Home> 歯内療法日記 > 運命の分れる歯根破折と歯冠破折の説明
運命の分れる歯根破折と歯冠破折の説明
- 2012年6月 8日 09:21
- 歯内療法日記
根の治療を専門でしているとホント多くの 『破折』を診ます。
と同時に歯科治療の限界さえ感じてしまいます。
歯科で言う歯が「折れる」
でも、折れ方によって予後は大きく違ってきます(゜ロ゜;)
赤い線の範囲で折れているものを
「歯冠破折」
この場合はまだ残せる見込みがあります。
http://eedental.jp/ee_diary/2012/02/post-460.html
問題なのは緑の部分、
「歯根破折」
と言って、多くの場合で予後不良で抜歯になってしまいます。
接着修復もありますが・・・
http://eedental.jp/ee_diary/2010/03/post-69.html
(一応講習は効きましたが・・・ あまりしていません(ー△ー;))
先日も銀歯を入れた所がどうも違和感があるとのことで、レントゲンを撮ってみたのですが
特に悪い所見もなく・・・
2週間ほど様子をみていたのですが、全く症状が変らないとのことで、治療をしてみました。
すると・・・
真っ二つに折れていました。。。(´_`。)
*吉岡先生に教えてもらいましたが、根管治療した歯 3~10年で1.5〜3.7%に垂直破折が起こっているそうです。
この歯は、患者さんに説明をして抜かせてもらいました(´Д`;)
*折れた歯の内面を見てみると感染が長く続いていたのか、ピンク色のガッタパチャーが黒く変色をしてしまっています。
でも、おかしくないですか!?
よく「神経を取った歯はモロくなるので大きく削って銀歯にしないといけない!」 と話が出ますが・・・
折れています( ̄Д)=3
残念ながら、教科書通りに治療しても歯は折れてしまうのです。
じゃあ、大きく削らず被せなければいいのでは!?
でも、折れます(´_`。)
じゃあ、神経のある歯は折れないか!?
いや、折れます(´_`。)
何をしても折れる時は折れるんですよ 。。。
ただ、破折には大きな傾向があり、
歯根破折は有意に根管治療(神経の治療)をした歯に見られます(゜ロ゜;)
でも、ですよ、歯科医師が言う、
・神経を取った歯はモロくなる
・神経を取った歯は枯れ木同然になる
と言うのは半分以上「嘘」なのです・・・(また歯科界のタブーに触れている!?)
象牙質の物性は有髄歯も無髄歯も変わりない Sedgley 1992年
神経を取った歯でも殆ど神経のある歯と質は大きくは変りません。
(機械的性質は象牙質を大きく削った方が下がります)
水分量が減ると言っても文献上、2%という報告や9%で殆ど変りありません。(歯の外の唾液からでも水分は吸収できるでしょ!?)
歯内療法専門医の文献マニアの吉岡先生(http://www.geocities.jp/tyendo/01notice.htm )のスライドでも
『象牙質の硬さの減少は、VRFにとって深刻な問題ではない』と言っていました。
ですので、
神経を取った歯は大きく削って被せないといけないという理論の裏付けは見事に・・・
裏返されます(・ω・ノ)ノ
医療とは日進月歩で変化しているのですが、何故か日本では過去の考えを採用して
それに見合わせた半分嘘の理論をつけています。
ただし、元々大きく削ってあった歯の根の治療をすると、
更に歯の強度は激落してしまうので歯の補強の為にも被せてしまった方が良い場合もあります。
こんな感じの歯の右から左まで削ってある歯はもの凄く強度が落ちます。(構造的に65%強度が落ちるとの報告も)
ぶっちゃけて言えば、
最初から、レジンで治せばこんなに削らず済むんですが・・・
気づくとここ4年、私は抜髄した歯でも被せていませんでした(((。・-・)
手間はかかりますが、足りない部分だけにゴールドアンレーを入れたりしたり、
最近は、レジン(CR)を詰めて終わっています。
http://eedental.jp/eeblog/2010/12/post-202.html
日本では全く一般的ではないですが、海外では既に「アリ」の治療法のようです。
手間がかかり過ぎるので嫌われる方法ですが・・・(*゜ロ゜)ノミ
レジンを1日で一気に詰めてしまうことで、接着回数1回の稀な治療ができます。
(1日でレジンのモノブロックとして処理できる点は強度の面では有利では!?)
作戦名:「モノブロック」:ガンダムっぽい!
これはやり過ぎたかも・・・
歯の強度も考えていますが、
一番考えているのは、 「再根管治療時」なのですヾ(^д^)
神経の治療は専門医が行っても100%上手く行くことはありません。
ですから、再治療のことまで考え咬めるようにする必要があります。
まだ多くの歯が残っている歯にセラミッククラウン系のものを入れると・・・
再治療時、歯ぐきの上には殆ど歯は残りません。(歯ぐきの下の歯しか残りません)
逆に上のゴールドアンレーみたいな形体で留めておくと、根の治療後再び部分的な詰め物で治療を終わらせることも可能です〆(`・∀・´o)
言わば、ピラミッドのように一度作ったら誰も受け付けないものを作っては・・・
駄目だと思うんだけどねぇ〜(超私見)
話を戻して、該当する方は硬い物を食べる時は気を付けてください。
破折の傾向
・根管治療をした歯に多い(神経を取った歯は感覚が鈍感になりやすいとの報告もあり、神経のある歯より強い力で咬んでしまうのかも)
・40~60代の女性に多く見られる(EEデンタルでも7割は女性です)
・上顎では小臼歯、下顎では大臼歯に破折が見られやすい(確かに多い)
・抜歯の理由第1位は歯根破折であったとの報告も多数ある
・歯科医師がコントロール出来るものではない
根管治療において、
・不用意に根管を太く削ると折れやすくなる(根尖は大きく開けない、テーパーは必要最小限に)
・側方加圧の過度なスプレッダー操作は破折のリスクを上げる
・垂直加圧より、側方加圧の方が垂直破折を起こしやすい
・ファイル操作時には根管内に潤滑剤(NC,EDTEなど)を入れる
・NC,EDTA,水酸化Caは歯質を弱体化させる
その他、
・ポスト形成は破折のリスクを上げる
・メタルコアよりレジン系のコアの方が良い
・破折歯は大きな痛みは出にくい
・レントゲン、CTでは診断しきれない(破折に対して4度以内)
・接着修復で歯を保存できる時もある
ホント破折どうにかならないかな・・・( ´-ω-`)
- 購読
- Powerd By