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根管治療 成功と取るか、失敗と取るか!?
- 2023年10月13日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは30代女性
5年前に市民病院の口腔外科で外科を行ったが、すぐに同じように腫れてくる。
腫れたり治まったりを繰り返しており、あしはら歯科を受診後EEデンタルを紹介してもらった。
術前 レントゲン
近心根に大きな根尖病変あり、CBCTでは根分岐部あたりに透過像がありパフォレーションを疑う所見
外科をした割には根の先は切っていなさそう。
患者さんには治療は出来るが、触られ過ぎでかなり状態の悪い歯であること
外科を行ってこの状態なので、歯内療法+外科的歯内療法のコンボ治療になる可能性があると説明
患者さんは知識がないので仕方がないですが、
ホント歯を残したかったら口腔外科ではなく保存科や歯内療法科に行かないと・・・
これ歯科医師でも分かっておらず、「根尖病変⇒口腔外科を紹介」という図式が未だにありますが、何とかなりませんかね!?(・。・;)
口腔外科で外科治療後に予後が悪く歯内療法専門医をたまに紹介されますが、歯を残したければ順番が完全に逆!
患者さんは30代ということもあり、何とか自分の歯を残したいので治療出来れば治療をしたいとのことで
1回目の治療
口蓋根の側面に大きなパフォレーションがありMTAでリペア
*歯と歯の間の膿はここが原因だと思われます。
MB2も出てきた為、近心頬側根のみ仕上げる
治療2回目(1か月後)
頬側にまだフィステル(膿の出口)はあるが前のような違和感は無くなったとのこと
根管内を仕上げ根管充填+レジンコア+仮歯 まで
4根管ともガッタパーチャーを使用(MTAを入れれば治るとは思っていないので臨機応変に材料選択をしています)
とりあえず根管内で出来ることは全てやってみました。
*基本的に私は貼薬(薬の入れ替えを何度もする)で治す根管治療はしていません。
この後、フィステルが消えるか経過観察
1か月後 現在痛みは全くないがフィステルは無くならず・・・
患者さんには今回、パフォレーションと近心頬側根の根尖病変が2つ重なった病変であるので、
今回の根管治療でどちらかが治れば外科の範囲が減るので外科処置は必要だが、術後3カ月まで待ってもらうことにしました。
3か月後のレントゲン診断
あまり改善しているようには見えません。
そこで外科的歯内療法を行うことに
近心頬側根から根分岐部の骨は大きく無くなっておりました。
中からパフォレーションリペアをしたのですが、今回は歯の外からMTAでリペア
その後、MB根をカット&逆根管充填
術後3カ月の連絡で、
フィステルは無くなり腫れ痛みもなく生活出来ている。
そのまま様子をみてみらい
術後1年
症状はないものの、骨の方は思ったより出来ていないので、もう1年経過を見ることに
術後2年
症状などは全くない、仮歯ながら普通に使えている。
レントゲンでも外科したときよりは骨は出来てきてくれています。
この状態であれば、今回は抜歯は避けれそうです。
紹介元に戻ってクラウンを製作してもらう流れとなりました。
歯は人の手が入れば入るほど残すのが難しくなります。
極端な話1回目に治療した先生より2回目は上手な先生に治療してもらわないと治りません。
2回目の治療に失敗した3回目の治療は、更に上手な先生に処置してもらわないと治りません。
つまり神経の治療は1回目を治療する先生の治療で、その歯の運命の殆どは決まってしまいます。
日本の根管治療の成功率はざっくり50%程度という事実があり、
神経を取った半数は再治療 ⇒ 抜歯 ⇒ブリッジ、入れ歯、インプラントの図式です。
悪くなって歯内療法専門医より最初から専門医にかかっておいた方が無駄な時間やコストを減らすことが出来ます。
今回のケースもう1年後のレントゲンも撮らせてもらいたいと思います( ・_・)/
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