Home> 歯内療法日記 > 非原性歯痛を疑う前に根管治療でやること
非原性歯痛を疑う前に根管治療でやること
- 2021年3月 6日 09:03
- 歯内療法日記
50代の女性患者さん 近医からの紹介
奥歯に仮歯のブリッジをしてから、口を開けただけでも激痛が出るようになり
歯髄炎をおこしたと判断し抜髄を行ったが改善が見られず。 とのこと
患者さんのインタビューでも
痛みはなかったが仮歯を入れてから痛くて咬めない、また冷たいもの温かいものがしみるようになった。
今月(初診月)に歯茎が腫れてきた。
仮歯を外すとラクになり、仮歯を入れると痛みが出る。
一度かかりつけの先生に非原性歯痛を疑われ、薬を飲んだが1日寝てしまい怖くてそれ以降飲んでいない
レントゲンを撮ると
根尖に病変所見あり
推測ですが、神経ある歯の象牙質を露出させたことにより細菌感染
⇒冷温痛が出る
⇒歯髄死
⇒病変が現れる
と推測、患者さんには非原性歯痛の疑いもあるがまずはきちんと根管治療を行ってから
非原性歯痛か判断した方がいいと説明。
初診から1か月後に電話があり、左の下から腫れを感じ抗生剤を飲んだが、
次の日には更に腫れ今は左の眼の下まで腫れているとのこと、
急患で診察を行うと、やはり左下の歯が原因で大きく腫れ歯茎に波動も感じる。。。
とりあえず、応急処置で切開と仮歯を除去、追加で抗生剤の投与
(顔がパンパンに腫れており点滴で抗生剤を入れた方がいいかも!?)
切開を行うとだくだく膿が出てくる。。。
切開を行い膿を吸い続けること10分、ようやく膿っぽいものが出なくなりました。
とりあえず、ドレーンを作り排膿を促します。
切開をすると減圧できた為か患者さんの左顔面の痛みと腫れ感が一気になくなったとのと
*目の下の腫れぼったいのも嘘のように無くなりました。
こういう風に腫れると、今回の「痛み」は細菌感染だろうと推測
切開2週間後から根管治療
行ったのは根管内の徹底的な洗浄
(切削はNi-Tiで少しだけ削った程度です)
治療回数3回目の1か月後には腫れ感も痛みもなくなり根管充填
根尖が比較的大きめに削ってあったので根管充填にはMTAをチョイス
3か月後の診査時
腫れや痛みもなく仮歯で咬めているとのこと
この状態であれば本歯を作っても問題ないと判断し、かかりつけの先生に返書を書き終了!
今回のケースは、レントゲンでは小さな病変初見でしたが2~3年に1本という腫れ方をしてきました。
痛みが取れないと非原性歯痛を疑うことはセオリーですが、薬を使う前にまずは根管内を徹底的に洗うことです。
以前、関西の同級生(保険医)から電話がかかってきて
「犬歯の抜髄したら、痛みと腫れが引いてこない」と今回と同じようなケースを話され
私が言ったのは、『まずラバーして徹底的に20分ぐらいは次亜塩素酸で洗え!』
1か月後には無事治療が終わったと報告をもらいましたが、
専門医的にいうと多くの場合「痛い歯=細菌感染」
細菌感染を取る為には ファイルでガリガリ<<<<<<根管内洗浄
私が大学で教えられたファイルで根尖を大きく削るなどしません!
むしろしちゃダメ!
ようやく今週から知立で開催するエンドハンズオンのスライド作り始めましたが、
このセミナーではまず抜髄の練習を徹底的に行う予定です。
(抜髄が出来ないのに感染根管治療なんてできる訳ないですから)
事務局の働きで、非常に多くの協賛企業が付いてくれて材料もストレスなく使えます。
*基本的に私、企業に嫌われる側の人間なので協賛企業はないものかと思っていました(笑)
来週は知立で顕微鏡レジンのハンズオンです!
参加して頂く先生方、頑張りましょう!
- 購読
- Powerd By