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歯内療法日記: 2024年5月アーカイブ
歯科医師の腕
- 2024年5月29日 09:00
- 歯内療法日記
同じように見える歯科医院
2023年で67,614医院あるそうで、私が開業した2007年に比べても微増みたいです。
ほぼ99%の歯科医院は保険医療機関であり、保険証があれば気軽に受診ができます。
ただ、歯科医院を受診する際に何を基準に選択するのか!?
多くの方は家から30分ぐらいで行ける評判の良いと事だと思います。
個人的には、周りの口コミというのは結構参考になると思いますが、先生の腕までは治療を受けてみるまで分かりません。
保険医療制度の為、日本の歯科医師の腕と言うのは一律であり技術の優劣を謳う広告というものは禁止されていますが・・・
やっぱり歯科医療というのは、材料より先生の診断能力と技術でほぼほぼ決まってしまいます。
患者さんは40代女性
右下の銀歯を白い歯に交換予定で現在治療中
術前時は痛くなかったのですが、治療スタートから痛みが出てきた。
先月までは痛かったが、最近は落ち着いてきているそう。
レントゲンを撮ると
レントゲンを見た瞬間 99%パフォレーションだな・・・
*パフォレーション削り過ぎて歯に穴を開けること
たまにあるのですが、銀歯をセラミックに替える為にわざわざ問題無い歯の根管治療する意味ある!?と思います。
↑これは診断能力
石灰化した根管探す為にパフォレーション起こしたのかと思います。
根尖病変がない石灰化した根管を開ける意味はあるのか!?
患者さんには申し訳ないのですが、白い歯云々の前にこの歯は抜歯しますか!?という状況。。。
と言うか、治療している先生も患者さんに状況を話さないのか!?
患者さんには残す方向でトライしてみるか!?聞き治療させて頂くことに
1回目
ML根に小さなパフォレーション、DB根にビックパフォレーションがありMTAを用いてリペア
治療2回目
石灰化している根管の確認を行い、次亜塩素酸ナトリウムで徹底的に洗い
根管充填+レジンコア+仮歯まで
患者さんには1年ぐらい仮歯で問題が出ないか様子をみると説明
その後、他の治療もさせてもらい、1年後
骨も戻ってきており経過は良さそう!
これは技術で治します。
歯科治療の多くは近くは一度触った歯のやり直しです、そのやり直しの精度は歯にとって重要な因子です。
多くの患者さんは、歯科医師の言われるがままに治療を受けられており
悪化して初めて「この先生ちょっと・・・!?」という状況だと思います。
歯を長持ちさせたければ、必要最小限の介入と治療で長持ちさせた方がいいと個人的には思います。
と言っても、EEデンタルは甘・甘自己評価で「中の上」レベルですけどね(笑)
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太く削る根管治療
- 2024年5月28日 09:00
- 歯内療法日記
根管治療にはトレンドがあり、私が学生時代には
根管治療はある程度太く削って壊死した歯髄と細菌を除去し次亜塩素酸ナトリウムと過酸化水素水の交互洗浄を行い、発砲を促し歯の中の汚れを浮き上がらせる。
その後貼薬材を中に入れ消毒していくということを大学で習いました。
この当時、歯の中の汚れは削って取るという考え方でした。
ただ、最近のトレンドは抜髄に関しては、神経管はなるべく削らないようにして
必要最低限の切削後、次亜塩素酸ナトリウムで有機質の分解除去と消毒という手順に変わってきています。
貼薬も昔ほど重視されず、入れるなら水酸化カルシュームね!という感じです。
これは道具の進化による所が大きく30年までは無理だったことが可能になったことによる部分もあります。
大きな変化としては、削るより次亜塩素酸による消毒をいかに効率的に行い汚れを除去するか!?という流れになってきております。
患者さんは50代女性 2021年に来て頂いた際にレントゲンを撮ると
神経管の治療時に歯を大きく削り過ぎてしまったようで、歯に穴(パフォレーション)が開きそこから細菌が感染し骨が大きく溶けてきてしまっています。
手の感覚だけでに太く太く削る治療をしているとこうなってしまうこともあります。
ただ、当時は症状もありませんでしたし、私が治療しても高確率で抜歯になるな!?と思い
患者さんには病態のアナウンスだけ行い何もしませんでした。
そこから2年
歯茎が痛みジンジンする感じがすると連絡がありました。
他の歯には感染など見られませんでし、頬を押すと違和感があるという場所ともだいたい一致し、第2小臼歯の歯が怪しいと判断しました。
患者さんにかなり難易度高いですが、残す治療してみますか!?と提案
1回法で根管治療+レジンコア+仮歯まで
歯の中のネジを外すと予想通りに出てくる穴(パフォレーション)
そこをMTAで埋めてリペア
先日、仮歯が取れたとのことで来院されレントゲンを撮らせてもらいました。
レントゲン
少し骨出来て来たかな!?程度の所見でしたが、患者さんは術前のような不快感は全く出ていないとのこと
患者さんにはもうしばらくこのまま経過をみましょうと説明させていただきました。
根管治療は先生毎に治療の癖があり、太く削って治療を行う先生であれば今回のようなことが起こってしまいます。
顕微鏡の無かった時代なら仕方がないかもしれませんが、顕微鏡が普及してきている今
不必要に歯を削ることは避けられた方がいいと思います。
根管治療のトレンドも、昔ほど歯は削らない方向になっているので、古い術式の先生は今のトレンドを押させておかれた方がいいと思います。
歯根破折も歯質の残存量に関係があるとの事なので、なるべく歯を長持ちさせる為にも歯質の切削は考えた方がいいと思いますね!
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外科的歯内療法回避!
- 2024年5月24日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは50代男性
少し痛みがあり、近所の歯科医院に行ったところ膿が溜っていると言われた。
レントゲン
近心・遠心根に根尖病変が見られます。
患者さんに痛みが続くようなら治療をして改善するか様子をみた方がいいと説明
根管治療をさせてもらうと
近心根は根の先の方が石灰化しており、根の先まで穿通できず。。。
患者さんには開けれる所までは治療したと説明
*最初の抜髄であれば、95%ぐらい根尖まで穿通出来るのですが、1回目の治療で中途半端に治療してあると、2回目の根管治療はこのように途中までしか治療出来ないことが半数近くであります。
ただ、私は根の先まで人工的に削っては治療せずオリジナルの根管だけを治療するのでショート根充になる場合も多々あります。
患者さんには可能な限り消毒はしたので仮歯を入れて様子を見ましょうと説明し
1年後
症状などは一切無くなったのですが、レントゲンの影は消えてきていません。
患者さんには、次の治療は外科的歯内療法を行うか!?このまま被せ物を入れて症状がぶり返すようなら後で外科的歯内療法を行うか!?
と話し合い、とりあえずゴールドクラウンを入れることにしました。
遠心根は治って来てくれているみたいです。
術後2年
患者さんは症状は一切なく使えているとのこと
術後3年 ボトックス注射をしに来て頂いた際にレントゲンを撮らせてもらいました。
あれ、骨出来てきていないか!?
患者さんも一切症状はないとのことで、このまま使ってもらうことにしました。
誰だって歯は抜きたくないですし、外科も受けたくはないと思います。
外科的歯内療法は1ヵ月に1件程度はしていますが、行う歯は決まって膿が出てくる歯
今回のように、症状アリ→症状ナシになり 腫れが無い場合はたまにこのように待機診断を行う場合がありますが、今回の様に2年後ぐらいから骨が出来てくるように見える場合も極たまにあります。
積極的に白黒付けるよりは、白よりのグレーであればそのままという選択肢もありかなと思います。
ただ、この辺は歯内療法専門医でも先生毎に考え方の違いはあります。
特に私のような積極的に外科的歯内療法やらない専門医からすると、待って治るならそれはそれでいいんじゃない!?と思います。
もちろん痛みや腫れが見られる場合には外科も含め検討はしますよ。
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残せそうな歯を抜いてインプラント!?
- 2024年5月22日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは20代女性
銀歯が外れ歯科医院に行ったところ、銀歯が外れた歯とその前の大きな病変のある歯2本を抜歯してインプラントと言われたとのこと
レントゲンを撮ると
土台毎取れた奥歯は歯根破折でこれは抜かないといけない状態
ただ、第一大臼歯は抜く必要ある!?
まぁ、インプラントの方が根管治療より手間もかからないし、歯科医院的に費用面でも大きく稼げるからか!?
まだ20代の患者さんだったので、「第一大臼歯は残した方がいいよ」と説明を行い
根管治療をさせてもらいました。
根管治療後に仮歯を入れて経過をみて行き、半年後
溶けた骨も回復が見られこれであれば大丈夫でしょう!
ということで、ゴールドクラウンを作らせてもらいました。
この後、1年予後でレントゲンを撮って終わりとなります。
20代の患者さんに
「難しそうな歯だから抜いてインプラント」
はたしてその先生は自分の子供にも同じような治療方針を取るのでしょうか!?
ただ、現実インプラント押しの歯科医院に行ってしまうとこのような方針は日常茶飯事かもしれません。
歯科はかかった先生の得意分野で治療方針が変わってきます。
今回のようなケースでも疑問を持たずそのまま抜いて→インプラント治療を受けられる方はおられるでしょうね。
老若男女問わず、まずは自分の歯を残した方がいいと思います。
インプラントは最終手段でいいと思いますよ(・ε・)ノ
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死腔があっても普通に治る根尖病変
- 2024年5月18日 09:00
- 歯内療法日記
根管治療の漠然としたルールその1
「根の先まで根管充填材を入れる」
私も大学卒業の頃はこの考えの元、ガッタパーチャーが根の先まで入れば根尖病変は治ると思っていましたが、勉強していくとどうもこれは違う!
ただし日本の場合、過去の裁判で根の先まで根管充填材が入っていないという理由から裁判に負けた過去があるようで、本来の神経管とは違う所まで穴をあけてまでもガッタパーチャーを先まで突っ込むという治療もありますが。。。
個人的にはこれはなし!これやられると再治療の際の難易度が爆上がり!
今の私は体のルールに従い治療を行います。
患者さんは50代男性
左下6の近心根に根尖病変があるのですが、オリジナルの神経管とは違う場所を削っており
正にガッタパーチャーを根の先まで入れる為の治療。。。
患者さんは大きな痛みはないが違和感を感じることが増えてきているとのことで根管治療をすることにしました。
MB根とML根の間からMM根も出てきました、また前の先生が作ったレッジの脇から本来の神経管を探し掃除を行いました。
根尖まで穿通拡大はしましたが、レントゲン上ではガッタパーチャーは微妙にショートしました。
(つまり削った場所に、死腔(空洞)が存在します)
ただ、これは狙って行いました。
嘘です、オーバーさせないように詰めたらこの位置で止まっていました。
大学卒業した頃ならせっかく根の先端まで見つけて消毒したのに最後の最後で・・・
と思っていたと思いますが、最近は「OK、OKオーバーしていないね!」です。
(治る場合はこの程度の空間は自分の細胞で埋まります)
先日別件で来院された際にレントゲンを撮らせてもらうと
綺麗に根尖病変は治ってくれています!
術後9年のレントゲンでは根の先から2.5mmほどショート根充しているように見えますが、全く問題ありません。
根の治療は人工物の入りで決まる訳ではありません、どれだけ感染した細菌の除去ができるか!?
また治療後は新たな細菌を歯の中に入らない環境を作れたかの方が、ガッタパーチャーの位置より重要です。
正直、過去のガッタパーチャーの入りの裁判
この先もこの判例を日本は使い続けるのでしょうか!?
歯科医師になって25年
そもそも人間の体のルールなんて100年前の人でも今の人でも、100年後の人でも変わりないのですから、基本になる体のルールに則って診療を行う方が良いと考えますね!(^。^)
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過去最高に大きな根尖病変
- 2024年5月17日 09:00
- 歯内療法日記
たまにですが、根尖病変がかなり大きな方がいます。
過去に治療させて頂いた大きな病変
かなり多く骨が溶けてしまっています。
また大きな病変の影響か隣の歯の神経まで死んでしまっていました。。。
こういった大きな病変、先生によっては口腔外科で入院手術となることもあります。
ただ、このような大きな病変でも元々は歯の中の細菌感染なので、この部分の細菌を可能な限り減らしてやると
治療スタートから5か月後に根管充填
この時点で治癒傾向は出てきています。
先日久しぶりに来院されたのでレントゲンを撮らせてもらいました。
綺麗に骨も戻っており安定しております。
*親知らずの影響で第2大臼歯には虫歯が出来てしまっています。。。
歯科治療の「質」は診断ありき - EE DENTAL_Blog
根の病変が大きくても治る場合は治りますし、根の病変が小さくても治らないものは治りません。
私の場合、歯の中の細菌感染による根尖病変であれば、
「治すの難しいですけど、抜く前に一度根管治療トライするのがいいと思いますよ」と説明し
患者さんからOKをもらえれば通常の根の治療を行います。
こういった「大きな病変=口腔外科」と思われている先生も多いと思いますが、
まずは患者さんの為にも歯内療法専門医に一度相談されるのがいいと思いますよ!
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歯科医師の先生の大きな虫歯と神経保存
- 2024年5月14日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは歯科医師=虫歯がない ようなイメージがあると思いますが、
実際歯科医師も同じで、虫歯にもなりますし、抜歯する歯もあります。
また患者さんが歯科医院を怖がるように、歯科医師も治療を受けるとなると怖いし、憂鬱になります(笑)
患者さんは40代の歯科医師
虫歯を治したいとのことで来院されました。
口腔内 大きく歯がかけてしまっています。
先生もこの虫歯の大きさなので、神経を取ると思われて歯内療法専門医へ
レントゲン
虫歯は大きいものの考えるのは「何とか神経残せないか!?」
CBCTを撮り根尖の透過像を見るとなんとか神経を残せそうな雰囲気あり。
先生に一度神経保存をトライしていいか聞き、
先生も残せるのであれば神経を保存したいとのことで神経の保存をしてレジン充填を計画しました。
術前 ⇒ 術後
レントゲン
治療時間1時間30分
先日、治療後1ヵ月半ぶりに他の歯の治療で来られた際に痛みの状況を聞くと
「痛みは出なかったとのこと」
と言うことで、このまま行くことにしました。
大きな虫歯でも丁寧な治療で歯を保存出来る場合もあります。
ただ、虫歯が小さくても自発痛(持続する痛み)などの症状がある場合は不適応症となります。
虫歯が大きくても症状さえなければ神経保存を試してみてもいいかもしれませんよ。
歯科医院が怖いと虫歯を放置してしまっている方
歯の治療は後手になればなるほど時間も費用もかかり、成功率は低くなってきてしまいます。
歯の治療は怖いですが、今の時代痛みなく治療することは可能なので、悩んでいる方おられましたらまずは歯科医院へ相談だけにでも行った方がいいですよ。
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若い患者さんの大きな病変と骨の治り
- 2024年5月10日 09:01
- 歯内療法日記
患者さんは10代女性の予後報告
以前書かせてもらったブログ:若い人の骨の治るスピード - EE DENTAL_Blog
術前
治療から1年のレントゲン診断に来てもらいました。
どこに病変ありましたかね!?ぐらい骨が出来てくれています。
若い人の歯髄壊死による大きな病変の骨の治りは早いなぁ!と感じます。
(50代、60代ではここまで早く治るケースは稀)
女の子もお母さんも笑顔で帰られて一安心!( ・∀´・)ゞ
他県からの通院お疲れさまでした。
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