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ラバーダム出来ない歯の根管治療

歯内療法専門医=ラバーダム、顕微鏡、MTA的なイメージがありますが、

今回のケースはラバーダムなしで行った1ケース 

  

 

患者さんは20代女性

親知らずの影響で大きな虫歯が出来てしまい、神経が死んでしまい歯茎から膿が出てくる。

近くの歯科医院で治療をスタートするも1本しか神経管が触れないということ。

   

レントゲンを撮ると、

2020 EEdental SaA (1).jpg

かなり窮屈なところから歯が生えてきており、歯の軸も他と違い

このようなピンク色の口の奥に傾くような軸の歯は治療が非常に難しくなってしまいます。

  

先日書いた似たようなブログ

http://eedental.jp/ee_diary/2020/06/post-2073.html 

 

その他の所見としては、  

レントゲンを見る限りかなり大きな虫歯も残っている感じ・・・

親知らず側の遠心ポケットからは排膿(膿が出てくる)

CBCTでは根尖病変が大きく第一大臼歯(1本手前の歯)の根尖にも透過像が広がる感じ

  

これは前の先生も相当治療が難しかったと思います。

   

  

まずは1時間近くかけ虫歯の除去と隔壁を行い

2020 EEdental SaA (2).jpg

*基本的に虫歯部分は菌の巣窟ですから、根管治療を成功させる為にはまずは虫歯の除去!

  

で、次に根管治療をスタートさせるも・・・

  

小柄な女性でかなり窮屈な所から生えてきていた歯の為、

ラバーダムのクランプが骨に干渉してかけられない・・・

*色々試行錯誤しクランプは4種類ぐらい変えましたが、どれもフィットせず

   

しょうがないので患者さんに理由を説明してラバーダムなしの簡易防湿での根管治療となりました。

   

私はラバーダムをしないと根尖病変は治らないとは思っていませんが、

ラバーダムない状況で治療を行うと、唾液が入らないように絶えず気を使うのと

ファイルなどの器具の先が患者さんの口腔粘膜に付かないようにかなり気を使わなくてはいけないのでラバーダムが出来た方が気がラクです。

   

治療を行うと出血は1滴もなく神経は完全に死んでしまっており、

その影響で歯の外の骨が大きく溶けてしまったと考えられます。

 

 

2回法で治療2回目に腫れや痛みのないこと、膿がでてきていないことを確認して

根管充填→レジンコア・レジン充填

2020 EEdental SaA (3).jpg

*根管充填にはガッタパチャーを使用

  

 

 

そして、根管充填3カ月後

2020 EEdental SaA (4).jpg

腫れや痛みもなく、少し骨も出来てきており膿も全く出てこない状態になってくれています。

  

 

 

医療の場合

「〇〇をすれば治る、△△を使うと治る、◎◎がないと治らない」

には残念ながらなりません。

 

根管治療でいえば、

『ラバーダムをすれば治る、MTAを使うと治る、顕微鏡がないと治らない』

ではありません。

 

歯内療法の道具は、あった方が成功率を数%上げるのに役立つ程度だと私は思います。  

  

 

いやいや、今回の難易度の高かった歯、治癒傾向が出始めて一安心です!(・。・)

*逆に言えばラバーダムがないので道具を入れる空間が作れ、この歯の治療が出来たとも言えますね!(^。^)

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