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リバスキュライゼーション 膿の出る歯の神経の保存
- 2016年2月 3日 09:01
- 歯内療法日記
基本的に私は小児の治療はしていないのですが、
昨年の夏、小児歯科の同級生からの1本の電話が
M先生:「あっ、井野先生 エンドやってよ」
私:「子供!?」
M先生:「そうそう、お母さんがEEデンタルで治療を受けたことがあるって」
私:「何歳?」
M先生:「9歳の女の子」
私:「9歳。。。」
実際来てもらうと
外傷により神経が死んでしまい歯茎からは膿が出てきている。(フィステル)
また電気歯髄診断をしても完全に電気反応なし・・・
神経の死んだ歯(ネクローシスパルプ)になっていますね。
問題点は子供の為に歯の先端(根の先)は
ギリギリ完成していないような状態(根未完成歯)
お母さんはなんとか歯内療法専門医のEEデンタルでやってくれと・・・
絶対に1時間チェアーの上で動かないという条件で
治療を引き受けることにヾ(・з・)ノ
1回目
ラバーダムをして根管治療を始めると、歯の上の方の歯冠部に膿が見えたものの
その下からは出血がダクダク
「凄い血だなぁ~!」と驚いていると、
麻酔が浅かったのか途中から『痛い』と女の子が
「痛い・・・?」
もしかしたらこの神経生きているのではないか?
(完全に死んだ神経は痛いなどの知覚は無くなります)
ということで途中から神経を全部とるのではなく
初の【リバスキュライゼーション】に変更
説明:歯根未完成歯における歯髄の治癒のパターンの1つ。パルプ・リバスクラリゼーション(pulp revascularization)は、いったん死んだ歯髄組織(=虚血性変化に陥った歯髄組織)に根尖孔から毛細血管が増殖(再生)し、それにともない歯髄組織由来の細胞が再生着(repopulation)するような治癒のメカニズムを指す。新生した組織は電気歯髄診断に正の応答を示すが、やがて急激な石灰化を起こし歯髄腔が閉塞するのが最終的な治癒像である。
ということでその日は神経の止血をして、水酸化カルシュームを歯冠部に入れて仮詰め
その後、1カ月おきに定期的にレントゲン審査を行い経過をみていくと
2か月後の電気歯髄診断では隣の健康な歯と同じような神経の反応が出てきました。
*・電気歯髄診断 神経のAβ繊維が反応してC繊維は反応しない
結構ノイズの多い検査法であり、これだけでの歯髄診断は危険!歯質の厚みにもより偽陰性が出るそうです。
お母さんこれはもしかしたら、神経残るかもよ!(・ω・)ノ
(因みにMTAは使用していません)
そして5カ月経過した日にレントゲンを撮ってみると、
「おぉ~、凄い!」
石灰化物で下の神経が守られている!
歯も成長して根の先もほぼ出来上がってきている!(・ω・ )
*推測になりますが、血餅の出来た最上部に石灰化が起こった気がします。
ということで、治療スタートから5か月後にようやく
歯の下の神経を保存してレジン充填を行うことに
*術前時黄色の丸部分から膿が出ていました。
根の先に病変もないですし、今の所うまく行っていますヾ(・з・)ノ
勉強させてもらった
バスクラリゼーションは小臼歯の中心結節が折れた際のものでしたが、
↑興味があれば
今回は根未完成歯の前歯で行ってみましたが・・・
これって「トランシエット アピカル ブレークダウン」?
http://eedental.jp/ee_diary/2011/03/post-266.html
いゃ~、やらないであろう治療も勉強しておくものだねと痛感した1症例でした。
今後はこんなケースに
http://eedental.jp/ee_diary/2013/12/post-883.html
適応していってもいいかもしれませんね。
ホント、歯髄の世界は奥が深いですね( ̄ω ̄;)
石灰化で神経管がだいぶ細く細くなっているのが分かります。
後はM先生の歯科医院で経過観察をしてもらい、
EEデンタルでは1年後のレントゲン診査を行います。
追記:
http://eedental.jp/ee_diary/2016/02/post-1322.html
http://eedental.jp/ee_diary/2016/08/post-1447.html
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