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歯内療法日記: 2014年11月アーカイブ
チャレンジケースの根管治療
- 2014年11月26日 16:40
- 歯内療法日記
患者さんに依頼される歯の中には歯は折れてはいないが
9割近くの先生は「もうこれはダメだろう・・・」
という歯が存在します。
*歯チャンネルで『破折歯』の相談がありますが、私的には折れていたら抜いた方がいいと思います(´-ω-`;)ゞ
破折歯の保存治療は世界的に見ても日本ぐらいでしょうね。。。
今回のケースも『抜歯⇒インプラント』と診断を受けられたそうです。
1本の歯なんですが、2つの問題が存在しています。
1つは根尖病変(根の先の膿の袋)
2つ目は側枝(神経の横枝)かパフォレーション(歯に人工的な穴が開いている)のような病変
健康な歯質も少ない為に私も、
「これは残すにはかなり難しいです」
「治療は出来ないか?と言われれば治療は出来ますが、かなり残る確率は低くオプションの治療をいくつか併用する為、治療費も通常よりはかかってきます」
患者さんは、根管治療の予後が悪く今までに何本も歯を抜いていた為、何とか専門の先生にトライしてもらいたいとのこと
話し合ってチャレンジすることに!(・∀・)ゞ
治療1回目
案の定、太い金属の土台が歯に穴を開けておりここに2つ目の問題であった「パーフォレーション」がありました。
その穴僅か0.8mm
顕微鏡で強拡大(13倍)で確認できました( ・д・)v
この小さな穴に細菌感染を起こし膿が出ていたと推測されます。
穴の開いた部分をMTAセメントを用いてパフォレーションリペア(黄色い丸内の白い部分)
感染根管治療の問題の多くは人為的因子が絡み合ってきます。
仕方がない問題ですが・・・
その後しばらく経過をみながら、通常の根管治療
この歯は根の先端3mmぐらいの所で2又に神経管が分岐(入口は1つ出口は2つ)していました。
(根管壁から1本神経管が出てきました、これも顕微鏡がないとたぶん発見は無理。。。)
徹底的に根管内を消毒してから根管充填!
よく見ると白い線が2本なの分かりますかね?
治療回数:3回
治療期間:1カ月
仮歯までの費用:おおよそ20万(定期レントゲン検診含む)
歯を残す為には、根管治療、パフォレーションリペア、土台、仮歯、本歯(セラミッククラウン、ゴールド)
色々な治療がうまく行って初めて1本の歯の保存となります。
そして、今月4カ月予後でレントゲン撮影をしてみると!
「ん?、 かなり良くなっていない!?」
あれだけ膿の出ていた歯茎も問題なく、治療後は不快感も無くなったとのこと!
患者さんは、
「こんなことなら、他の抜いてしまった歯も抜く前に先生の所で相談すればよかった・・・」
とおっしゃられていましたが、
抜く前に歯内療法が得意な先生に歯の最後の診断をするのは1つの方法としてはありだと思います。
根の専門は大きな根尖病変、大きなメタルコアなどはそんなに気にせず治療できますしね。
ただ、私は折れていたら抜歯した方がいいと患者さんには伝えますね( ´・ω・`)ノ
今回のケースはもう2か月(治療後6カ月以上)経過をみて問題なければセラミッククラウンを作っていく予定です。
いやぁ~、このレントゲン所見自分でも正直びっくり!( ;゚ _ ・・ ゚)
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虫歯が大きく神経付近まで削った歯のリスク
- 2014年11月21日 08:57
- 歯内療法日記
虫歯が大きく神経付近まで削った歯の何割かは、その治療の刺激などにより
神経が弱り、神経が徐々に死んでしまい、そこにどこかから細菌感染が起こり歯茎から膿が出てきたり
歯茎が腫れたりと症状が出ることがあります(T。T)
膿が出てくる前に、痛みはないが違和感などが続いていることもあります。
特に傾向として、治療後大きな痛み、暖かいものが沁みる、咬むと痛いなどの症状が出た歯に関しては
このように神経が死んでくることを経験します。
ですので、歯の神経は可能なら保存した方がいいのですが、固執して歯の神経だけを何とか・・・
というのは非常に危険で歯を抜くことにも繋がってきます。
詳しくは⇒【歯の神経を残されたい方へ注意事項】 http://eedental.jp/ee_diary/2010/10/post-166.html
直接覆髄法などした歯に関しては、1年後くらいにレントゲンでチェックをした方がいいと思います。
http://www.eedental.jp/mta.html
今回のケースは数年前に他院でセラミックインレーを入れた歯に違和感を感じるという患者さん
詰めてから全く違和感なく咬めていたのに最近になって症状が出たとのこと。
レントゲンを撮ってみると、
根の先に神経が死んでいるような透過像が見られます。
こうなってしまうと私は早目に神経の治療をした方がいいことを伝えます。
今回のセラミックはかなり適合がよくセラミックの下にも虫歯がないことより、
3mm程度の穴をセラミックに開けて根管治療することにしました( ・ω・)ノ
(あまりしない方法なのですが、この歯のセラミックを外すと次は更に大きく削ってクラウンにする必要がありそうなので歯の切削をなるべく避けれるような方法を選びました)
歯に穴を開け根管治療すると、健康な歯の神経からは出血があるのすが・・・
全く出血もなく、むしろ歯の中からは腐敗臭がしてきて部屋中にその匂いが充満します。
患者さんは、治療後
「えっ、あの匂い私の歯からなの?」
と
神経が死んで細菌感染していると・・・
メチャ臭いんですよ(p・Д・;)
(昔、微生物学の友人に嫌気性菌はメチャ臭い匂いを産出するものがいると聞いたことがあります)
治療を繰り返し、匂いが無くなった所で根管充填
治療回数:3回
術前 ⇒ 術中(青い物は仮蓋) ⇒ 術後
セラミックに開けた穴はレジンにて修復
3mmぐらいの穴からの根管治療だいぶ慣れてきましたね(・∀・)
http://eedental.jp/ee_diary/2013/01/post-679.html
ただ、毎回余分な所を削り過ぎないように緊張しながら治療は行っています(・ω・)ノ
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英語の論文が届いた
- 2014年11月20日 13:26
- 歯内療法日記
以前、加藤先生がアメリカの大学で書かれたInternational Endodontic Journal の論文
そこに動画で協力をしたものでした。(you tubeの動画の使用許可しただけですけど( ̄ー ̄;))
C-shape(樋状根)の論文で、
興味深い内容
英語なので、読むのメンドクサイなぁ~と思っていたら、
日本語のPDFを見つけた(笑)
日本語なら5分あれば読めますので、エンドに興味のある先生は一度ご覧ください。
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根未完成歯の根管治療から2年後
- 2014年11月19日 09:11
- 歯内療法日記
http://eedental.jp/ee_diary/2014/11/post-1068.html
の予後報告
小児の歯で、歯茎の中の根の先端まで歯ができないうちに外傷などの要因があると神経が死んでしまい、歯茎から膿が出てくることがります。
患者さんは小学生の12歳の男の子でした、何件か歯科医院で話を聞き外科的に治すしか方法がないと言われ、
EEデンタルを受診されました。
私の判断はまずはきちんと根管治療を行い改善があれば外科処置は必要ない。
もし根管治療で治らなければ外科処置をして何とか歯を保存させましょうとの判断をして、
根管治療から治療を行いました。
治療回数:3回
治療期間:2カ月
治療後順調に経過しており、今月が2年予後の日でした。
あれだけ大きかった病変も綺麗に治り何とか歯を保存することができました。
このケースも歯の裏から2.5mm程度削りそこから顕微鏡下で根管治療を行い、レジンコア+レジン充填を行いました。
治療の経過
2年経過して、これだけびっしり骨ができていれば大丈夫でしょう! ( ^∇^)
*小臼歯が流れ星のように左から右へ!
**オーバーしたMTAの変化が分かります。
EEデンタルでは私が必要と思った患者さんにつきましては1年後のレントゲン撮影の他に2年後、3年後と経過を見させてもらっています。
なお、経過観察のレントゲンにつきましては、最初の治療費の中に含まれており費用はかかりませんので
私にレントゲン撮影が必要と言われた患者さんにつきましては、レントゲン撮影(5分)に来てくださいね。
*レントゲン撮影時に他の歯の診察・相談も希望される場合は再初診(10800円)となります。
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CBCTで側枝まで根管充填する!?(根管治療)
- 2014年11月12日 10:06
- 歯内療法日記
神経が生きていた歯をブリッジの支台(支え)にすると
何パーセントかは、勝手に神経が死んでしまうという報告があります。
今回のケースも神経が生きた状態で被せ物を作られたそうなのですが・・・
74歳の患者さん 神経が死んでしまっています。(赤丸)
通常の神経の治療後にレントゲンを撮ると、
側枝という神経管の枝まで根管充填材もしくはシーラー(接着剤)が綺麗に充填されていました。
前歯の神経管は歯の中では比較的シンプルな構造をしていますが、
神経はストローのような、1直線のものではなく、むしろ木のような「枝」、「葉」が存在し複雑な構造をしています。
また、我々歯科医師は術前に側枝が何本あるかなどは把握できていません( ̄∇ ̄;)
実は今回の症例も術前時に側歯が複数あると把握して治療をした訳ではなく、通常の治療後にレントゲンで確認してみると、
「あら、たくさん側歯があったんだね」
という具合です( ̄ω ̄;)
現在ではCBCTなど3次元のレントゲンを撮影すれば、
大きな側枝は分かるようになっていますが、細い側枝などはまだ知ることができません。
(側歯があると分かったからその場所を治療できるというのは極一部のスペシャリストの先生のみで、神業に近いものがあります)
先日転院されてきた患者さんは、かかっていた先生に
「根管治療はCBCTを取らないと正確な治療ができない」
「CTの被曝に関しては、外で風に吹かれた程度だから心配ない」
とおっしゃられたそうです。
私からすると、ちょ、ちょっと待った!o( ̄Д ̄o)
前歯の抜髄でしょ!?
ほぼ神経管1本でCBCTいるの!?
また被曝に関していえば、先日の歯内療法学会でもレントゲン科の先生がおっしゃられていましたが、
CBCTの被曝量は小さなレントゲン(デンタル)1000枚分の被曝量とお話されていました。
「風に吹かれた」ねぇ。。。
さすがにこれは例えが悪いですね(´Д`;)
ただ、そこまでして、
大きく成功率が変わるのか!?
ここは患者さんからしたら大切な所ではないでしょうか?
個人的な見解ですが、CBCTがあってもそれは宝の地図情報だけで、
宝物の探し方、掘り出し方知らなければあまり意味ないと思っています。
根管治療の成功・失敗は細菌感染の有無です。
CBCTでは歯の形状は分かっても細菌感染の有無は分かりません。
分かりやすく言えば、
CBCTは頭の悪いCPU搭載カーナビ、細菌感染という事故に合わないで目的地に行く(治療を終える)には
色々なことに配慮をする必要があります。
今後の天候は? 何キロ出る車なのか? ブレーキは効くのか? 人の多い場所を走るのか? 道路は続いているのか?
ですので、精度の高い根管治療をする為にCBCTが必要と言うのは、
術者の熟練度、治療部位、などを考えてから計画すべきものだと私は思っています。
私は今の所、術前時に毎回CBCTは撮っていません。
ただ、実際には被曝量も徐々に減ってきており今後、術前時のスタンダードになるかもしれません。
元々専門医がしていた従来通りのアナログな方法(レントゲン2枚を別方向で撮る)でも
術者のレントゲンを見る目さえあれば大きな被曝は避けるものだと思っています。
ですので、私の場合はCBCTが成功率に大きく関与することは限られたケースだけだと思っています。
(イージーケースにはむしろ被曝という害の方が多い)
ただ、CBCTがないと診断に苦しむ場合もたまに経験していますので、
最新の器材に頼りつつ、術者の見る目も養う必要があると感じています。
新しいテクノロジーとは人間がどう使用するかが非常に重要な所で、
最新のブレーキシステムを導入すれば事故に合わないか?それと同じで使う側の使い方だと思います。
今回のような側枝に根管充填材が入ったということは根の先端まで消毒液が綺麗に循環したということは
考えられますので今後病変は治ってくれるのではないかと期待しています。
側枝に根充剤を入れるには、
1、EDTA,次亜塩素酸Naでよく洗い超音波などを併用する
2、なるべく1回法を選択する
3、油の多い水酸化Caを使用しない
4、造影性の強いシーラーを使う(私はデンツプライの「AH+」を使用しています)
5、垂直加圧法で根管充填する
側枝が出やすい場所としては、
上顎中切歯
下顎第2小臼歯
という報告もあります。
因みに側枝の根管充填が予後成績に大きく関与することは証明されていない。
個人的には側枝に根充剤を入れることを目的にはしていませんが、側枝まで綺麗に薬が入っていると
根管治療の最大のポイント根管洗浄がきちんと出来ていたことが分かり安心します( ・з・)ノ
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