
根管治療 成功と取るか、失敗と取るか!? - EE DENTAL_Blog
患者さんは14歳の女の子
経過:顔の右側全体がパンパンに腫れてしまい総合病院の小児科受診
小児科の先生は上顎洞炎を疑いCTを撮影後、上顎洞には問題なく歯に原因があると思われ
同病院の口腔外科へ紹介
口腔外科にて3日間抗生剤を処方され腫れは徐々に引いて来たとのこと
口腔外科で根管治療スタートすると神経管の方から膿が出たとのことでオープン(仮蓋なし)の状態
お母さんがEEデンタルの患者さんで、根管治療するなら歯内療法専門医がいいとのことで
口腔外科からEEデンタルへ
レントゲンを撮ると
大きな透過像あり、仮蓋はなく、過去に詰めたレジンの下にも虫歯が見られます。
推測になりますが、
過去の虫歯治療の際に虫歯が大きく、そこから神経が徐々に死んでしまい今回の腫れに繋がったようにも思えます。
大きな虫歯治療後は数年後に神経が死んでしまい膿んでくることもたまにあります。
患者さんにはとりあえず、根管治療を行い予後が悪ければ外科的歯内療法で歯を残すと説明
治療1回目、一度過去のレジンを外しきちんと隔壁を作り根管治療スタート
若い患者さんだったので、根尖径は比較的大きい
こういったケース、歯の中には水酸化カルシュームをよく使いますが、
私は、根管内には無貼薬という名の『次亜塩素酸ナトリウム』
をよくやります。
むしろ9割は無貼薬という名の『次亜塩素酸ナトリウム』貼薬
膿の見られる1割は『水酸化Ca』
治療2回目 腫れ痛みもないことより根管充填
ガッタパーチャー使用
今月もおられましたが、根管充填材 MTAセメント希望
話を聞いてみると、
「根管充填はMTAセメント使った方が成功率が高い」と受診した保険医療機関で言われ、自費根管治療を勧められたとか
私:「MTA詰めた方が成功率が高い!?」
「未だに世界の歯内療法専門医はガッタパーチャー使用していますよ!?」
「それが事実であれば、世界の歯内療法専門医はMTAセメント使っていますよ」
「私の場合、MTAセメントはパフォレーションリペアにはマストアイテムですが、根管充填においてはケースを選んでしか使っていませんね」
保険医療機関では建前上、治療の中に自費材料を1つでも使わないといけないので、
根管充填材はMTAセメントがいいという説明だとおもいますが、保険治療やっていない人間からすると
自費治療で根管治療したければ、保険医療機関辞めればいいだけなのに・・・
と思います。
で、膿が大きくてもガッタパーチャーを使用させてもらった本ケース
(根尖も破壊されていない為MTAセメントを入れる必要はないと判断しています)
6か月後のレントゲン検診
患者さんは特に痛みや違和感は感じないとのことでレントゲンを撮ると
「骨の治り早っ!」
デンタル上ではもう殆ど根尖病変消えてきてくれ骨が出来てきています。
ね!中に入れる材料で結果が決まる訳ではありません。
骨の治りは個人差がありますが、経験上10代の方の骨の治り早いなぁと思います(。・∀・)ノ゛
ここまで治りましたが、1年予後まで経過を見て行きたいと思います。
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根管治療 成功と取るか、失敗と取るか!?
- 2023年10月13日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは30代女性
5年前に市民病院の口腔外科で外科を行ったが、すぐに同じように腫れてくる。
腫れたり治まったりを繰り返しており、あしはら歯科を受診後EEデンタルを紹介してもらった。
術前 レントゲン
近心根に大きな根尖病変あり、CBCTでは根分岐部あたりに透過像がありパフォレーションを疑う所見
外科をした割には根の先は切っていなさそう。
患者さんには治療は出来るが、触られ過ぎでかなり状態の悪い歯であること
外科を行ってこの状態なので、歯内療法+外科的歯内療法のコンボ治療になる可能性があると説明
患者さんは知識がないので仕方がないですが、
ホント歯を残したかったら口腔外科ではなく保存科や歯内療法科に行かないと・・・
これ歯科医師でも分かっておらず、「根尖病変⇒口腔外科を紹介」という図式が未だにありますが、何とかなりませんかね!?(・。・;)
口腔外科で外科治療後に予後が悪く歯内療法専門医をたまに紹介されますが、歯を残したければ順番が完全に逆!
患者さんは30代ということもあり、何とか自分の歯を残したいので治療出来れば治療をしたいとのことで
1回目の治療
口蓋根の側面に大きなパフォレーションがありMTAでリペア
*歯と歯の間の膿はここが原因だと思われます。
MB2も出てきた為、近心頬側根のみ仕上げる
治療2回目(1か月後)
頬側にまだフィステル(膿の出口)はあるが前のような違和感は無くなったとのこと
根管内を仕上げ根管充填+レジンコア+仮歯 まで
4根管ともガッタパーチャーを使用(MTAを入れれば治るとは思っていないので臨機応変に材料選択をしています)
とりあえず根管内で出来ることは全てやってみました。
*基本的に私は貼薬(薬の入れ替えを何度もする)で治す根管治療はしていません。
この後、フィステルが消えるか経過観察
1か月後 現在痛みは全くないがフィステルは無くならず・・・
患者さんには今回、パフォレーションと近心頬側根の根尖病変が2つ重なった病変であるので、
今回の根管治療でどちらかが治れば外科の範囲が減るので外科処置は必要だが、術後3カ月まで待ってもらうことにしました。
3か月後のレントゲン診断
あまり改善しているようには見えません。
そこで外科的歯内療法を行うことに
近心頬側根から根分岐部の骨は大きく無くなっておりました。
中からパフォレーションリペアをしたのですが、今回は歯の外からMTAでリペア
その後、MB根をカット&逆根管充填
術後3カ月の連絡で、
フィステルは無くなり腫れ痛みもなく生活出来ている。
そのまま様子をみてみらい
術後1年
症状はないものの、骨の方は思ったより出来ていないので、もう1年経過を見ることに
術後2年
症状などは全くない、仮歯ながら普通に使えている。
レントゲンでも外科したときよりは骨は出来てきてくれています。
この状態であれば、今回は抜歯は避けれそうです。
紹介元に戻ってクラウンを製作してもらう流れとなりました。
歯は人の手が入れば入るほど残すのが難しくなります。
極端な話1回目に治療した先生より2回目は上手な先生に治療してもらわないと治りません。
2回目の治療に失敗した3回目の治療は、更に上手な先生に処置してもらわないと治りません。
つまり神経の治療は1回目を治療する先生の治療で、その歯の運命の殆どは決まってしまいます。
日本の根管治療の成功率はざっくり50%程度という事実があり、
神経を取った半数は再治療 ⇒ 抜歯 ⇒ブリッジ、入れ歯、インプラントの図式です。
悪くなって歯内療法専門医より最初から専門医にかかっておいた方が無駄な時間やコストを減らすことが出来ます。
今回のケースもう1年後のレントゲンも撮らせてもらいたいと思います( ・_・)/
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根管治療後の仮歯はおおよそ1年にね!
- 2023年10月 7日 09:02
- 歯内療法日記
患者さんは40代女性
根尖病変があった歯の虫歯が進行した為か歯がかけてきてしまった。とのこと
レントゲン
根尖病変もあり、歯茎の中に大きな虫歯も見られます。
歯を残す方向で治療をさせてもらいましt。
各神経管、言い方が悪いですが中途半端に削ってあり各根レッジ(段差)だらけ・・・
オリジナルの神経管を見つけ、MB、MB2、DB、PとMTAで根管充填
根管充填後に痛みがでてしまい、患者さん的には不安に
ただ、私は今すぐやり直すより、待てば落ち着くことが殆どなので様子を見た方がベターと説明
文献的に「2か月後には99.1%の患者さんの痛みは引いてくる」との報告もあります。
個人的には小外科手術でもある根管治療後の痛みは出て当然と思っており、痛み基準で治療のやり直しはしていません。
逆に腫れたり、フィステル(膿)が出る場合は、完全なる失敗と判断し外科処置などに移行します。
根尖病変のあった歯は骨が出来て治癒していく過程でも多少の痛み、違和感が出ることがある為
患者さんには腫れがない限り痛み止めで散らしてと説明します。
*だいたい1~2ヵ月は様子をみるように言います。
ただ、今回のケースは痛みがだいぶ長いこと続いたようで、根管充填後から4か月の際の来院時
「痛みは前に比べるとだいぶ引いて来た、前はずっと痛かったのが今はたまに痛みは出るが引いてきてはいる」とのこと
術後のレントゲン
骨が出来てきてくれているように見えます。
この時点では殆ど痛みはないとのこと
患者さんにはこの状態だったらクラウン作っていいですよ!と説明(2020年4月)
したのですが。。。
先月になり電話があり、「仮歯が外れました・・・」と連絡があり診せてもらいました。
レントゲン
根尖病変は綺麗に治ってくれています。
どうやら、患者さんは親の介護など色々忙しくて仮歯を本歯に入れ替えるタイミングを見失ってしまったとのこと。
3年仮歯は外れなかったって、ある意味凄いね!
こういうシチュエーションの際に怒る先生もおられますが、基本的に、私は患者さんに怒ることはまずしません。
理由は、「怒っても何も解決しないから」
後、
「感情」特に怒りは診断を間違わせる元なので正しい診断の為にも怒りはしません。
怒りはしませんが、自分の手に負えない人は「他所でやってもらって!」と平気で言います(笑)
話を聞くと結構、患者さんは歯科医院で先生・衛生士に怒られるているようで、
今回の患者さんも近医の先生に怒られたようで歯科医院に行くずらくなったとも話してくれました。
これは相性の問題もありますね(。。;)
仮歯のまま長期間置いておくと、仮の接着剤が溶けだし中が虫歯になっていることが稀になるので、仮歯のまま長期間放置は止めておいてくださいね。
一応、仮歯のまま来院がない患者さんには一度はEEデンタルから電話して
「近くの歯科医院でいいので本歯いれてくださいね」とは伝えますが、
こればっかりは患者さんの歯(自分の歯)ですからね、何度も何度も催促の電話はしていませんのでその点はご了承ください。
今回の場合ラッキーなことに虫歯も無いようでしたのでこのままセラミッククラウンを作成していきます。
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先生に痛いと言っていたのに。。。
- 2023年10月 4日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは60代女性
以前のブログで使わせて頂いた歯が主訴
手間はかかるが可能な限り歯の神経保存 - EE DENTAL_Blog
この歯の治療は無事終わり、経過も良好です。
健康な状態をキープしています。
今度の歯は反対側の第2大臼歯
左下7に根尖病変が見られます。
患者さんに話を聞くと、
10年前にセラミックインレーを入れた、3年前から咬む度に痛みがあったし2回ほど大きな痛みが出た。
1~2年先生に毎回「痛い」と訴えたが「問題ない」と言われ続けた。
問題無いと言われ続けた歯が実は悪くなっており、神経まで死んでしまった状態・・・
根尖病変の形も違和感がある形状
患者さんには、根管治療をする必要のあることを説明し根管治療をさせてもらいました。
神経管は3根でしたが、1本が石灰化しており少し超音波で攻めましたが、
ある程度攻めた所で「これパフォるな・・・」と撤退
患者さんには根管が閉じていて、これ以上治療してもパフォレーションという医原性疾患を作るだけだから無理に治療しませんでしたと説明
レントゲンでも歯軸も違っており、撤退の時期はよかったかな!?と思います。
このまま経過観察をすることにしました。
術後6か月
患者さんは治療後から痛みなどは全くないとのこと。
レントゲンでも根尖病変は小さくなってきているように見えます。
この状態ならクラウンを作って行っても大丈夫でしょう!
痛みのある歯、診断に困ることがありますが長く痛みが続く場合は何らか原因があります。
1人の歯科医師が診断できない場合、そのままにしておくよりセカンドオピニオンなどを求められた方がいいでしょう。
また歯茎などが腫れた場合は多くの場合で細菌感染がある証拠です、原因歯を探し適切な処置を行う必要があります。
先生も1年以上、患者さんが「痛い」と言っているのなら大学病院や他の歯科医院に紹介状を書いてあげてもいいと思うのですが・・・
今回のケース 1本穿通できませんでしたが治ってくれて良かったです。
またこういったショート根充見ると、「根管治療をやり直した方がいい!」などいう先生がいますが、ガッタパーチャーの入りでやり直す必要はありませんのでね(¬з¬)σ
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