折れていると思われた歯
- 2025年8月19日 09:00
- 歯内療法日記
根管治療をする前に撮るレントゲン、専門医はこれを見て治せそうか!?検討します。
根の治療で治らないのが歯根破折(ヒビ)
他院からの転院でこられる患者さんの一定数はこの破折があり、
折れており治らないのに根管治療を続けてしまっていることがあります。
歯内療法専門医は一般歯科に比べると破折歯を見る割合が多いので、
レントゲンで「もしかしたら折れているかもしれない」と推測を患者さんに話すことがあります。
ただ、「歯根破折」という病名を付けれるのは術者が破折線を見つけた時
この破折診断の難しい所は、破折は顕微鏡でも全て見つけれる訳ではなく
歯茎の奥の方(根の先端)の方から折れてくるものに関しては殆ど分かりません。
今回のケースは
30代女性
2022年12月に痛みが出てしまい抜髄 その後治療を続けるが痛みが治まらない
しばらくすると膿んできてしまい、2~3ヵ月おきに抗生剤を飲んでいる。
治らない為に転院し根管治療を続けるがフィステルが治まらず、抗生剤で対処
2024年5月の初診時のレントゲン
近心根に透過像が見え、所見的に①もしかしたら折れているかも!?的な感じ
もしくは②根分岐部のパフォレーション+根尖病変のどちらかのパターン
また遠心舌側根も2年治療している割には手付かず。
経験上、抜髄スタートで治療を続け折れるというのも考えにくい・・・
ただ、患者さんには折れていたら近心根を分割抜歯し⑦⑥6の延長ブリッジにすると説明
まずは膿の原因を見つける為、その部分を適切に処理する為に根管治療をすることに
治療を開始すると、
仮蓋材を除去して歯の中を観察すると、近心根の入り口辺りにパフォレーション(治療による穴)
やっぱり②か・・・
黄色の部分に穴(パフォレーション)が開いていました。
穴の開いた部分をMTAにてリペアし手付かずの遠心舌側根を見つけ治療
近心根は2年におよぶ治療でかなり削られていた為、MTAセメントで根管充填
2年治療していた歯を1回法で治療
レントゲン上では綺麗に治療出来ています。
近心根過去の治療で削り過ぎでしょ!?と思います。闇雲に削った所で歯の寿命だけ縮めているだけで・・・
治療後1か月後に膿が出ているようなら分割抜歯をすると説明し、
1か月後の検診
膿は止まったが、なんとなく違和感を感じる。
⇒膿んでないのでこのまま様子をみることに、長いこと出ていた歯の違和感はすぐには消えません。
患者さんに説明するのは、膿や腫れが無ければ違和感が出ていた期間ぐらいは待ってと話します。
経過を見て行き、根管治療から1年後
レントゲン的には骨はしっかり出来てくれています。
患者さんの症状は腫れや膿はないが重い感じがまだ少し残っている、たまに痛むような雰囲気はあるが続くことはないということ
経験上、この違和感はもしかしたら残ってしまうかもしれませんが、
体は治ろうという所見がでてきているので、このまま様子をみることにしました。
毎回同じ言い回しになりますが、根管治療と言うのはホント1回目の治療でその歯の寿命の殆どは決まります。
悪くなってから処置しても不快症状が残ったり、歯の強度が落ちたりとあまり良いことはありません(T。T)
患者さんは通った先の先生が治してくれているものだと通院していますが、当の先生は根管治療に限界を感じているのは薄々気が付いていると思います、ですから自分の根管治療の限界であることは患者さんに早目に伝えるべきかと個人的には思います。
そうしないと歯の寿命も短くなるし、患者さんの時間も費用も無駄に奪っていることになります。
また患者さんも半年通院して1本の歯が治せなければ転院すべきかと思います。
大昔に書いたものですが:難しい根管治療と転院の時期 - EE DENTAL_Blog
- 購読
- Powerd By