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歯内療法日記: 2024年11月アーカイブ

根管治療は1回、2回で終わって大丈夫なのか!?

以前勤めてもらっていた衛生士のOさんが根管治療2回目で来院された際に、

職場の同僚衛生士が

「根管治療2回で終わらせて大丈夫なの!?」

「普通は4~5回薬の交換してから根管充填でしょ!?」

と言われたらしいのですが、

  

まず文献的には1回法でも複数回法でも予後に大きな違いはありません。

  

要は、「1回の治療でどれだけ歯の中を綺麗にして、菌数を減らせたか」がポイントであり

何度も何度も無駄に根管治療を繰り返す必要はないと思っています。

*自分が患者でも少ない回数できちんと仕上げてくれる方が時間的にもありがたいです。  

    

患者さんのOさんに職場の衛生士さんに、

「根管貼薬を繰り返す根管治療なんて昭和の時代の昔ながらの治療だよ」

「自分は令和時代の根管治療を受けていると説明しな」と返答しました。

   

『職場での人間関係が悪くなるのそんなこと言えない!』

と言われましたが(笑)

 

 

ホント根管治療は難しく、先生のレベルにあった治療と基準、解釈になるので

一概に何回の治療が良いなどいえませんが、1つ言えるのはラバーダムや隔壁を作っていない先生とは土俵が違うので議論ができない。

土俵と言えば昔、

私のレジンの恩師の〇橋先生がその昔アメリカで保存治療で拡大鏡を使っていない(裸眼治療)という理由で、その議論には入れなかった。(その後、先生達に拡大鏡を教えてもらったとか)

という話をされていましたが、まさにその通りで話・議論をするなら最低限の共通認識に元に議論をしないと話がかみ合いません。

  

一般的に歯科治療はその先生の経験から培った基準での治療をしていることが多く殆どが我流になっています。

  

 

今回のブログケースが良い例だと思います。

セラミックを作ってもらっている技工士さんの紹介の50代の女性患者さん  

 

痛みが出た後、歯科医院に行ったら根管治療が必要と言われ

3カ月前から毎週歯科医院で薬の交換をしているが一向に良くならない。

2週間前からまた腫れてきてしまい、また痛みも出てきた。

家族の技工士さんに相談しEEデンタルを教えてもらう。  

  

レントゲンを撮ると大きな根尖病変が見られます。

2024 EEdental HT (1).jpg  

ただ・・・

隔壁はしていない、仮蓋は封鎖性のあまいストッピング、

中を見てみると、虫歯は残っている遠心頬側根は手付かず。。。

  

昭和時代の治療なら薬の入れ替えを何回も行い、症状を引くのを待つのでしょうが、

治療を例えると、『雨漏りしている家の床を毎週雑巾がけしているようなもの』

 

治すのであれば雨漏りする場所を塞いでから床掃除しないと、半永久的に雑巾がけする羽目に・・・

  

1回目の治療で、虫歯をきちんと取り(腐っている部分の除去)、隔壁(雨漏り修理)を作り、手付かずの根管を探して治療して、歯の中の汚れを徹底的に次亜塩素酸Naで洗い(床の雑巾がけ)しっかりと仮蓋(雨漏りしないように)。

 

2週間後の治療2回目

患者さんは術後に少し腫れたような感じはあったが、今は腫れや痛みはないとのこと

2024 EEdental HT (2).jpg

顕微鏡下で根管内に膿など悪い所見がないのを確認し、もう一度徹底的に根管洗浄(消毒)し歯の中が綺麗になったのを顕微鏡下で確認して、根管充填+レジンコア+仮歯まで入れさせてもらいました。

 

そこから仮歯で生活してもらい

 

今週1年予後で来院された時のレントゲン

2024 EEdental HT (3).jpg

大きな病変2つともだいぶ骨が出来てきてくれています。

  

悪くなってしまった体を治すには治す為のルール・法則があります。

その法則に従わない限り何度薬の交換をしても同じで治ってきません。

*細菌を殺す為の薬なんて、体にとっても「毒」ですからね。細菌だけに効いて人間には効かないなどの選択毒性のある薬はありません 

 

はっきり言いますが、根管治療は回数で治すものではありません。

どれだけ歯の中の細菌を除去でき体の治癒機転を作れるかどうかが勝負の分かれ目です。 

   

膿んだ歯の根管治療は歯の中の細菌をいかに減らすかゲーム

減らす為の選択肢は

①根管形成(削る)

②根管内洗浄(次亜塩素酸で洗う)

③貼薬(ホルマリンや水酸化Caなどの薬を歯の中に入れる) 

の3つがあります。

 

昭和ながらの治療では①と③が重視されますが、現代の根管治療(歯内療法専門医)は②洗浄をいかに効率的に行うか!?

ホント何度も何度も根管治療をしていると歯の中をどんどん削られ自分の歯は少なくなりますし、後の歯根破折リスクが上がります。

  

歯内療法専門医は③洗浄効果を増す為に①の工程も重視します。 

*洗浄効果が高くなるような形態に削って仕上げます。(洗いやすい形に整える)

  

私の治療では③は全く重視していませんし、貼薬剤を入れることも稀です。

  

また日本オリジナルと言うか、④根管充填を根の先まで行う というものを重視している先生もいますが、これも私は最近殆ど重視していません(笑)

変わる根管充填の重要性 - EE DENTAL_Blog

  

質問された衛生士の人も勤めた歯科医院(歯科医師)の治療がベースになっているので、根管治療は貼薬(薬の交換)を何度も繰り返すと学んだのだと思います。

きちんとやればパフォレーションがあっても1回でも治る時は治りますよ_〆(・∇・)

パフォレーションによる鈍痛 - EE DENTAL_Blog

 

繰り返しになりますが、体を治す為には体のルールを知りそれに準じて治療を行った方が治せる確率は高くなると個人的には思っています(・∀・)ノ

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治りが遅い!?根管治療後3年

近医の先生からの紹介の60代の患者さん 

1カ月前から咬み合わせた時に痛みがあるが、日によって痛み方が異なる。

  

レントゲンを撮ると、近心頬側根と遠心頬側根に根尖病変がみられます。 

2024 EEdental OO (1).jpg

ただ、咬んだ時に痛いというのと近心根の透過像的に折れている可能性がある

そのことを説明し根管治療スタート 

 

1回目の治療で人工物を全部外すと、髄床底部にクラックが見つかる

2024 EEdental OO (2).jpg

ただ、染め出し液で染めてみるも染まらない為、クラックはまだ開いていないと思われる。

 

患者さんに、ヒビはあるが残す治療は可能かもしれない。

例えると、今の歯はヒビの入ったコップ 

・水を注ぐと漏れてしまうコップ

・ヒビは入っているが水は漏れてこないコップ

今の状態は後者の水漏れしない状態なので治療を続けてもいいが、ヒビ自体は進行する一方で治ることはない。

1本奥歯が無い為、この歯を抜いてしまうと「部分入れ歯」or「インプラント」の2択となる。

 

一度治療してみて使える所まで使ってみるか!?

*1回目の根管治療で治療を止める場合は根管治療費の半分を頂きます。

 

患者さんは残したいということなので根管治療を継続し

根管治療2回目

2024 EEdental OO (3).jpg

根管充填+レジンコア+仮歯まで

 

3か月後の来院時

「腫れ痛みもなくなり、咬んでも痛くない」

 

 術後1年のレントゲン

2024 EEdental OO (4).jpg  

 遠心頬側根は綺麗に治ったのですが、近心頬側根の根尖病変にあまり大きな変化なし。

痛くなく、仮歯でも咬めるということでもう1年様子を見ることに

 

この辺りは専門医でも診断の異なる部分で、次の治療の外科的歯内療法や分割抜歯(トライセクション)や全抜歯に移行していく場合もあります。 

ただ、個人的には腫れや痛みなく患者さんが使えているのであれば様子を見るというのも選択肢の1つだと思っているので、

患者さんには「腫れや大きな痛みが出たらまたすぐ来てね、症状なく普通に生活出来ていたら次は半年後or1年後」と説明

 

歯を残す為に治療をしているのであって、綺麗なレントゲン所見を目指しているのではないので・・・

問題無く経過しており、2年後のレントゲン

2024 EEdental OO (5).jpg

近心頬側根も骨が出来てきているように見えます。

 

患者さんには骨出来てきたね!

今仮歯だから、仮歯が割れたり取れたらかかりつけの先生の所で本歯作ってもらってね。

その際咬み合わせは気持ち低目に作ってもらってね。

と説明 

 

で、

先日干し芋食べていたら仮歯が割れたから見て欲しいと連絡があり、見せてもらいました。

術後3年

2024 EEdental OO (6).jpg 

また多少透過像はあるものの、術後2年より骨は出来てきてくれています。 

患者さんに症状を聞いても全く問題無く使えていたとのこと。 

 

この状態まで治ってくれたので、紹介先の先生に本歯作ってもらってね!

と言って終診となりました。

 

昔は自分も1年経過しても骨が出来ない場合は治療の失敗とみなし外科的歯内療法など行っていましたが、最近は症状がなく使えていれば「待つ」という選択肢もありかなと思っています。 

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歯を長く使う為の基礎治療

患者さんは40代女性

過去に治療した所が悪くなってしまい、痛みが出たり引いたりしている。

一度きちんと治しておきたいとのこと 

 

レントゲンを撮ると、

2024 EEdental IW (1).jpg 

多くの歯が治療してあり、銀歯の下の大きな虫歯(骨の辺りまで穴が空いています)

根尖病変など・・・

  

基本的にこれらの疾患はレントゲンを撮らないと分かりませんが、

このようになった原因ははっきり言ってしまえば、過去の治療の質 

 

歯の治療は難しいのでこうなってしまいがちですが、このような状態になると「再治療が必要です」の繰り返しで抜歯が近づいてきます。

個人的にはですが、歯を失う最大の理由は歯科医師の治療だと思っているので、なるべくなら1回できちんと治療を仕上げた方がいいと思います。

 

患者さんと話し合い治療をさせてもらいました。

2024 EEdental IW (2).jpg

第1小臼歯:歯茎の下に大きな虫歯があり骨の辺りまで顕微鏡下で処理してクラウンに

第2小臼歯:銀歯の下の大きな虫歯を取り神経を保存してレジン充填

 

第1大臼歯:根管治療+レジンコア+仮歯

第2大臼歯:クラウンの下の虫歯の治療+仮歯

2024 EEdental IW (3).jpg 

他の歯の治療もさせてもらい1年経過して問題無いのを確認して、仮歯を本歯に替えていきます。

 

セラミッククラウンSet時 のシェード確認

2024 EEdental IW (5).jpg

*写真内に2本セラミッククラウンを入れています。

  

最終的な治療後のレントゲン 

2024 EEdental IW (4).jpg

根尖病変はなく、セメントの取り残しもなく、クラウンの適合も問題ありません!

  

歯の治療は手間と時間をかけないと、すぐに再治療となり歯を失う原因になります。

なるべく1回できちんと治療を終わらせ、毎日の歯磨きで長持ちさせることをお勧めします。

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