Home> 歯内療法日記: 2024年7月アーカイブ
歯内療法日記: 2024年7月アーカイブ
たまにある側切歯の大きな根尖病変
- 2024年7月24日 08:56
- 歯内療法日記
以前にもブログにしましたが、側切歯(2番)の歯は神経の治療後にトラブルが多く
たまに根尖病変がかなり大きくなることもしばしばあります。
今回もそんな1ケース
患者さんは50代女性
右上2に大きな根尖病変が見られます。
このケースは外科的歯内療法をチョイス!
かなり大きく骨が無くなっていました。
基本的に私は病変が大きくても人工骨は入れてません。
*入れないと治らないなら人工骨入れますが、入れなくても治りますからね。
牛の骨とか、他人の凍結乾燥骨入れたい人はインプラントをやっているような歯科医院で希望されればそういったアプローチをしてくれますが、人工骨のコストは高いです。
1年後
だいぶ骨は出来てきてくれています。
2年後
更に骨が出来てきてくれているように見えます。
患者さんの症状もなく、この状態なら待てばどんどん骨は出来てくれるでしょう!
ということで終診としました。
外科的歯内療法と言っても、入れる薬剤・材料などに違いはありますが、
個人的には極々ベーシックな方法をチョイスしております。
- Comments (Close): 0
- TrackBack (Close): 0
根管治療後のクラウンの精度の問題
- 2024年7月23日 09:00
- 歯内療法日記 | EEデンタル こだわり
患者さんは40代女性
右上のクラウンの縁に段差があり、そこに穴・虫歯があります。
過去の根管治療はしっかり出来ているのですが、被せ物の精度が低い為か歯の中に細菌感染しているように思えます。
口腔内
白い被せ物がありますが、右上5の縁(マージン)は凸凹があります。
思うのですが、なぜ奥歯のクラウンのマージンを歯茎の奥までわざわざ入れるかが不思議
今回のケースも歯茎の中2mm以上まで削ってあり、そこは全然覆えていない(隙間がある)
「歯茎の中までなぜ削り込むのか!?」
メリットは1点 歯と人工物(被せ物)の継ぎ目を歯茎の中に入れ綺麗に見せる!
ただし、デメリットは
・歯茎の中まで削るので歯茎を傷める
・型取りが極端に難しくなり、被せ物の段差が生まれやすい
・接着剤でクラウンをくっ付けた後、セメントの取り残しが多い(のちに歯肉炎になります)
・再治療がしにくい、場合によっては骨を削って歯茎を下に下げる手術も必要
★患者さんも歯磨きがしにくい、臭いの元になることも
ホントに、審美的な面以外あまりメリットが見えない。。。
なのに見えない歯茎の下の部分まで白いクラウンを入れたがる!?
なぜ、メリットの少ない治療を第一選択にするのか!?
そもそも、正しい治療なのか!?
とりあえず、
自分は、クラウンの下の大きな穴を処理して根管治療を行いました。
骨と同じレベルまで削ってありました。
顕微鏡で治療している人間としては、裸眼で見えない部分は適当に削っちゃダメ!と思います。
こういうケースはこの後、歯肉、骨の手術を行います。
ただ、自分はやりません!(これもメリットに対するリスクが大きいので)
「歯肉弁根尖側移動術」をやらなくなって早10年 - EE DENTAL_Blog
歯肉ちょっと縁下で形成を行い。
セラミッククラウンを準備
口腔内
入れてすぐなので、後1週間もすればもう少し歯茎が馴染んできます。
自分は補綴(被せ物)の専門医ではありませんが、歯を長く持たせる観点からすると
削る位置というのは歯茎の際辺りに設定した方が再治療の際にも、ラクになるので自分の歯ならこちらを希望しますね。
- Comments (Close): 0
- TrackBack (Close): 0
パフォレーションの歯の予後
- 2024年7月16日 09:00
- 歯内療法日記
昔ブログにさせてもらった患者さんが別件で来院されたのでレントゲンを撮らせてもらいました。
3年に1度ぐらいの根管充填してしまうと治ってしまう感染根管歯 - EE DENTAL_Blog
術後8年
しっかり骨が出来てくれています!
この状態なら安心できると思います。
たまにある大臼歯のパフォレーション(歯に穴)見えない奥歯の治療には付きものですが、
適切な治療で歯を保存できることもあります。
- Comments (Close): 0
- TrackBack (Close): 0
治療はライブ
- 2024年7月13日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは50代女性
右上7に歯茎のだいぶ中の方まで虫歯が広がってしまっており抜歯した方がいいと先生に言われ
何とか残せないか!?とEEデンタルへ
レントゲン
かなり大きな虫歯があり歯の2/3ぐらいは虫歯になっている。
また根の先には根尖病変があり、神経が死んできているように見える。
患者さんには抜歯はしなくてもいいが、神経を取り被せ物(クラウン)になると説明
一応CBCTも撮影し、状況を確認
治療時間2時間を頂き、治療に入ろうとすると患者さんに
「ダメ元でもいいので、神経の保存をしてもらいたい」と言われるが、
口蓋根は既に神経が死んでいるように見えるので、『その希望は難しい』と説明
(前回は歯が残る・残らないの判断だったのですが・・・)
虫歯を取って行くと、当然露髄(神経が出てくる)するのですが、出血が凄い
口蓋根からダクダク出血があり、術前時の予想では出血もしてこないだろうと思っていたのですが・・・
止血剤(ボスミン)を用いて圧迫止血を試みるも血が全く止まらない。。。
神経も取るし電気メスで焼いてしまい止血
すると
写真右側の黒い点が口蓋根の入り口、
写真左側の頬側2根は石灰化物が根管を隠しており、ふと
石灰化物を削って根管探しに行き、神経を取るか!? or この石灰化物使って覆髄するか!?
術前時に撮ったCTで確認すると、口蓋根のみ根尖病変があり頬側2根は根尖病変なし
これだけ出血があったのでたぶん頬側2根は死んでいないだろうということで、患者さんにどちらの2択を選択するか説明する。
患者さんは「神経が部分的にも残るのであれば残したい、もし再治療になったら新たに費用も支払う」
とのことで、頬側の2本の神経は保存、1本の神経管のみ抜髄に変更
この状態で大きく削ってクラウン入れても、やり直しだと2度手間になるので、
更に患者さんに、クラウン予定だったがやり直しがしやすいようにレジン充填でいいか?聞く。
患者さんは「OK」
とのことで、超イレギュラーな方法で治すことに
治療時間2時間 根管治療+覆髄+レジンコア+レジン充填
術後口腔内
なるべくエナメル質を保存し、レジンで歯の形を作る。
綺麗に治療出来たのではないでしょうか。
今回のように極たまに最初の見立てより、歯の状況が良い場合は治療の途中で治療方針を替えさせてもらうことがたまにあります。
逆に最初の見立てより悪い場合もあります。(むしろこっちの方が多い)
なるべく最初の見立てで行けるように診断したいのですが、やはりそこは人の体、処置を行うと見立てとズレがでてしまうことがたまにあります。
そういった場合は勝手に処置を進めず、患者さんに一度説明をさせてもらい患者さんが迷った場合は私が勧める方で処置を進めさせてもらいます。
今回のケース半年後にレントゲンを撮り経過をみます。
- Comments (Close): 0
- TrackBack (Close): 0
神経の横枝とCTの有用性!?
- 2024年7月10日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは20代女性
10年以上前に前歯の神経を抜いたが、3年前から歯茎にフィステル(膿)が出てきた。
激痛になる時期もあったが今はたまに痛むぐらいで、歯茎を触ると違和感がある程度
レントゲンを撮ると、患者さんは左上1を疑っていましたが、どうやら今回の原因歯右上1
その証拠に膿の出口は真ん中より右側にある。
体の法則として、左の歯が原因であれば必ず膿は左に出ます。
正中(真ん中)を越えて反対側に膿の出口はできません。
(これ知っておくと便利)
患者さんには右上1の根管治療を行う必要があると説明
1回法で 根管治療+土台+レジン充填まで
レントゲンを撮ると、
「おっ、側枝だ!」*神経の横枝
側枝まで人工物が充填出来ているのであればきちんとその辺りは消毒出来た証拠
術前のレントゲンを見返すと、
あぁ、側枝もあって感染して骨がないわ!
今のトレンドはCT(CBCT)を撮ってより病態を把握して緻密な根管治療をしましょう!という流れ
ただ、こんな部分の側枝の治療が狙って出来るのは神業をお持ちの先生
たぶん、日本でも2~3名ぐらいじゃないでしょうか!?
当然凡人の私は狙ってこの部位の出来ません^^;
私が今回CTをわざわざ撮らなかったのは『中切歯の神経管の本数は必ず1本』
例えば複数本神経管が出てくる歯であれば神経管の見落としがないかCTを撮るのも有効かもしれません。
今回のケース被爆量が最も小さなレントゲンで原因歯と治療法が決まったので、患者さんにわざわざ被爆してもらいCTを撮る価値は私にはないと判断しCTは撮りませんでした。(オールドタイプの治療です)
今月も転院してきた患者さんで、何件かでCTを撮っているのでCTは撮りたくないです。
という患者さんがいましたが、虫歯治療でなぜCTを撮る必要があるのか!?自分には理解できません。
(歯科医院はCT撮れば、医業収入が得られるのが主な理由だとは思いますが・・・)
私もCTは週に2~3回ほど撮影しますが、決まって奥歯の複数神経管がある膿んできてしまった歯
*因みにEEデンタルCT代は治療費内に含めていますので、CT撮ろうが撮らまいが費用は同じです。またCTを撮るかの判断は私が行います。(被爆の問題もあるので不必要には撮りません)
今回の患者さん、半年後に小さなレントゲンを撮って経過観察を行います。
- Comments (Close): 0
- TrackBack (Close): 0
ボンデントニッケルチタンファイル
- 2024年7月 6日 09:00
- 歯内療法日記
先日の顕微鏡学会で茂久田商会のブースで知り合いの業者さんに会い
「これ新しいファイルです」と話を聞いたのですが、今のプロテーパーにあまり不満はないので、
『ふ~ん』という感じで話を聞き流していたのですが、隣に置いてあったショートファイルに興味深々
世界のトレンドはフルレングステクニックであり、短いタイプのニッケルチタンは絶滅危惧種
一般的なファイルの長さは21mm
*オールドタイプの私はニッケルチタンファイルの基本はクラウンダウンだと思っている派
欧米人に比べ日本人の歯は短く、開口量も少ない為
21mmの長さだと歯の中の根管内(神経管)に物理的に入れることが難しいことがたまにあります。
細いニッケルチタンを削ったりして色々カスタムするのですが・・・
何でショートファイルを売らないのか!?(答えは簡単 売れないから!)
まぁ、海外製品を輸入している状況なので、アジア人コンセプトの商品は殆どない。
*自分のオークリーのサングラスもアジアンフィットでサングラスはアジア人用があるのに・・・
で、茂久田商会のブースで見つけたのが、
【ボンデントファイル】
ボンデント NiTi ファイル ベビー ショート | mokuda 商品発注サイト "Dental Portal Site m.find"
このファイルは16mmと一般的なファイルより5mm短い
*歯内療法の分野において1mmはかなり大きな違いがあります。
これを使用したケース
患者さんは60代女性
担当の先生はあまりレントゲンを撮らない先生で被せ物をやり替える際にもずっと痛いと言っていたのにどんどん治療が進んでしまい、他の歯科医院でCTを撮った所、根尖病変を指摘された。
レントゲンを撮ると
仮詰めの状態で、第2大臼歯に根尖病変が見られMB根は手づかずの状態
第1大臼歯も同じようにMB根は手づかず(ただ、根尖病変はないので治療する必要はないと説明)
MB根の治療はファイル(削る道具)を入れるのが難しいのでこうなってしまいがちです。
特に小柄な女性で開口量の少ない人だとこうなる傾向があります。
患者さんにはレントゲンの所見的に折れている可能性も多少あるが、一度やってみますか!?と話
治療スタート
実際治療をしていると、破折線は見られませんでした。
顕微鏡で手づかずの根尖病変の原因であるMB根の入り口ははっきり見えているのですが、一番短い21mmのハンドファイルも入らない・・・
その後、更に短いC+ファイルを試すも入らない。。。
#06(0.06mm)のファイル先端4mmを削ると先端が0.14mmで長さが17mm
*歯内療法専門医はこういった細かな単位の計算をして根管にアプローチします。
患者さんに頑張ってもらい大きく口を開いてもらうとかろうじて根管に入った!
ただ、ここから更に大きく削るニッケルチタンファイルなのですが、今ある一番短いニッケルチタンも入らない。。。
どうするよ!?
と思った瞬間! そうだ先週買ったボンデントファイルの出番!
いつもは抜去歯で練習してファイルの癖を覚えてから使うのですが、今回はぶっつけ本番
(滅菌はスタッフが終わらせてくれていたのでいつでも使える状態)
また患者さんに頑張ってもらい口を大きく開いてもらいボンデントファイルを使用
ブルーワイヤーで切削感はボルテックスブルーに似ている。(よく削れるが急に折れる系だろうな・・・)
#20/04⇒#20/06⇒#25/04 で拡大を行い、これまた茂久田商会のエディーで徹底的に洗浄し
1回法で根管充填+レジンコアまで
白い線が1本増えました。
次回仮歯を入れ、半年後にレントゲンを撮り経過を見て行きます。
頻繁に使うことはないと思いますが、あると便利なファイルでした!
興味ある先生はアソートセット1Set買ってもいいと思いますよ。
(自分もアソート1セット買いました。)
因みに茂久田商会からは1円も貰っていませんので利益相反はありません(笑)
- Comments (Close): 0
- TrackBack (Close): 0
かなり大きな根尖病変
- 2024年7月 2日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは40代女性
左上の歯茎を押すと痛む、歯茎から膿が出るとのことで近医を受診
先生には「抜くしかない」と言われてしまった。
この歯は2019年に矯正治療を行った際に、一度根管治療をしたとのこと
触るとうずく感じはあったが、数カ月前に腫れてきた為一度切開は行った。
定期健診・クリーニングには定期的に行っていたが根尖病変の指摘は無かった。
レントゲンを撮ると
うずらの卵ぐらいの大きな根尖病変が見られます。。。
患者さんには抜く前に一度根管治療をトライしてみてはどうか!?と説明
ただ、今回の患者さんはEEデンタルまで片道4時間半という通院時間なので(日本海側)
月に1回で約半年ぐらい通ってもらうと説明
治療1回目
人工物を取り歯の中を徹底的に洗浄
治療2回目 痛みはなく、腫れも引いて来ている感じはある。
この日はもう一度歯の中を徹底的に洗浄
治療3回目 腫れ痛みはないが押すと違和感は少しあり。
膿などは見れれない為、次回根管充填と説明
治療4回目 普通の時は痛みや腫れはないが、頬を押すと違和感はある。
根管充填(MTA)+レジンコア+仮歯まで
1回目の治療から5ヵ月 既に骨の回復傾向が見えます。
患者さんには違和感は、なかなか無くならないことを説明
*根管治療後の違和感は違和感が出ていた時間は待ってと説明します。
つまりこの患者さんだと数年違和感があったので1年ぐらいは様子をみてもらいます。
患者さんには体は治そうとする感じに変わっているから大きな痛みと腫れがない限り待ちましょうと説明
この後、半年後にきてもらいレントゲンで経過を追うことにしました。
根管充填から4か月後 他の歯がかけたとのことで再来院してもらった際に
ついでにレントゲンを撮らせていただきました。
根管充填時より更に骨が出来てきてくれています。
大きな病変であっても根管治療由来の病変であれば、根管治療で治る可能性はあるので、
抜歯と言われた患者さんは一度歯内療法専門医に相談してみてもいいかもしれません。
基本的に開業の先生の多くは『病変が大きい=口腔外科で抜歯』という形式で、根尖病変が大きい⇒歯内療法専門医に治してもらおうとはなりません。(残念ながら歯内療法専門医は歯科医師の中でもあまり認知されていません) ですので患者さんの方からアクションを取らないと入院+抜歯となってしまいます。
今回のケースもう少し様子を見て行きます!
- Comments (Close): 0
- TrackBack (Close): 0
- Newer: 歯内療法日記: 2024年8月
- Older: 歯内療法日記: 2024年6月
Home> 歯内療法日記: 2024年7月アーカイブ
- 購読
- Powerd By