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根管治療で起こりやすい非原性歯痛
- 2020年6月 3日 09:04
- 歯内療法日記
患者さんは40代女性
症状が無かった左上6を治療した後痛みが出てしまい、
神経の治療を行いクラウンまで入れたが痛みが取れない。
かかりつけの先生には治療の限界と伝えられ、
抜く前に何とか出来ないかとEEデンタルへ
受診時の症状は
・噛むと痛い
・ジワジワ痛む
・温かいものでしばらく痛みが持続する
・冷たいものでもたまに痛む
・時々ズ~ンと痛いときがある
・フロスなどを通すと一過性だが痛い
とのこと
レントゲンを撮ると
前の先生も頑張って何回か根管治療をした痕が見られます。
根の先に炎症所見はなし、しいていえば黄色〇の部分に隙間が見られますが、
比較的綺麗な治療がしてあります。
次にCBCTを取るとMB2(4本目の神経管)がありそうな雰囲気
患者さんには、痛みが取れるかはやってみないと分からないが
経験上、治療後劇的に痛みが取れるということはまずないこと、
痛みが取れる場合でも3~6か月後に症状が緩和されることが多い
非原性歯痛のような痛みを脳が記録していまっている場合は専門の医療機関を改めて受診する必要があること
を説明して根管治療スタート
1回目に全ての人工物を除去して徹底的に洗浄
そこから、1カ月おきに来院してもらい経過観察
治療3回目
レントゲン的には変わった所見なし
痛みは取れておらず、治療後5日間ぐらいは痛みがないが
その後元のように痛む、歯ブラシが当たったりすると痛い
顔を洗った際にも痛い
定期的に来院してもらいますが、やるのはインタビューとNCでの簡単な洗浄のみ
ファイルでゴリゴリ根管を削ることはしません。
*根尖を削る=刺激を与える になると考えているので
治療半年後の6回目
半年経過しても病変様の所見が現れないのですが、
痛みは取れないので、今回のケースは非原性歯痛による痛みの可能性が高いと判断して
井川先生の病院に紹介状を書き、井川先生の所で治療スタート
井川先生の所で治療を開始して半年後(根管治療スタートから1年)、
痛みは落ち着いてきている傾向がありとりあえず根管充填してくれと来院
根管充填(狙ってショート根管充填、オーバーさせると痛みが出やすいので)
症状を聞くと、痛みはまだあるが痛みのない時間は増えてきている
歯に物が当たるとまだ痛いとのことで、この状態で咬合させるのはまだ早いと判断し
仮歯はもう少し経過をみてからとしました。
*変に急ぐとまた痛みがぶり返すことがあるので
そこから3カ月後の治療開始から1年4カ月
咬むと違和感がある程度まで痛みが減ったので、仮歯をSet
そこから更に4か月後(治療開始から1年8ヵ月)
普通にしている時の痛みは無くなり、咬めている
触ると多少の違和感がある
とりあえず、もうしばらく仮歯で様子をみようと話
更に4か月後
「痛みは殆どなく何でも食べられる!」という所まで改善し
治療から2年後
ようやくクラウンSet
長いこと遠い所から通院お疲れさまでした。
何とか抜かずに保存させることが出来ました!(^。^)
根管治療は歯科治療の中でもトラブルの多い治療の代表格です。
このように稀ですが、根管治療から長期に痛みに悩まされてしまうケースもあります。
今回も井川先生のお力あっての歯の保存となりました。
http://eedental.jp/ee_diary/2016/03/post-1351.html
患者さんへ、
根管治療トラブルや歯の長期保存にに関しては歯内療法専門医を探してみてください。
*根管治療は治療中でも転院は可能です。
後、
開業医の先生も4カ月以上痛みの引かない歯に関しては、歯内療法専門医の意見を聞いた方がいいと思います。
*毎回数百円の保険根管治療費で無理に患者さんを抱える必要はありません、近くの歯内療法専門医に丸投げでいいと思います。
前にも書きましたが、
「歯内療法専門医を紹介できる」というのもエンドの治療技術の1つだと思います。
以上、年に数件ある非原性歯痛ケースでした。
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