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根管内洗浄まとめ(Irrigation) サンディエゴのAAEのことを踏まえ
- 2010年7月25日 22:39
- 歯内療法日記
本当に放置しまくりで書き始めたのが、4月末。。。
存在すら忘れかけていたのですが・・・
根管内洗浄について、
2年前にAAEに行った時にはこればかり聞いていたのですが、今年は最終日近くに2セッションに参加してきました。
前回の
「いかに歯の中の余分なもの(死んだ神経、細菌)を歯の外にだすか」
の続きにもなるのですが。
細菌、たんぱく質(神経の死骸)効率的に出す方法として
・機械的清掃(削って余分なものを外に出す)
・化学的清掃(液体を使用して余分なものを溶かす)
の2種類があり根管内洗浄は化学的清掃の方にカテゴライズされます。
前に書いたGT-Xファイルなどは機械的清掃の方になります。
http://eedental.jp/eeblog/2010/04/post-77.html
興味があれば、昔何度か書いています。 ( 探してくださいm(_ _)m )
http://www.eedental.jp/blog/archives/category5.html
今回は、
化学的洗浄の根管内洗浄(イリゲーション)にスポットを当てて
日本ではあまり関心がない根管内洗浄ですが、数年前まで海外では非常にお熱で研究も盛んに行われていたのですが、一時期に比べ研究報告のピークは過ぎたみたいですね。
大分考え方が決まってきたようです。.
「ジャーナル」(AAEの学会誌)も2007年がピークだったとスライドがありました。
では、効率的な洗浄システムをみていくと。
まず、どんな消毒剤(洗浄液)を使用した方がいいのか?
因みに11年前大学で教わった「次亜塩素酸ナトリウム+過酸化水素(オキシドール)」
この組み合わせは過去のものであまり期待できる消毒効果は得られないと思います。
(完全に私見ですよ、ウチのブログですから自由に書かせてもらいます^^;)
と言うか、「次亜塩素酸ナトリウム+過酸化水素(オキシドール)」だと、お互いが直に中和してしまいあまり効果的でないような・・・
消毒効果を得る為には、ある程度薬剤が浸透する時間が必要なのですが、
AAEでも「次亜塩素酸ナトリウム+過酸化水素(オキシドール)」の組み合わせは全く出てきていませんでした。。。
現在(2010年現在)良いだろうとされている組み合わせは、
・1〜7%次亜塩素酸ナトリウム(注1)+2%クロールヘキシジン
・1〜7%次亜塩素酸ナトリウム+15〜17%EDTA
・1〜7%次亜塩素酸ナトリウム+MTAD
になるそうです。
みたいです^^;
(注1、1%次亜塩素酸ナトリウム(NC)はあまり期待できる効果はないとの報告もされていました)
次亜塩素酸ナトリウム(NC)について細かく見ると、
・温度 Kamburis et al, JOE 2003
・洗浄時間 Sassone et al, 2003
・濃度 Gomes et al IEJ 2001
・量 Goldman et al,000 1981
・多剤との組み合わせ Hasselgren et, JOE 1988
お勧め出来るのはNCを加温することです。(in vitroの研究ですが^^;)
冷えたNCと温めたNC、溶解作用は温めたNCの方がありますから、治療前に少し温めた方がいいですね。
超アナログ歯科医院EEデンタルでは
用意するもの
・2Lのペットボトル(お〜いお茶、使用)、
・500mlのペットボトル(ポカリスエット使用)
・10mlのシリンジ(テルモのロック式の物)
で下の部分で適当にカットしてください。
ペットボトルに熱湯を注ぎシリンジをさすだけ。
20分もすると冷えるのでお湯を変えてください。
これで洗浄効果を上げています。(これはお金がかからず次の日から実行可能!!)
その他の薬剤(MTAD、2%クロールヘキシジン、15〜17%EDTA)ですが、
MTADは極たまに使用していますが私的にいうと「?」です。
(ただただ高い洗浄液のような気も・・・ 日本では購入することが出来ないので海外通販で購入します)
難治性のものから多く検出される「Enterococcus faecalis」にターゲットにしているようなのですが、使っても治らない時は外科的歯内療法で治療するしかないですね・・・
日本ではあまりまだなじみのない2%クロールヘキシジン
浸透性は良く、NCに比べ生体にも為害作用が少なく、
薬効が持続もしますし良いとは思うのですが、まだ未知数。。。
以前、師匠が教えてくれたのですが。。。
忘れました(笑)
ただ、1〜7%次亜塩素酸ナトリウム(注1)+2%クロールヘキシジン
で使用すると泥状の沈殿物が根管内にできるので除去するのにちょっと厄介。
私は極たまに難治性のケースに使用しています。
NC+EDTAでフィステルが消えないケースには「MTAD」
でも消えない⇒クロールヘキシジン
年に2本ぐらいですけどこの方法を使うことがあります。
(完全に臨床的な感です、科学的な根拠は皆無です)
一般的に世界では2番目の組み合わせ、
「1〜7%次亜塩素酸ナトリウム+15〜17%EDTA」の組み合わせが多いですね。
この組み合わせがコスト的にも安いですしね(笑)
・有機質溶解には次亜塩素酸ナトリウム
・無機質溶解にはEDTA
で、もう一度先ほどの物を
・1〜7%次亜塩素酸ナトリウム(注1)+2%クロールヘキシジン
・1〜7%次亜塩素酸ナトリウム+15〜17%EDTA
・1〜7%次亜塩素酸ナトリウム+MTAD
ではなぜ2種類も洗浄液を使用するのか!?
NC1種類では駄目なのか!?
右側に書いた『15〜17%EDTA、MTAD』
これらはスメア層に対しても有効に働きます。
次亜塩素酸ナトリウム(NC)はスメア層の下の細菌を殺すことが難しいとされています。
洗浄液の主役はNCで、主役の演技をより引き立たせる為には、よい助演男優が必要になる訳です。
この助演男優が『15〜17%EDTA、MTAD』なのです。
では、「スメア層」とは何ぞや!?
歯の中は象牙細管と言うストローの束のような構造になっており、ハチの巣・洞窟様に穴がたくさんあります。
↑細菌 ↑細菌
この穴の中にも細菌が入り込んでいるのですが・・・
洞窟の入り口は汚れ(スメア層)でバリアされていて、頼みの綱のNCも入っていけません。
このスメア層は 神経を取るファイル(ヤスリ)を使用すると必ず出来てしまい、削りカス(デブリ)が穴の出入り口を塞いでしまいます。金属で歯を擦ると出来ると言われています。
洞窟内に逃げ込んだの細菌を殺すにはまず、入り口の削りカスをどかした方が洗浄効果が上がるのです。
↑細菌
このカスを溶かすものが,15〜17%EDTA、MTAD
細菌を殺す薬が次亜塩素酸ナトリウム
ですから2種類を使用した方が細菌を効果的に減らすことが出来、ベターな訳です。\(^_^=^_^)/
(2010年現在:10年後の考え方は分りません)
しかし、日本では・・・2%クロールヘキシジン、MTAD 購入が出来ません。(薬事の関係)
高濃度のEDTAも購入しにくい・・・
(ウルトラデントから高濃度のEDTA購入できますが、ジェル状なので。。。 ジェルにすると根管上部だけしか消毒できないような・・・ジェルにする必要が見えない(_ _|||) )
17%EDTAは海外通販では安く買えます。(と言いつつ最近購入先を師匠に教えてもらいました)
スメアクリーン(3%)よりはかなり安く購入できますが、ここでも薬事が・・・
薬事は良い面もあるのですが、医療の発展を著しく妨げている面もありますね(><;)
先ほど書いたように、洗浄液は「種類」の他、「量」、「温度」、「時間」、「濃度」でも差が生まれるのですが、メンドクサイので割愛(笑)
で洗浄液の洗浄効率を上げる為には、
・根管形成(テーパー、根管の太さ、根尖径、)も重要です。
液体を還流させるにはある程度の角度と太さが必要ということです。
(かなりマニアックになってきました。一般の方はついてきているのか(笑))
ストローみたいな平行な状態より、すり鉢状(アリ地獄の様な!?)の方が下の方まで洗浄液が入りやすいです。
根の治療は出来るだけ根の先端部分の処理が大切になるので出来るだけ洗浄液を根の先端方向に進めたい訳です。
テーパーを06(0.06)以上付けることで洗浄効率も上がるとか。
で簡単に06テーパーを付けようとすればNi-Tiファイルを
下から04、06、08テーパー(正確に言うと0.04、0.06、0.08テーパーです)
Ni-Tiを使用する場合グライドパスをさせてから
下の写真のファイル2本で根管形成は済みます。
『洗浄効率が高い根管を作るには』、
・06テーパーのニッケル・チタンファイルを使用する
・02テーパーのKファイルで0.5mmずつステップバックを行いテーパーを付けるか
(こちらは結構メンドクサイです、テーパーの話を読んでください・・・)
私は08テーパーのニッケルチタンでブラッシングモーションでファイル操作を行うのでテーパーは10ぐらい付いているかと思います。
08テーパーのもので根管形成をすれば根管は08以上になっている訳です。
06より08の方が根管充填もしやすいので。
大昔に書いたものですが、今も9割方この考え方です。
http://www.eedental.jp/blog/archives/2007_12_20_64.html
また数年前から洗浄液をどう効率的に奥の奥の細菌まで届かせるか!?という所に目が向けられ。
・洗浄道具(洗浄針、音波or超音波)
も注目されています。
洗浄液を揺らして隅々まで効率的に洗おうという考えです。
ここで1点、NCなどを根管内に入れて放置する洗浄をたまに見ますが・・・
消毒液をただ入れておくだけでは、一番消毒液を浸透させたい根の先端、この部分って直に気泡が貯まってしまい殆ど消毒出来ていないようです。
この実験動画を見た時は、 見えないが為に思いこみで治療すのはマズイなと。。。
出来るだけ針の先を根尖側に持って行った方がいい訳ですが、そこで気をつけなければならないのが『圧力』
針先の穴が横に開いている物などを使用しないで、過大な圧力をかけると。。。
まさに水鉄砲!! (この歯根尖の数多いですね^^;)
この横穴使用の針(ニードル)は色々なメーカーから発売されていますが、私個人の意見は洗浄液のMTADに付いてくる針が一番腰もあって使いやすい。
(単品で売ってくれないかな・・・、デンツプライ)
で、今現在一番安全で理想的と言われる洗浄システムが、 『ENDO VAC』
(*日本での発売は今の所ないです、認可は取りに行っていると聞いていますが)
金属部分の先端に穴が12個開いていて、
根の先端まで針を入れると洗浄液を根の先端まで持ってきて吸引する。
青⇒ 洗浄液を根尖側に
赤⇒ 洗浄液を歯冠側に吸引
すると、スメア層が綺麗に取れ象牙細管が
根管内を陰圧にして根の先端まで効率的に洗浄液をデリバリーして理想的だなとは思うものの・・・
ただ「ENDO VAC」
高い!!
かなりコストパフォーマンスは悪いです。(0.32mmの針はNC使えば直に目詰まりするでしょうね)
使用すれば確実に成功率が3%上がるということが保障されれば買いますが、ただただ高い道具のような気もしなくはないです。
この道具は根管形成をかなりきっちりした上で使用するツールになりますので、上手な根管形成が出来る先生が使用した方が効果的でしょうか。
お金のかかならい(ランニングコスト)道具に着目すると!!
写真上のVibringe (たしかオランダメイド)
写真下のENDO ACTIVATOR (ラドル先生が考案)
使い方 ⇒http://endoactivator.com/video.html
後、超音波チップ
3つの違いの動画を作りました:http://www.youtube.com/watch?v=VJKb0BqQ3oo&feature=player_embedded
洗浄液の揺れなどを顕微鏡で覗いて見てみると、Vibringeは洗浄針の先が揺れるシステムです。
個人的な感想なのですが、
根尖(根の先)の洗浄効率を上げるにはニードルを出来るだけ根尖側に入れた方がいいと思うのですが、Vibringe根管に針が触れると針の振動が無くなり殆ど洗浄液は揺れない正直これで良いのか!?と
一方ENDO ACTIVATORは汚れが激しく浮いてきたり洗浄液も目で見て大きく揺れています。
気泡を発生させられる、根管にプラスチックチップが振れても液体は激しく揺れる点からも私的にはENDO ACTIVATORの方が安心できます。
ただ、この道具3段階に振動が変わるのですが、正直使い方が今一分らない。。。
いつ振動を大きくしたり小さくしたりする必要が出てくるのか!?
Vibringeの金属の洗浄針が根管に当ってスメア層が出来ないかも心配、一方ENDO ACTIVATORはプラスチックチップなのでその辺も安心です。
特にデンツプライのまわし者ではありませんが、このぐらいデンツプライ商品のCMしておけば今西さん(業者さん)も何かくれるだろうと淡い期待を!!(MTAください!!)
AAE(アメリカ歯内療法学会)でもVibringe販売はしていましたが、いつもブースは閑散としており。。。il||li(つд-。)il||li
因みに Vibringe 7万円しました。。。(ただただ揺れるシリンジが^^;)
ENDO ACTIVATOR:まだ日本では販売されていませんがそのうち日本で発売の噂も聞きます。
超音波の出力を下げて根管口付近で揺らすことをされている専門医の先生もおられます。
何がいいのか私には分りません。
2年前ぐらいにアメリカのヒゲを生やした教授が日本へ講演に来た時に
「音波と超音波どちらの方が洗浄効果は高いですか!?」と聞いたのですが、回答は
「どちらでも良いが、揺らしながらあらうことが大事」と話されていました。
この先少しずつ解明されていくかもしれませんね。
臨床的な感になりますが、
やはり液体が激しく揺れて、発泡する方がいいのではないかなぁ〜と思っています。
以上 、3ヶ月ダラダラ書いていたものになります。
この後だらだら修正していきますが、未完成のまま終わりそう。。。(><;)
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