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歯内療法日記: 2022年5月アーカイブ
膿が酷いので取り除けない難しい状態の歯!?
- 2022年5月28日 09:09
- 歯内療法日記
患者さんは小柄な30代女性
15年前に抜髄をした歯が痛み出し腫れてきた。
近医の歯科医院でクラウンを外し、抗生剤をもらい腫れと痛みを抑えた。
先生には膿が酷いので取り除けない難しい状態の歯と言われた。
とのこと
レントゲンを撮ると
根は大きく二股に分かれていますが、前側の神経管は手づかずで大きな根尖病変が広がっています。
これは軸の問題で、
黄色の軸は口の入り口から入りやすいのですが、
ピンクの軸は道具を奥から神経管に入れないといけないので難しくなります。
特に患者さんが今回のように小柄な女性だと、
開口量が小さく物理的に道具を入れるのが出来ない場合もあります。
こういうケースはやはり攻め方があります。
マイクロオープナーで突いて、ガイドを作りプロテーパーのSXで根管上部を拡大し、
ショートファイルで根管中央辺りまで入り口を広げる。
その後、ハンドファイルの#08Kを穿通後にNi-Tiで拡大
このブログメーカーの人も見ているようなので知っておいてもらいたいのは、
抜髄でもフルレングスで治療できる歯ばかりではないこと
このような最初からハンドファイルもはいらないような根管には長いNi-Tiファイルは入りません。
ショートファイルが必要になるのですが、そのファイルは時代の流れからか廃止の方向になっており・・・
そういったクラウンダウン用のファイルを開発してください。
治療2回目に根管充填+レジンコア
根尖は以前の治療で破壊されてなかった為、根管充填材には ガッタパーチャーを使用
綺麗に治療出来たので後は半年待ってレントゲンでの成否の判定
をする予定だったのですが、
根管充填から1か月後連絡があり、
痛み止めを飲むほどではないが、時々痛みその回数が多くなっている気がするとのことで来院してもらい
口腔内を見させてもらいましたが、腫れや歯茎からの膿は出ていないので
「今回はとりあえず様子をみてください」となりました。
患者さんには治る過程でも弱い痛みを感じる人はいます。
腫れや膿は治療の失敗を殆どの場合で意味しますが、患者さんの弱い痛みは指標には使いづらく
痛みというのは私は絶対的指標には使っていません。
一般的に根管治療後に痛みが出ると失敗と考えられがちですが、
私の経験では無菌アプローチできちんと治療した場合、腫れや膿が出ない限りとりあえず待ちます。
で、今回の患者さんの
術後6か月
レントゲンでは綺麗に骨ができてきてくれています。
臨床症状は「腫れはない、痛みは前に比べだいぶ小さくなってきている」とのこと
患者さんにはこれだけ骨が出来てきてくれていれば、弱い痛みは日にち薬で収まる可能性があることを説明させてもらいました。
小柄な女性だと一番奥の歯は道具が物理的に入らず治療の難易度が高くなってしまう場合もありますが、何とか残せれて良かったです。
ケースによっては一時的にラバーなしで治療することも稀にあります。
ラバーダム出来ない歯の根管治療 - EE DENTAL_Blog
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主訴:根管治療中だが痛みが取れず不安
- 2022年5月18日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは30代女性
根管治療中だが痛みが取れず不安
とのことで来院
3カ月前から知覚過敏が酷くなり、温かいものが凄く凍みて痛みも出てきた為
A歯科医院で抜髄治療(初めて神経を取る)を行う。
その後固いものが当たると痛かったが、根管治療が終わりクラウンを入れると痛くて咬めない。
入れたクラウンを外し、再根管治療を行うことになり週に1~2回治療をしているが歯茎の痛みも出て来ている。
治療後1~2日後には痛みが再び出て治療の繰り返し。
だったが、先生は最終的な薬まで治療を終えてしまった。
痛みが続く為、B歯科医院に転院をして、洗浄を行ってもらった。
その後、EEデンタルへ
レントゲンを見ると、
わずか3カ月余りでかなり歯を削ってしまったよう
また遠心根にはパーフォレーションを疑わせる所見もあり。
CT上では遠心根に根尖病変様の透過像も出て来ている。
患者さんには、歯の保存は難しそうだがトライしてみるか!?
咬合痛、当たった時の痛みは治るケースでも半年程度はかかる可能性があると説明
30代の最も大切な第一大臼歯ということもあり、残す方向で治療させてもらいました。
治療1回目
遠心根に2か所大きなパフォレーションが見られました。
たぶん、再治療の際、自分で入れたメタルポストを除去する際に歯に穴を開けてしまったのでしょう。
健康な歯が2壁があればメタルポストなどは入れなくてもいいとガイドラインがあるのですが・・・
また同一歯科医院だと根管治療後のやり直しの治療は治療費が頂けないので、治療が雑になってしまったのかもしれません。。。
かなり大きな穴2か所をMTAにてパーフォレーションリペア
でこの日の時間が来てしまい1日目終了
治療2回目
治療後3~4日痛みがあったが、今は腫れ、痛み共にない。
とのことで、残りの根管の治療を行い、根管充填+土台(レジンコア)+仮歯
今月に入り、6か月予後のレントゲンで来院してもらいました。
患者さんは、最近になって咬むときの違和感、痛みはだいぶ減ってきた。
違和感などを忘れる日も増えてきているとのこと
レントゲン
パフォレーションした場所、遠心の歯根膜腔も正常に戻っており
このパターンなら待てば収まるなと判断し、もう半年仮歯で様子をみて
1年予後で問題がなければ本歯を入れましょうと計画
患者さんも「抜かずに済みそうで安心しました!」とおっしゃられていました。
根管治療は0.1mm以下の単位での治療が求められる繊細な治療です。
闇雲にガシガシ削ってもどんどん歯は無くなってしまいます。
繰り返しになりますが、歯科医師の先生も自分の手に負えないと思われたら
口腔外科で親知らずの埋伏歯を抜いてもらうように、歯内療法専門医を使う時代だと思います。
そうしないと患者さんが可哀そうです。(自分の子供にも同じことするのか!?と毎回思います)
先生の技術の問題で抜歯 ⇒ インプラント(40~50万)って。。。
歯を残したい方は根の治療が得意な歯科医院で相談された方がいいですよ。
今回の患者さんも普通の抜髄スタートで歯を失う直前まで行っていた訳ですからね(>。<)
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スライド修正
- 2022年5月12日 17:19
- 歯内療法日記
極々一般的なファイル操作の「ターン&プル」
私は、抜髄で細い根管を追う場合は回転20~30度の繊細なターン&プル
感染根管などでGPを溶解して取る場合は60度ぐらいの大き目のターン&プル
というようにファイル操作って、目的により操作法を変える必要があります!
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根管治療後10年
- 2022年5月 5日 09:04
- 歯内療法日記
今日から診療スタートです。
本日は15時まで診療を行っております。
何かありましたらご連絡ください。
今回は長期症例を1ケース
患者さんは当時40代の方
4か月前から痛くなり水やお湯で痛みが出る。
その後、近医で根管治療をしてもらうも痛みが増してくるので、再び根管治療をやり直してもらうも痛みは治まらず。
受診時は咬むと激痛という状態
レントゲンを撮ると
ん~!?過去に2回根管治療した割には、根充剤もなく根管治療をした歯には見えないのですが・・・
遠心のポケットも8mm ただ、動揺はなし
大きなアンレーには咬合調整で穴が開いてしまっています。
患者さんには推測にはなるが折れている可能性が強いこと、P-Per(歯内歯周病変)の可能性も僅かにある。
抜歯も1法であることを説明しましたが、患者さんは残せるようであればトライしたいとのことで、根管治療をさせてもらいました。
治療1回目、前の治療は冠部歯髄は触ってあったのですが、髄床底まで到達しておらず、
顕微鏡下で怪しい場所を丁寧に削って行くと、3根根管を発見!
またクラックなどは根管壁には見られず。
穿通・拡大・洗浄まで行いこの日は終了
治療2回目、痛みは無くなったとのこと
根管内が綺麗なのを確認して根管充填+支台築造
綺麗に根管治療ができましたが、この後腫れたり、大きく痛んだらその時は抜歯を考えた方がいいと説明
患者さんにはこの状態(土台)でしばらく経過観察をすると説明。
根管治療から6か月後に一度遠心のポケットが腫れ、プロービングを行うと排膿あり。
やはり保存は出来なかったか・・・と思いましたが、患者さんは治療後調子がよく
この状態でも噛めているとのことで「今は抜きたくない」と話される。
話し合って経過観察をすることに
治療後1年
第2小臼歯に大きな虫歯が出来てしまってます。
また根管治療を行った第1大臼歯の骨にもあまり変化なし。。。
ただ、患者さんは痛みもないとのことで、使えるのであれば今は抜歯したくない。
コアのままだったので、レジンで歯を作ってみました。
*写真左側の大きな歯
その後はレントゲンを撮るだけ
遠心根根尖に骨が出来てきてくれています。
噛むのも全く支障ないとのこと。
2022年、他の治療で来院された際に久しぶりにレントゲンを撮らせてもらいました。
レントゲンの角度が多少違いますが、遠心の方にも骨が出来てきてくれています。
歯根破折に思えるような透過像は無くなっています。
術後に腫れた際には残らないように思えた歯でしたが、10年経過しまだまだ使えそうな所見に変わってくれています!(・ω・)ノ
*たぶん歯周病の問題で腫れたのかな!?と推測されます。
ホント歯の治療は分からないことだらけです(゜∀゜;)
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