Home> 歯内療法日記: 2016年2月アーカイブ
歯内療法日記: 2016年2月アーカイブ
凄い自費治療もあるものだ・・・
数年前に入れたハイブリットインレー(自費治療)が
変色したのでやり代えをしたいとのこと
レントゲンを撮らせてもらうと
非常に長い歯で横向きのレントゲンには収まらないサイズ
どうやら、神経を取った歯に自費のレジン系インレーを入れて部分修復を行ったようです。
個人的には「神経取る=被せ物」の方程式は間違っていると考えますヽ( ̄△ ̄)
ので、今回のような部分修復私も嫌いではありません。
もう一度角度、縦のレントゲンを撮ると
黄色の矢印の白い部分が神経の治療をした場所
赤い矢印の部分が手付かずの神経管
「マジか! これで自費のインレーを入れる前の先生はある意味勇者だな・・・」
「チキンの私にはこの状態でOKは出せない!」
「当然、この歯根管治療からやり直した方がいいですよ」
「と言うか、この状態で上(インレー)だけやり代える選択肢はない!」
無症状だったこともあり、初めて患者さんがこの状態に気づきました。
根管治療は患者さんからしたら見えない部分の治療ですから
こんなことはあります(p・Д・;)
また大きな病変もないことにより、
この中途半端な根管治療でも成功です(笑)
患者さんもきちんと歯の治療をしたいとのことで、
まずは古い詰め物、虫歯を外して治療スタート
根管充填後
主訴の「詰め替えをして綺麗に修復」
見えない所をいかに手を抜かずに治療するかミ(゜д゜)
私としては今自分のできる限りの治療はしたいと思っていますヽ( ̄▽ ̄)ノ
- Comments (Close): 0
- TrackBack (Close): 0
最近の抜髄根管形成
- 2016年2月16日 09:38
- 歯内療法日記
根管治療
神経を取る時にどのぐらい根管(細い神経)を削るか?
実はこれ、答えがあってないもので、先生毎に色々です。
太く削る先生もいれば、時間がないのか凄く中途半端に終わらせる先生もいます。
一般の人は不思議に思われると思いますが
歯科治療はその先生毎基準です。
几帳面な先生もいれば、効率重視の先生まで、また簡単に抜きたがる先生
選ぶのは患者さんです。
歯を残す為には根管治療中には細菌感染させないというのが最も大切で、
綺麗に削ろうが、いい加減に削ろうが細菌感染さえ無ければ
ぶっちゃけ歯は長く使える訳ですヾ(・з・)ノ
その為か、どのぐらい歯を削ればいいなのどの基準やガイドラインは存在しません。
むしろ今の私は、菌が入らないような環境下さえあれば、
冠部歯髄(神経の上の部分)だけ取って、根管内歯髄は取らない(下の神経は生かす)
「生活歯髄切断法」もありかなと考えています。
(神経って取らない方が歯の寿命って伸びるのでは?)
時間のかかる細い神経管は生かしたままでいいのでは?と
思いはじめています。
神経が生きていれば、虫歯が少し達していても細菌感染の多くは冠部歯髄の上に限局しています。
言うなれば、上の数%の感染かもしれない神経の為に全ての神経を取ろうとする行為が
そもそもの不幸の始まりではないか?
時間と治療回数がかかり結果細菌感染を助長させているのではないか?
安過ぎる根管治療を逆手にとれ患者さんの為になるのではないか?
*一応「生活歯髄切断法」は保険適応の治療法です。
悲しいかな、『日本の根管治療の成功率40%程度』と言われています〆(・∇・)
適応を検討して「生活歯髄切断法」が歯科医師、患者さん
お互いにウィン・ウィンの関係になれる気がします。
とはいえ、ベーシックな抜髄の最近の私の根管形成
・根尖(歯の先端)へ向けての連続したテーパー
(消毒効果を確保する為に最低06のNi-Tiで形成)
・根尖はなるべく削らない(必要最低限の形成 抜髄は菌がいない為)
(根尖径を大きくすると本来の根尖からズレる 解剖学的形態の維持)
・根管充填はオーバーはダメ!(特に抜髄はオーバー厳禁 成功率が低くなる為)
(私は作業長ー0.3mm程度にGPを設定)
・次に悪くなった際、私以外の先生でも診断・治療しやすいような配慮
で、結局はシルダー先生が大昔に提唱した
1、継続的に円錐形のテーパーを付与する
2、オリジナルな解剖形態を維持させる
3、根尖の位置を維持させる
4、根尖は可及的な範囲で小さく
に殆ど当てはまっている訳です。
話はそれますが、
シルダー先生の3:根尖の位置を維持させるは
「生活歯髄切断法」を行えば維持できます。
私がエンドに興味を持った頃にはシルダー先生はお亡くなりに
なられていましたが、シルダー先生に影響を受けた先生方から
その影響をモロに受けていることに気が付きます(笑)
しばらく【自称シルダー派】の看板は下ろすことはないような気がします(・Θ・)
以上、超マニアックな歯科ネタでした。
- Comments (Close): 0
- TrackBack (Close): 0
親知らずによる下顎第2大臼歯の虫歯
- 2016年2月12日 18:16
- 歯内療法日記
メチャクチャ大変だった思い出の1症例
http://eedental.jp/ee_diary/2015/02/post-1128.html
1年予後を見せてもらいました。
なかなか順調です!ヾ(ゝω・)
- Comments (Close): 0
- TrackBack (Close): 0
外科後5年 何とか残せた根管治療一症例
- 2016年2月11日 18:29
- 歯内療法日記
術前時大きなパフォレーション(人為的な穴)があり
パフォレーションリペアをしたものの腫れてきてしまい
外科的歯内療法で歯の保存を試みて早5年
うまく骨も出来順調に経過していますヽ(・ω・)
可能な限り最後まで歯を残すのが歯内療法専門医!
- Comments (Close): 0
- TrackBack (Close): 0
超歯科初心者へ神経を取る根管治療とは
- 2016年2月 5日 09:14
- 歯内療法日記
【質問】
根の治療について詳しく知りたいのですが、
①なぜ根の治療はしなくてはならないのか
②根の治療の利点、欠点
③なぜ全部神経をとらなくてはならないのか
感染虫歯に侵された所だけ除去すけばよいのでは;;
④それを防ぐためにはどうしたらよいのか
このことについて詳しく知りたいのでよろしくお願いします。
【回答】
こんにちは、根管治療よく分りませんよね^^;
>①なぜ根の治療はしなくてはならないのか
虫歯が無ければ根の治療は必要ありませんが、虫歯が大きくなると根の治療が必要になります。
本来動物は虫歯が大きくなると、痛みに耐え、化膿して歯が抜けるのを待たなくてはいけません。
(野生の動物では殆ど虫歯は起こらないそうです、砂糖の摂取が多くなった動物に虫歯は多く見られるそうです。)
動物の中でも、人だけが抜けるはずの歯の運命を変えることが出来るようになりました。
それが根の治療なのです。
神経を取りそのスペースに補強を行い、さし歯と言う義歯で再び歯を使うことができます。
>②根の治療の利点 欠点
ざっくりな回答になりますが、利点は歯の延命、欠点は痛みを伴う治療、予知性の低い治療、でしょうか。
>③なぜ全部神経をとらなくてはならないのか。
>感染虫歯に侵された所だけ除去すけばよいのでは;;
厳密に言えば、超一流の先生が行った治療でも100は取れていません。
神経まで虫歯が進行すると、神経の中に細菌が入り込みます。
どこまで入ったのか客観的に分れば、その部分までの処置で済ませるのも1つの方法ですが、今の所細菌感染の場所までは特定できないので、安全域を考え歯の先端の神経までを区切りとしています。
>④それを防ぐためにはどうしたらよいのか
虫歯にしないことでしょうね。
ざっくりとした回答になってしまいました^^;
- Comments (Close): 0
- TrackBack (Close): 0
リバスキュライゼーション 膿の出る歯の神経の保存
- 2016年2月 3日 09:01
- 歯内療法日記
基本的に私は小児の治療はしていないのですが、
昨年の夏、小児歯科の同級生からの1本の電話が
M先生:「あっ、井野先生 エンドやってよ」
私:「子供!?」
M先生:「そうそう、お母さんがEEデンタルで治療を受けたことがあるって」
私:「何歳?」
M先生:「9歳の女の子」
私:「9歳。。。」
実際来てもらうと
外傷により神経が死んでしまい歯茎からは膿が出てきている。(フィステル)
また電気歯髄診断をしても完全に電気反応なし・・・
神経の死んだ歯(ネクローシスパルプ)になっていますね。
問題点は子供の為に歯の先端(根の先)は
ギリギリ完成していないような状態(根未完成歯)
お母さんはなんとか歯内療法専門医のEEデンタルでやってくれと・・・
絶対に1時間チェアーの上で動かないという条件で
治療を引き受けることにヾ(・з・)ノ
1回目
ラバーダムをして根管治療を始めると、歯の上の方の歯冠部に膿が見えたものの
その下からは出血がダクダク
「凄い血だなぁ~!」と驚いていると、
麻酔が浅かったのか途中から『痛い』と女の子が
「痛い・・・?」
もしかしたらこの神経生きているのではないか?
(完全に死んだ神経は痛いなどの知覚は無くなります)
ということで途中から神経を全部とるのではなく
初の【リバスキュライゼーション】に変更
説明:歯根未完成歯における歯髄の治癒のパターンの1つ。パルプ・リバスクラリゼーション(pulp revascularization)は、いったん死んだ歯髄組織(=虚血性変化に陥った歯髄組織)に根尖孔から毛細血管が増殖(再生)し、それにともない歯髄組織由来の細胞が再生着(repopulation)するような治癒のメカニズムを指す。新生した組織は電気歯髄診断に正の応答を示すが、やがて急激な石灰化を起こし歯髄腔が閉塞するのが最終的な治癒像である。
ということでその日は神経の止血をして、水酸化カルシュームを歯冠部に入れて仮詰め
その後、1カ月おきに定期的にレントゲン審査を行い経過をみていくと
2か月後の電気歯髄診断では隣の健康な歯と同じような神経の反応が出てきました。
*・電気歯髄診断 神経のAβ繊維が反応してC繊維は反応しない
結構ノイズの多い検査法であり、これだけでの歯髄診断は危険!歯質の厚みにもより偽陰性が出るそうです。
お母さんこれはもしかしたら、神経残るかもよ!(・ω・)ノ
(因みにMTAは使用していません)
そして5カ月経過した日にレントゲンを撮ってみると、
「おぉ~、凄い!」
石灰化物で下の神経が守られている!
歯も成長して根の先もほぼ出来上がってきている!(・ω・ )
*推測になりますが、血餅の出来た最上部に石灰化が起こった気がします。
ということで、治療スタートから5か月後にようやく
歯の下の神経を保存してレジン充填を行うことに
*術前時黄色の丸部分から膿が出ていました。
根の先に病変もないですし、今の所うまく行っていますヾ(・з・)ノ
勉強させてもらった
バスクラリゼーションは小臼歯の中心結節が折れた際のものでしたが、
↑興味があれば
今回は根未完成歯の前歯で行ってみましたが・・・
これって「トランシエット アピカル ブレークダウン」?
http://eedental.jp/ee_diary/2011/03/post-266.html
いゃ~、やらないであろう治療も勉強しておくものだねと痛感した1症例でした。
今後はこんなケースに
http://eedental.jp/ee_diary/2013/12/post-883.html
適応していってもいいかもしれませんね。
ホント、歯髄の世界は奥が深いですね( ̄ω ̄;)
石灰化で神経管がだいぶ細く細くなっているのが分かります。
後はM先生の歯科医院で経過観察をしてもらい、
EEデンタルでは1年後のレントゲン診査を行います。
追記:
http://eedental.jp/ee_diary/2016/02/post-1322.html
http://eedental.jp/ee_diary/2016/08/post-1447.html
動画など見たい方はこちらも
- Comments (Close): 0
- TrackBack (Close): 0
- Newer: 歯内療法日記: 2016年3月
- Older: 歯内療法日記: 2016年1月
Home> 歯内療法日記: 2016年2月アーカイブ
- 購読
- Powerd By