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根管治療で未処置の多くなる神経管

根管治療において予後が悪いのが「奥歯」

  

理由は2つ

1、奥ほど治療がしにくい(手間と時間がかかる)

2、奥歯ほど神経の形が複雑になる

というのが上げられます。

 

治療する側としては、まず治療がしにくいのが開口量が少ない患者さん

2020 mokei (1).jpg

口は上顎が頭蓋骨に固定されており、下顎が耳の前のヒンジで上下に動きます。

言わば、ドアのような構造でヒンジに近い側ほど隙間が狭くなります。

 

つまり前歯は作業スペースが大きい(ピンクの線)、奥歯は作業スペースが狭い(黄色の線)

 

また、歯の神経は入り口の前歯ほどシンプルな神経管構造で、

奥歯に行くに従い神経管の本数が増え、複雑な神経管構造(イスムス、樋状根、癒合、湾曲)になります。 

  

 

当たり前ですが、口は手を入れられる方向が一方的で、奥歯でも神経管の軸の向きにもより難易度が変わります。

特に未処置根管が多いのが、【上顎大臼歯の近心頬側根(MB)】

  

上顎の神経管でも遠心頬側根(DB)は

前歯と同じような入り口から奥の方向へ軸があるのでファイルなどの道具が入りやすいのですが、

2020 mokei (2).jpg

 

 

問題のMB根は

2020 mokei (3).jpg

喉の奥側から手前に道具を入れなくてはならない為、先のDB根に比べ数倍治療がやりにくいです。

またMB根の多くは湾曲根管で真っ直ぐの針金で曲がった根管を治療するのも手間がかかります。

 

 

臨床上でも

2020 EEdental GK (1).jpg

急な湾曲でファイルの操作が相当慣れてないとストレートライン部のみしか治療できません。

*残りの2根はきちんと治療されているので、これでもかなり上手な先生が治療したと思います。

  

今回のケースは運悪く治療しずらい根管に感染が起こって骨が減ってしまっています。

 

2020 EEdental GK (2).jpg

このケースは前の治療で湾曲点付近にレッジが出来てしまっていました、

そこを修正して根管充填するとこんな感じ(白い線が曲がっているのが分かると思います)

 

またこの近心頬側根

2020 EEdental GK (4).jpg

第4根管も出てきて、イスムスで繋がっていました。

  

この場合ここの部分を治療するには

1、確認 (顕微鏡、CTでも多少推測はできます)

2、道具 (超音波、マイクロオープナー・デブライダー、ニッケルチタンファイル)

3、腕  (結局は人の手で治療します)

 

 

レントゲン(偏心投影)

2020 EEdental GK (3).jpg

MB、MB2の2本が根尖付近で合流

 

手技的にはかなり綺麗に行きましたが、感染の原因は顕微鏡でも見えない「細菌」

術者納得の治療でも、治ってくれるかは別問題・・・

歯科治療はベストを尽くして天命を待つ!\( ̄゜ ̄)

*来院される患者さんのどの歯も自分なりのベストを尽くしていますよ。 

 

今後この歯も経過を見ていきたいと思います。

 

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