歯竜Ⅱ (長文)
- 2011年4月 4日 22:11
- 歯内療法日記
とある田舎町、
ピノコ:「先生っ、急患です」
歯竜:「どうした!!」
ピノコ:「前歯に問題があるそうです」
歯竜:「よし、まず口の中を診て、診査後レントゲン撮影だ!!」
ピノコ:「CT撮影は準備しますか!?」
歯竜:「・・・」
歯竜:「だからよぉ〜、前回言っただろ!? 」
歯竜:「歯科治療においてCTなんて殆どいらねぇんだよ」
「すぐにCT撮は撮らない、これ大原則な」
歯竜「お願いだから、覚えておいてね...」
診療室で、
患者さん:「先生、前歯の調子が悪くて・・・、後セラミックも割れて・・・」
歯竜:「分りました、口の中をみせてもらいますね。」
歯竜:「歯ぐきを見ると、前歯は過去に手術していますね」
「確かにセラミックブリッジも割れていますね。」
患者さん:「強度があるって言うんで、ジルコニアブリッジで作ったんですが。。。」
歯竜「?」 「ジ、ジルコニア!?」
スタッフルームにて、
ピノコ:「ジルコニアって割れるの!?」
歯竜:「イヤぁ〜、聞いたことない」
「セラミスト(技工士)にでも電話して聞いてみるか!」
歯竜:「ジルコニアって割れるもの!?」
セラミスト:「えっ!? 何言ってんですか、割れませんよぉ〜(笑)」
歯竜:「いや、患者さんがね」
セラミスト:「実は・・・」
「2000ケースやってますが過去一度だけですけど・・・」
「割れたケースがあります。。。」
歯竜:「えっ、それってまさか今回の患者さんでは!?」
セラミスト:「いや、それは120%ないんで大丈夫です」
歯竜:「そ、そうか、20%も多ければ大丈夫だな」
診療室に戻り
歯竜:「ピノコ、レントゲン見せてくれ」
ピノコ:「はい」
歯竜:「こ、これは」
うまく行っていないようだ。
患者さん:「どこか悪い所でも?」
歯竜:「根の方があまり思わしくありません」
患者さん:「えっ、抜歯ですか!?」
歯竜:「根の治療は家で言う基礎工事です、歯が長く持つかはここが重要です」
「セラミックのブリッジは後でどうとでも綺麗にできます。」
歯竜: 「大丈夫です、ちょっと難しい根管治療になりますが頑張りましょう!!」
とは言うモノの・・・、
『症状がある歯=外科処置』って間違っていると俺は思うな・・・
診療室にて、
歯竜:「これから、セラミックブリッジ除去ならびに、隔壁から根管治療を行う」
「患歯は、根尖が大きく破壊されていることが予想される」
「各自心してかかるように」
ぴのこ:「はい。 (各自って2人しかいないけど^^;)」
歯竜:「予想はしていたが・・・、顕微鏡(×13倍)で確認すると」
「やはり根尖が大きく開いている、ガッタパチャーでのシールは難しい・・・」
「これより、術式の変更を行う、根尖をMTAセメントにより完全に封鎖する」
手術後
歯竜:「理想的な根管治療ができました。 後は3、6ヶ月経過をみて行きます。」
診療後
ピノコ:「はやり外科処置は最後の手段にしておいた方がいいですね」
歯竜:「そうだな、原因は歯の中の細菌なんだから、まずは根管治療だな」
ピノコ:「治ってくれるといいですね」
歯竜:「何言ってんの!?、 俺がやったんだよ!!」
「治るに決まってんじゃん。。。」
ピノコ:「ですよね!!」
歯竜:「嘘!!、 大嘘です(汗) 治るかどうかは誰も分んないって」
「結果は6カ月後だな」
ピノコ:「・・・ (じゃあ、振るなよ)」
手術から6カ月後の定期健診
歯竜:「どうですか、あれから腫れ、痛みはありませんか!?」
患者さん:「はい、全く問題は出ていません」
6カ月後の定期診断
歯竜:「ピノコ、レントゲン」
ピノコ:「あっ、はい。」
「かなり綺麗に治ってきていますよ、被せ物入れれますね!!」
歯竜:「だから、レントゲン見れてもお前は診断しちゃダメなの」
「診断が出来るのはライセンス取った歯科医師だけだから」
患者さん:「どうなんでしょう!?」
歯竜:「かなり綺麗に治ってきていますよ」
「これだったら被せ物を作っていきましょう」
ピノコ:「・・・ (同じこと言っている。。。)」
患者さん:「お願いします。前のセラミックの形が好きだったんですけど」
歯竜:「分りました、まず仮歯で理想形を探りましょう」
歯竜:「まず歯の方を整える程度削らしてもらいます」
技工師との打ち合わせ
歯竜:「あっ、いつものように綺麗な仮歯をよろしく」
ピノコ:「持つべきものは上手な技工士ですね」
歯竜:「だな(笑)」
歯竜:「こんな感じどうですか!?」
歯竜:「透明感や色合わせは最終的なセラミックでないと演出できないので」
「今回は歯の形と長さのコメントをください」
患者さん:「OKです。 と言うか私これでもいいですけど・・・」
歯竜:「じゅあ!!」
歯竜: 「いやいや、いや(汗)」
「2〜3週間後の歯ぐきが馴染んだ所で、型採りしましょうか」
型採り当日
歯竜:「これからダブルコードによる歯肉圧排と、シリコン印象を行う」
「いつもの根管治療、レジンに比べれば余裕だが各自気を抜かないように」
ピノコ:「だから、各自って2人だけだって!!」
歯竜:「ホント根管治療に比べたらラクだな・・・ 言っちゃいけないのかコレ(汗)」
歯竜:「綺麗に型が採れました、次回はジルコニアの仮合わせをします」
患者さん:「?」
歯竜:「ジルコニアクラウンは全てジルコニアで作るんではないんですよ」
「2層構造で精度と強度をを決める中の層がジルコニアで、」
「外の色出しをする層はセラミックです」
患者さん:「なるほど、次回は精度の確認をするんですね!!」
歯竜:「そうです、理解が早い!!」
「今回の歯は4本くっ付いているブリッジだから、この作業が「肝」になります」
患者さん:「へぇ〜」
2週間後のジルコニアフレームの試適
患者さん:「こんな形になっているんですね」
歯竜:「そうなんですよ、本歯になるとこの部分全部隠れちゃいますけどね」
「じゃあ、顕微鏡で適合を確認します」
10分後、
歯竜:「じゃあ今日はお終いです」
患者さん:「えっ!? もう!?」
歯竜:「はい」
「次回完成になります、カッコイイのセラミスト作ってくれますから」
患者さん:「大丈夫ですか!?」
歯竜:「大丈夫、大丈夫、じっちゃんの名にかけて!!」
歯竜: 「爺さん靴屋だけど(笑)」
ジルコニアクラウン セット
患者さん:「本物みたいですね!!」
ピノコ:「上手な技工士さんに作ってもらうとホント分りませんね!!」
歯竜:「根の状態も良いし、長く使えると思いますよ」
最後に、
フィクションですから突っ込まないようにm(_ _;)m
「長い期間の通院、お疲れさまでした!! 」
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