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年配の方の石灰化した歯の根管治療リスク

歯科治療をしていると年齢毎に特徴があり、

年配の方の根の治療、特に1回目の抜髄に関しては難易度が高いケースが多いです。

 

理由は神経管部分の石灰化で神経管が細くなる・隠れるというものです。

 

もともと若い時は水道管のように太かった管が年々、その管が細くなりストローのような管になります。

またその管に、石のようなものも貯まるので根の先まで治療するのが難しくなります。

 

 

患者さんは60代 男性

左下の歯 調子がよくないとのこと

 

見せてもらうと、

2023 EEdental NK (1).jpg

2019年のレントゲンでは問題無かったのですが、神経の治療をした歯に根尖病変が見られますが・・・

結構大きく削ってあるのと、未処置根管(治療していない神経管)がありそう。 

 

年配の方の歯髄腔は小さいので裸眼で行うと神経管を探す為にどんどん削ってしまいどうしてもこうなってしまう傾向があります。

これは裸眼治療では仕方がありません。

 

来院される患者さんでEEデンタルのブログの影響か、顕微鏡治療が標準治療と思われがちですが、

世界的に歯科治療は裸眼が標準治療で顕微鏡治療が特殊なものです。

日本ぐらいではないでしょうか、ここまで顕微鏡が普及している国は(それでも数パーセントです) 

私は基本的に抜髄であればコンサバティブエンドで行うので、3mm程度の穴から治療します。

2023 EEdental NK (4).jpg

   

ただ、顕微鏡がない本来の根管治療は「トラディショナルエンド」

*下の図A,Dの紫色の切削

2023 EEdental NK (3).jpg

私のアクセスは図B,E(緑色)で、その方が歯質の強度を大きく下げずに済ませられます。

  

今回のケースは、一般的な歯の削り方で従来の根管治療はここまで削りなさいと教科書的な方法です。

 

ただ、

2023 EEdental NK (2).jpg

最初にコンサバティブエンドアクセス(3mm程度の穴)で治療せてもらった場合が黄色(イメージ)

図の黄色の周りの白い部分が削ってレジンで埋めた所

    

年配の方の石灰化した根管だとここまで削っても神経の取り残しや逆に削り過ぎて歯に穴を開けるなどのトラブルに合いやすいです。

 

今回の歯 4根管中2根管が手づかずだったので、その部分まで治療させてもらいました。

2023 EEdental NK (5).jpg

白い線が増えているのは分かりますかね!?

  

専門医から見ても、難しい神経管治療

前の先生も頑張って治療してくれたとは思いますが、自分の手に負えないと思うのであれば

歯内療法専門医なり、大学病院なりに患者さんを紹介してもいいと思うのですが・・・

 

歯科医師超過剰時代、患者さんの囲い込みをしたい気持ちは分かるのですが、患者さんメリットをまず第一に考えてあげてもいいのでは!?と個人的には思います。

 

結局、調子の悪い歯は患者さん側から動かない(転院)と知らない間にどんどん歯が悪くなることもあるので注意してください。 

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