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歯科の転院を繰り返す人ほど歯が無くなる事実

内科や皮膚科などに比べると、歯科の場合【転院】というのが多いと思われます。

    

内科や皮膚科と違い歯科の場合、

「診断 ⇒ 薬で治す」ではなく「診断 ⇒ 手で治す」になるので、

2つのステップが成功して初めて治癒の見込みが出てきます。

 

基本的に医者・歯科医師になる為の国家試験というのは、頭の知識量を見る試験であり

手先の器用さ不器用さというのは一切関係ありません。

 

*大学時代、不器用な学生に教授が「キミは国家試験が受かっても臨床(治療)をやるな!」と説教していましたが(笑)    

 

するとやはり、診断は合っていても、施術がうまく行かないケース出てきてしまい、

痛みや腫れが続いたり、思うように咬めないなどの不満・不信感が出てきてしまい、

「他の歯科医院で一度診てもらおう」となってきてしまいます。

 

 

この理由の1つに歯科医師の患者さんへの説明不足という点もあるかと思います。。。

 

  

  

ただ、この転院も善し悪しで、

歯科の場合、全ての歯科医師が同じ基準で治療をしている訳ではありません。

A先生が処置を行い「まぁ大丈夫だろう」と思っていた歯でも

B先生は「これは良くない、再治療が必要」というケースはざらにあります。

 

  

特に多いのは「クラウン・インレーの不適」「レジンの変色」「根の治療(根管治療)」

 

クラウンやレジンはやり直しによるダメージはそこまで大きくないのですが、

処置したことにより抜歯になる可能性があるのが【根管治療】

・症状がなく、うっすらレントゲンで影が見える歯

・ガッタパチャーの入りが悪い

・大昔に治療した歯

などの理由で再治療を提案され、痛みが無かったのに治療してから痛みが出始めた。

 

というケースは珍しくありません。

     

個人的には、治療を行い10年以上経過した病変のない歯は下手に根管治療しない方がいいと思っています。

治療したことにより「非原性歯痛」を起こしたりと・・・

*特に痛みの問題は女性に多く見られ、細菌感染に配慮していない根管治療でこの問題は起こります。 

 

  

今回のケース、40代の男性患者さん

 

遠心根に歯根吸収が見られ病変も見られ、治療をしていても腫れが収まらないという歯

2020 EEdental NM (1).jpg

病変2つに歯根吸収・・・ 

近心にも病変があるのですが、遠心根のみ治療しているようです。 

  

この歯、頑張って残す治療をしてくれていますが、

ガンガンインプラント歯科医院では有無を言わさず抜歯になりそうな歯で、抜歯も1つの選択肢だとは思います。

 

ただ、患者さんは何とか自分の歯を残したい。 

 

 

難しい根管治療であることを説明し、根管治療スタート

 

激細に細くなっていた手ずかずであった根管(MB)を探し、

吸収が見られる、遠心根は2根が癒合した形態でその部分を綺麗に掃除し、

2回目の来院時には腫れや痛みも無くなり、

 

3回目の治療時に根管充填(遠心根:MTA根管充填)

2020 EEdental NM (2).jpg

MBとMLはイスムスで繋がっており、根尖で主根管も合流するタイプの根尖 

*この場合MLから根管充填するとMBの根管充填がラクになります。

 

  

補綴終了後

2020 EEdental NM (3).jpg

腫れは症状もなく、 だいぶ骨も出来てきてくれています。

 

治療後3年8ヵ月

2020 EEdental NM (4).jpg

腫れも一切出ていませんし、過去のレントゲンに比べるとだいぶいい感じ!

 

  

ただ転院した場合、これだけ良くなってきていると知らない先生は

「この歯抜歯した方がいい」

と判断するかもしれません。

 

これは歯科の世界では全く不思議ではありません。

  

私は揺れもなく、症状もない使えている歯であれば残す方向で考えますが、

以前、インプラントの先生に「先生(私)は歯を残しすぎ」と基準値の差を指摘されました。

  

 

先の患者さんの右上も前の先生がトライセクションを行った右上6

2020 EEdental NM(5).jpg

所見的にはコア・クラウンは不適、歯槽骨も減っているなどから

「再治療」or「抜歯」という判断かもしれません。

 

が、

私的には腫れもないし、使えているのなら持つまで使ったら!?

言葉は悪いですが、「問題の先延ばし」です。

*これでもうまく行けば10年ぐらい使えることもあります。ただ、積極的に強く咬むのは推奨できませんが・・・

**先延ばししちゃあ駄目なケースも当然ありますよ。   

   

患者さんが望むのは多少悪くても「歯の保存」です。

一方、歯科医師が求めるのは教科書通りの完璧な治療です。

つまり求める基準が施術する側、施術を受ける側で異なるのです。 

 

また個人的なイメージですが、

歯科治療は7~8割治せる先生は相当上手な先生だと思います

残念ながら10割治せるという先生は存在しません。

いたら、天才かウソつきのどちらかです(笑)

   

日本の根管治療の成功率40~50%ぐらいに照らし合わせると分かると思いますが、

歯科治療って教科書通りの方針をたてても、うまく行かないことも多いことを知っておいてください。

特に治療計画が多岐に渡ると全ての治療が成功して理想形になる為、相当ハードルが高くなります。 

  

  

どうしてもうまく行かないと次の先生となってしまいますが、

次の先生が今の先生より上手な保証はどこにもなく、むしろ積極的に抜く先生であれば・・・

転院先の先生は歯の保存が得意な先生なのか、無くなった歯を作るのが上手な先生なのかは必ず調べるべきです。  

 

【転院】は患者さんの権利ですが、転院する際はくれぐれも慎重にね!( ´  3`)

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