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歯内療法日記: 2023年11月アーカイブ
「私、失敗しないので!」
- 2023年11月21日 09:03
- 歯内療法日記
毎回スタッフに調べてもらっている根管治療の記録
EEデンタル2022年 歯内療法専門医 根管治療傾向 - EE DENTAL_Blog
ファイル破折は昨年起こしてしまったのですが、
ここ数年はパフォレーション(歯に穴を開ける)は無かったのですが、
昨日とうとうやってしまいましたパーフォレーション・・・
一応報告がてらブログに、今回のケースは失敗とリカバリー術です。
患者さんは40代女性
非歯原性歯痛の治療が落ち着いた所でしたが、右下の被せが割れたとのこと
レントゲン
クラウンの中に大きな虫歯がみられます。
また根管は急激に湾曲しているように見え、かなり長いファイバーポストが入っています。
患者さんには抜歯の可能性も出てくるので早目に治療した方がいいと説明し根管治療からやり治すことに
クラウンを外し虫歯をう蝕検知液で染めて除去し、ファイバーポストを削っていくと
途中で、少し根管軸を見失ったのでレントゲンで確認すると、
やはり歯軸とは違う場所を削り始めていました。
*ピンクの線が削るべき所、黄色線が今私の削っている所
*この時点ではパフォレーションはない
遠心(奥)よりを削り始めているので、もう少し近心側(手前)を削る必要があります。
で、修正しながら削って行くと、
もうそろそろガッタパーチャー見えてもいい深さなんだけど出てこない・・・
そこでまた確認の為レントゲン撮影
*緑が今削っている所
よく分からないがそろそろ潮時のような気も・・・
もう少し削ってみると、ピンクの点が!
これはガッタパーチャーか歯肉(パフォレーション)か!?
恐る恐る、先端が0.1mmのオープナーで突くと微妙に出る出血!
「パフォった。。。」(失敗)
専門という人間が、顕微鏡を使って色々な道具を駆使して時間をかけて少しづつ削って行っても、やってしまいます。
患者さんには後で説明しますと話、MTAにてパフォレーションリペアとレジンコアを製作
たぶん、赤い場所がパフォレーション(MTAでリペア)
穴を開けてしまいましたが、その穴はおおよそ0.2mm程度
また穴を開けたら細菌感染する前に即日埋めれば予後も悪くないことを説明させていただきました。
歯科は先生毎に考え方が違いますが、
「ここまで長いファイバーポストを入れる必要があったのか!?」
取れなかった私の言い訳です(笑)
金属の土台などは歯と色が違うので顕微鏡でその部分だけチョンチョン少しずつ削って行けば除去はできますが、
このファイバーポストは透明で歯の深い部分になると歯の色と同化してしまい、
どこが歯なのか、どこがファイバーなのか簡単に認識できません。
レジンを固める光照射機で波長を変え観察したりするのですが、よく分かりませんでした。
まさに、「光軸迷彩(造語)」
次の日同じような長いポストを入れた患者さんに
金属の土台は歯と材料の色の違いからだいたい取れます。
ただ、歯と同化する色材料は違いが分からず顕微鏡でも間違った部分を削ることがあります。
と説明すると、患者さんに
「奥歯なんだから、青でも赤でも色付ければいいのにね!」
と患者さんでも分かる対策を言われました。
歯科の世界って、自分のやった処置(被せ物・詰め物)は外れないようにという考えがあり、
次のやり直しの治療のことなど微塵も考えない処置もあります。
毎回言いますが、一度削った歯科治療を受けた歯は必ず再製の時期が来ます。
その際に難攻不落のピラミッドのような誰も受け付けません!という処置をされていると、
次の処置はミスが起こりやすいです。
私の考え方も一般的ではありませんが、
少なくとも私がやった処置は永久に持たないと思っているので、必ずやり直しの際にトラブルになりにくい配慮はします。
将来の治療選択肢は多い方が歯を残せる確率は上がると思っています。
審美性や接着性を考えるあまりこういった考えは蔑ろにされています。
補綴・審美屋(被せ物)とエンド屋(神経の治療)では材料に対する考え方が違います。
ドラマではありませんが、「私、失敗しないので!」なんて言葉口が裂けても自分は言えませんね。。。
今回の患者さんたぶん大きなトラブルにはならないと思いますが、この後しばらく経過観察を行います(・・;)
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セミナー次の日の3mmの穴からの根管治療
- 2023年11月17日 09:00
- 歯内療法日記
日曜日にセミナーをさせてもらい
第8回 エンドセミナー終了 - EE DENTAL_Blog
その内容は咬む面に3.5~4mmの穴を開け根管治療を行う
というものでした。
一部のアメリカなどの専門医では行われている方法なのですが、日本では全くマイナー
むしろ「そんな治療あかん!」という感じ(笑)
理由は、
「そんな小さな穴からきちんと治療出来るわけない!」「神経取ったら被せ物なんだからガッツリ削ればよろしい!」
昔から言われる基準の咬合面から根管口が全て見えるように開けなさい。(がっつり削る)
これは裸眼時代の治療基準であり、顕微鏡があれば、わざわざ3根、4根が見れる必要はないと思っています。
開けた所で、3根、4根同時に治療できる訳ではありませんし、治療は1根ずつなので1根ずつ見れれば必要十分です。
また大きく髄腔開口すればきちんと根の先まで治療出来るか!?といわれればそんなこと120%言えないと思います。
毎回思うのですが、内視鏡が無かった時代に内蔵の手術で大きくメスで切って開いて手術して、侵襲が大きい分痛みも出ますし、治りも遅いですし、傷も大きく残ります・・・
一方内視鏡の登場で3か所ぐらいから内視鏡が入る程度の1cm程度の切開で手術が可能になりました。
歯科って、こういうトレンドは取り入れないのか!?
手術繋がりで言えば、大きく削った割に何回も治療を繰り返す。
根管治療は体の中を触る治療なので、言わば小外科手術なので体の外と中を繋ぐ部分は速やかに封鎖した方がいいのですが、長々治療し細菌感染を起こして痛みが出る、更に治療が長引く・・・
言わせて頂くと、 大きく削ってその日のうちに終了!なら分かるのですが、
大きく削って長々治療
小さく削って細菌感染させないようにその日のうちに治療
どちらがいいのでしょう!?
私がこんなことやり始めたのは、「根管治療」と「レジン」が専門だから。
個人的には、咬合さえきちんと見極めれば特段かけたりはあまりないんですけどね。
クラウン入れた所で、歯根破折は起ってしまう訳で。。。
今回の患者さんは60代女性
4年前に私がレジン充填をさせて頂いた歯が腫れてきたとのことで来院
少し大き目にレジンを詰めた所の神経が死んで膿んできています。
患者さんに根管治療の必要性をはなし、1回法で根管治療
当然3mmの穴から髄角含め見える部分の歯髄は全て除去しにいきます。
治療時間1時間45分
小柄な女性で開口量が小さく、患者さんに頑張って頂き1回で根管治療+レジンコア+レジン充填の治療を行いました。
特にML根は上部が上部が石灰化物で隠されており、ハンドファイルも歯軸と開口量の問題からなかなか入らない。
こんな時は、オープナーを使いショートレングスのファイルで根管上部を処理してから治療を行うのですが、こういったコンセプトの道具がなかなか無い為、色々なメーカーの使えるんじゃないか!?というものを購入して試行錯誤しています(笑)
ハンドファイルも21mmからですが、根管上部を触る場合こんな長さ要らないんですよね・・・
多分、17mmもあれば十分で上のオリフィスオープナー的な役割的なハンドファイルがあればね!
作ってもたぶん売れないと思うのでメーカーも作らないとは思いますが、個人的には#06を削ってカスタムファイルを作ることもあります。
後、使えるのはC+ファイル、これも微妙に短くテーパーが付いているので、プッシュ&プルをしていると必然的に漏斗状拡大が出来ている!
今回のケースも綺麗に治療出来たと思います( ・∀・)v
この後レントゲンで根尖病変の経過観察を行っていきます。
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痛みが無くならない左上
- 2023年11月11日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは40代女性
主訴は「他で治療をしましたが、違和感が消えない」とのこと
2021年10月に左上が激痛で近医を受診
左上6に膿があり神経が死んでいるとのことで根管治療を行う。
その後も1日4~5回歯を触った際に痛みが続いているので現在仮歯で様子をみている。
痛みの原因が分からない為愛知学院大学を紹介れる。
疲れると左の下も痛いのと、左の舌も痛む(舌痛症と診断を受ける)
ここ1週間ぐらい大きな痛みがある。
冷たい物・温かいものでキィ~ンと痛むが硬い物は咬んでも痛まない。
とりあえず、レントゲン&CTで診察
前医の治療で左上6の根尖病変は治ってくれています。
私が出した結論は今の痛みの原因は左上6ではなく左上7ではないか!?
電気歯髄診断でも左上7は反応はあるが、弱々しい反応
患者さんには、根管治療をして半年様子をみてもらい症状の改善がなければペインに行ってもらうと説明。
1か月後に連絡があり、
急に左上7に痛みが出てきた、食べたり体が温まると痛い。
左上6は叩くと響くのは落ち着いているとのこと。
やはり今回の痛みの原因は左上7だと思われます。
根管治療を行うと、すでに昔の治療で露髄をさせていたようで
それに気が付かず処置を行われており、神経はほぼほぼ死んでおり歯の中からの出血もゼロ
石灰化も進行しておりかなり細い神経管でしたが3根を治療
1か月後の治療2回目
左上7に痛みや腫れはないが左上全体の違和感は無くなっていない。
根管内は綺麗な状態で、異常所見(膿、出血)は無い為に根管充填を行いレジンコア+仮歯まで
なかなか複雑な神経管の形でしたが、綺麗に治療出来ています。
先生の中には完全に症状が落ち着いてから根管充填という考え方の先生もいますが、
私は尊敬する小林大先生の「根管内が綺麗で特にやることなければ根管充填し、きちんと蓋まで」という考え方を継承しており、
腫れ、大きな痛み、根管内の排膿、根管の見落としが無ければ違和感程度であれば根管充填し接着性のある材料で蓋を作り経過観察します。
私は仮蓋の封鎖性はあまり信用していませんし、仮蓋期間中に細菌感染を起こさせてしまっている気もしています。
患者さんには仮歯を入れているので咬もうとすれば咬めますけど最初は積極的に咬まないように、
腫れ・大きな痛みが出たら電話してください。
違和感が減るには違和感が出ていた期間ぐらいは待つ必要があると説明。
で、6か月後のレントゲン検診
患者さんは、症状は一切無くなり違和感含めないとのこと。
レントゲンでも根尖の歯根膜腔が戻ってきてくれています!
今回のケースはペインに行かず治りそうなケースですが、女性の場合痛みを抱えやすい人がいるので
痛みの中長期間治療はあまりお勧めできません。
何度も何度も歯の中を削って刺激を与えながら様子をみるより、少ない回数で歯の中をきちんと消毒して、後は待った方が個人的にはいいと思っています。
この辺りは先生の経験により考え方が分かれる所なので、他の先生からすると否定的な意見を受けるかもしれませんが、私の場合これで上手く行くことが多いので、この流れで治療をさせてもらいます( `・∀´・)ゞ
*患者さんも遠方の方が多いのでなるべく1回の時間を長めにして、少ない回数で治療を行っています。
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毎日歯は動きます。
- 2023年11月 7日 09:08
- 歯内療法日記
仕方がありませんが、歯科医師であれば当たり前のことでも、患者さんからしたら知らないことがよくあります。
その1つが「歯は微妙に毎日動いています」
歯と歯は上と下で叩き合いをし、前後の歯で押し合いをしています。
で、その力のバランスが取れた所に歯があります。
ですので、患者さんによっては、詰め物を入れた数年後に隙間ができ物が詰まりやすくなったり、
逆にフロスが通せていた所が窮屈になってフロスが通らなくなることもあります。
私見ですが、この現象は40代以上の方によく見られます。
特に歯周病で骨のない方だと歯の支えが減っている為、よく動きます。
患者さんは60代女性
たまに痛む左下に根尖病変があり、根管治療をさせてもらいました。
赤丸部分の骨が溶けています。
根管充填⇒レジンコア+レジン充填
歯質があまり無くてもレジンで補綴したケース
*最近はクラウンにすることが多いです。
治療後から7年の再初診時
左下の奥歯にものが詰まりやすくなったとのこと
再初診時のレントゲン
歯が動いたようで奥2本の間に隙間が存在します。
術後7年のレジン
手前の小臼歯のセラミック
奥のゴールドアンレーも治させてもらっています。
患者さんには根尖病変も治っているし、とくにレジンも問題無さそうなので
レジンで接触点を作れば物は詰まりにくくなると説明し、
エリオットのセパレーターを使用して、
極細のチップとデブライダー(根管治療の道具0.08mm)でコンタクトを作りました。
顕微鏡がないと左下6を大きく削ってクラウンにするとは思いますが、
私的にいえばクラウンはまた将来で良いかなと思います。
顕微鏡がありレジンが得意な先生であれば、大きく削らず即日修復で治すことも可能です。
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