Home> マニアックレジン > | EEデンタル こだわり > 子供の乳歯の虫歯

子供の乳歯の虫歯

患者さんは5歳の女の子(私の娘)

一見歯の外からは虫歯はないのですが、

仕上げ磨きの際にこの歯だけ微妙に少し色が違う(少しグレーに見える)

     

レントゲンを撮ると

2021 EEdental Sa (1).jpg

きゃ~、虫歯! しかも神経付近まで。。。

   

歯科医師が仕上げ磨きをしていたのにも関わらず・・・

  

基本乳歯の虫歯治療はしていないので娘に普段は子供治療をしない

「特別だよ」と説明したら、

「えっ、何で出来ないの!? 頑張っていないからできないの!?」

と、ド正論で来られたので、

「専門性を上げる為に出来るけどわざとやらないの!」

と大人でも理解してもらえない回答で応戦(笑) 

 

彼女は、初麻酔、初切削、初充填 と「初」尽くし

小児歯科では、歯科医院に慣れることから少しずつ始めますが・・・

 

そんな悠長なことをしている暇はない!

 

基本的に小児の治療は

「無痛下で恐怖心を与えないのが原則」

その為には無痛での麻酔は必須!

 

たまたまですが、先月2人の患者さんに

「先生の麻酔は他所の歯医者と違うことしているの?全く痛くないのが不思議なんですが・・・」

と言われましたが、麻酔は全て技術です(笑)

   

 

子供の麻酔を行い治療スタート

表面麻酔を行い、不味い麻酔液を味あわせないように慎重に無痛で麻酔を行い

5分待つ、

 

そこからは乳歯でも全て顕微鏡治療 

虫歯の観察を行うと近心の歯茎付近から虫歯が出来中に進行していたようで

完全にステルス虫歯! 

   

毎日仕上げ磨きしていましたが、

「こんなの裸眼で分かるか!!!」

と思いましたね(笑)

 

 

毎月顕微鏡で入念に診察するか、レントゲンを定期的に撮らないと分からないタイプの超厄介な虫歯!

 

  

途中からエキスカでもの凄く慎重に削って行ったのですが、

やはり永久歯とは違いすぐに露髄(神経が出る)!

あれだけ露髄させないように注意していたのですが・・・

  

乳歯の抜髄なんて20年近くしていないので、とりあえず直接覆髄を試みることに

  

ネットでは直接覆髄材は「MTA」、「MTA」言いますが、

個人的なトレンドにはなりますが、MTAは使用せず止血後

セラカル(レジン)で露髄面を隠しボンディング⇒レジン充填

 

覆髄材の材料による差というのは第3象牙質の「質」には差がでますが、

〇〇という材料を使うから成功率が飛躍的に上がるとはならないそうです。

   

 

術後のレントゲン

2021 EEdental Sa (2).jpg

痛みが出ないように祈りつつ経過観察

 
     

その後、半年近く経過して、手前の歯(D)も怪しいことに気が付き

前回治療した歯(E)の経過観察でレントゲンを撮ると・・・

  

たぶん虫歯、顕微鏡で見てもはっきり虫歯の入り口が分からない・・・

切削診断を行い虫歯を見つけることにしました。 

  

1mm程度の穴を開けると!やっぱり虫歯。。。

 

前回の治療の反省から、露髄させないように「シールドレストレーション」で治療を試みる!

*シールドレストレーション:軟化象牙質を取り除かなくても窩洞を完全に封鎖すればカリエスが進行しない、という考え方です。

   

基本的に神経が露出して行う直接覆髄より神経を露出させない間接覆髄の方が成功率が高いことが分かっています。

私はごく少量の虫歯の残存より、神経保存の成功率の高い方法をチョイスしたいので今は間接覆髄系が多くなっています。  

ですから最近は大野先生に教えてもらったカリエス除去のダブルスタンダード術で治療を行っています。

*去年の年末の講演でこの辺りのことは説明させてもらいましたが、自分的にも虫歯の取り扱いは1つレベルが上がったなと感じます。

  

シールドレストレーションを成功させる為には「どら焼き」理論であんこ(虫歯)を確実に生地で包む

この外枠の生地の部分の虫歯は徹底的に除去することで封鎖性の確保ができ予後の安定が見込めます。

  

「シールドレストレーション」ほど顕微鏡マスト!な治療もありません!!

顕微鏡下で縁の虫歯だけ徹底的に除去して、

神経に近い場所の虫歯だけわざと残し顕微鏡下でレジン充填

2021 EEdental Sa (3).jpg

術後全く痛みはなく、経過しています。

  

フロスした際に2日痛いと言った程度でした。 

追記:術後2週間現在痛みも出ていません。

  

この後、約3~4年神経を取らずに、永久歯にうまく入れ替わってくれればいいのですが。。。

 

 

小児の虫歯で悲観的になる親御さんが多いそうですが、歯科医師の娘でもこんなことあるので

一般の方であれば定期的に歯科医院でチェックだけは受けておかれた方がいいですよ。

・虫歯のなりやすさは人それぞれ(遺伝もあります)

・親が出来るのは食生活因子の改善(ながら食べは危険!)

・親が仕上げ磨きは必ずする、フロスもやると良い

・定期的な歯科医院でのフッ素塗布と夜寝る前のフッ素で予防 

 

乳歯に虫歯が出来てしまった子ほど永久歯は要注意です。

ホント虫歯になりやすいです。  

 

以上、

虫歯を作ってしまった親と乳歯の歯髄保存でした(ー△ー;)

Index of all entries

Home> マニアックレジン > | EEデンタル こだわり > 子供の乳歯の虫歯

購読
Powerd By

Return to page top