Home> 歯内療法日記 > CBCTで側枝まで根管充填する!?(根管治療)
CBCTで側枝まで根管充填する!?(根管治療)
- 2014年11月12日 10:06
- 歯内療法日記
神経が生きていた歯をブリッジの支台(支え)にすると
何パーセントかは、勝手に神経が死んでしまうという報告があります。
今回のケースも神経が生きた状態で被せ物を作られたそうなのですが・・・
74歳の患者さん 神経が死んでしまっています。(赤丸)
通常の神経の治療後にレントゲンを撮ると、
側枝という神経管の枝まで根管充填材もしくはシーラー(接着剤)が綺麗に充填されていました。
前歯の神経管は歯の中では比較的シンプルな構造をしていますが、
神経はストローのような、1直線のものではなく、むしろ木のような「枝」、「葉」が存在し複雑な構造をしています。
また、我々歯科医師は術前に側枝が何本あるかなどは把握できていません( ̄∇ ̄;)
実は今回の症例も術前時に側歯が複数あると把握して治療をした訳ではなく、通常の治療後にレントゲンで確認してみると、
「あら、たくさん側歯があったんだね」
という具合です( ̄ω ̄;)
現在ではCBCTなど3次元のレントゲンを撮影すれば、
大きな側枝は分かるようになっていますが、細い側枝などはまだ知ることができません。
(側歯があると分かったからその場所を治療できるというのは極一部のスペシャリストの先生のみで、神業に近いものがあります)
先日転院されてきた患者さんは、かかっていた先生に
「根管治療はCBCTを取らないと正確な治療ができない」
「CTの被曝に関しては、外で風に吹かれた程度だから心配ない」
とおっしゃられたそうです。
私からすると、ちょ、ちょっと待った!o( ̄Д ̄o)
前歯の抜髄でしょ!?
ほぼ神経管1本でCBCTいるの!?
また被曝に関していえば、先日の歯内療法学会でもレントゲン科の先生がおっしゃられていましたが、
CBCTの被曝量は小さなレントゲン(デンタル)1000枚分の被曝量とお話されていました。
「風に吹かれた」ねぇ。。。
さすがにこれは例えが悪いですね(´Д`;)
ただ、そこまでして、
大きく成功率が変わるのか!?
ここは患者さんからしたら大切な所ではないでしょうか?
個人的な見解ですが、CBCTがあってもそれは宝の地図情報だけで、
宝物の探し方、掘り出し方知らなければあまり意味ないと思っています。
根管治療の成功・失敗は細菌感染の有無です。
CBCTでは歯の形状は分かっても細菌感染の有無は分かりません。
分かりやすく言えば、
CBCTは頭の悪いCPU搭載カーナビ、細菌感染という事故に合わないで目的地に行く(治療を終える)には
色々なことに配慮をする必要があります。
今後の天候は? 何キロ出る車なのか? ブレーキは効くのか? 人の多い場所を走るのか? 道路は続いているのか?
ですので、精度の高い根管治療をする為にCBCTが必要と言うのは、
術者の熟練度、治療部位、などを考えてから計画すべきものだと私は思っています。
私は今の所、術前時に毎回CBCTは撮っていません。
ただ、実際には被曝量も徐々に減ってきており今後、術前時のスタンダードになるかもしれません。
元々専門医がしていた従来通りのアナログな方法(レントゲン2枚を別方向で撮る)でも
術者のレントゲンを見る目さえあれば大きな被曝は避けるものだと思っています。
ですので、私の場合はCBCTが成功率に大きく関与することは限られたケースだけだと思っています。
(イージーケースにはむしろ被曝という害の方が多い)
ただ、CBCTがないと診断に苦しむ場合もたまに経験していますので、
最新の器材に頼りつつ、術者の見る目も養う必要があると感じています。
新しいテクノロジーとは人間がどう使用するかが非常に重要な所で、
最新のブレーキシステムを導入すれば事故に合わないか?それと同じで使う側の使い方だと思います。
今回のような側枝に根管充填材が入ったということは根の先端まで消毒液が綺麗に循環したということは
考えられますので今後病変は治ってくれるのではないかと期待しています。
側枝に根充剤を入れるには、
1、EDTA,次亜塩素酸Naでよく洗い超音波などを併用する
2、なるべく1回法を選択する
3、油の多い水酸化Caを使用しない
4、造影性の強いシーラーを使う(私はデンツプライの「AH+」を使用しています)
5、垂直加圧法で根管充填する
側枝が出やすい場所としては、
上顎中切歯
下顎第2小臼歯
という報告もあります。
因みに側枝の根管充填が予後成績に大きく関与することは証明されていない。
個人的には側枝に根充剤を入れることを目的にはしていませんが、側枝まで綺麗に薬が入っていると
根管治療の最大のポイント根管洗浄がきちんと出来ていたことが分かり安心します( ・з・)ノ
- 購読
- Powerd By