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歯内療法日記: 2019年12月アーカイブ
神経を取った前歯を綺麗に見せるにはまず根管治療
前歯の色が気になるという30代の女性患者さん
神経を取った歯が褐色に見えるという典型的なパターン
実はこれ、根管治療の際に髄角という神経の細かい部分を取り残すと
今回のように変色が比較的短期間で強く出ます。
*歯の中の血液が変性して歯の色が変わります。
簡単に言えば取り残した神経が黒く変色し歯の色に影響を及ぼします。
この場合、ホワイトニングを行う前に一度根管治療でをきちんとその部分を取りきらないと
変色はなかなか改善しません。
また一度褐色に変色した歯はホワイトニングでできるだけ色素を抜き取ります。
インターナルブリーチが終わったところ
ここから歯の裏に真っ白なレジンでで光の抜けをコントロールしながらレジンを詰めると!
術直後
こんな感じで茶褐色の歯の色はある程度改善されます。
と言っても、徐々にはまた変色してくるので、家の方で気になり始めたら
マウスピースを使用してホワイトニングを行ってもらいます。
変色歯のホワイトニングはやってみないと上手く行くか分かりません。
たまにですが、ホワイトニングをしても色の改善が見られない場合もあります。
患者さんが期待するほど白くならない場合は
「セラミッククラウン」などを使用して白く治す方法となります。
神経を取った前歯はセラミッククラウン!?
いえいえ知っていればこんな方法を選択できます!ヽ(・∀・)
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そらぁ~、一応歯内療法専門医だもの!
- 2019年12月21日 09:22
- 歯内療法日記
患者さんは20代女性
2年前に矯正治療を終わられ、
2018年9月に神経が死んでいるとのことで抜髄(初めての根管治療)
2018年12月から押すと痛い症状が現れる
2019年2月に歯科医院受診 「抜歯か・・・!?」
レントゲンを撮ると
1回しか根管治療していない歯にしては、かなり積極的に削ったね。。。
最近来たメーカーの人とも話していましたが、
根管治療も歯質の保存で削らない方向にトレンドが動いており、
扱い方を知れば、NI-Tiファイルも折れにくい時代に突入しています。
とは言っても、削らない根管治療というのはエラーも起こりやすいですし、
治療難度もかなり高くなります。
(大きく削った方が治療がラクで早い)
またこれらの出来るだけ削らないというコンセプトは時代の流れ的に避けては通れないのですが、
なぜか日本の歯科界では否定的。。。
医科の手術、1cmの切開から内視鏡で外科をし早期に退院できる技術と同じです。
歯科の場合は、何かあってはいけないからお腹は大きく切って開いてよく見なさい。
みたいな感じです。
顕微鏡の使い方さえ工夫すれば、3mmの穴から根管治療
こんなこと出来る時代です。
ただ、この方法難易度の高い治療方法になります。
先日も知り合いの歯内療法専門医に
「先生の3mmからの根管治療、あれは出来ない諦めました」
と・・・
私も開業当時はこんなことは出来ない技術だったんですけどね・・・
さて、今回の歯
ここまで削ってあるので、たぶん10人見れば8人は抜歯判定かもしれません。
かく言う私も、これは抜歯が順当かな・・・、
残したければ治療するけどチャレンジケースですと説明
まだ20代ということで、残す方向でトライ
すると、はい出ましたパーフォレーション!
と同時にはい出ましたファイル破折!!
もうここまで来ると患者さんが可哀そう。。。
前回の根管治療は治しているのか!?腫れや痛みの出る「呪いの歯」を作っているのか!?
(パフォもファイル破折も起こってしまうことではありますが・・・)
2回目にファイル除去、拡大、洗浄
3回目にもう一度根管洗浄、根管充填、コア、仮歯Set まで
出来ることは全てやった!
で、
根管充填から4カ月 腫れも痛みもないとのこと
レントゲンを撮ると!
若いのが要因か、すごく骨がきれいに出来てきています!
このままもう3か月経過をみて本歯に変える予定です。
神経の治療って細かくて繊細で、歯科の治療分野の中では差が凄く出る治療の1つなので、
歯を残したい患者さんは【歯内療法専門医】の存在は知っておいたほうがいいですよ!(・ω・)ノ
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歯に開いた大きな穴(パーフォレーション)
- 2019年12月19日 09:01
- 歯内療法日記
患者さんは40代女性
歯茎が腫れ近くの歯科医院に行く根管治療が必要といわれ治療スタート
が、
土台を除去すると歯に穴が開いており、「これは歯内療法専門医にかかった方がいい」
ということでEEデンタルに来院
話を聞くと、数年前に根管治療を行い、1年前に腫れ再治療を行ったとのこと
その歯が今年に入り再び腫れてきて歯科医院を受診したとこのこと
レントゲンを撮ると、
赤丸部分に過去の治療で穴が開いており骨も溶け、腫れていたと推測
患者さんは歯を残したいとのことで保存治療にトライ!
治療1回目で分かったことは、通常の神経管の位置とはズレた所に神経管の入り口があり、
それを探そうと裸眼でガンガン攻めた為に歯に穴を開けてしまったと推測できました。
赤丸の部分の横の紫色の線が手使ずの神経管
手探りで行う奥歯の根管治療はどうしてもこんなエラーが出てしまいます。。。
患者さんにもある面仕方がなかったことだと説明
非があるとすれば、
パーフォレーションを起こした先生がその説明を一切しなかったこと!
1回目でパーフォレーションリペア
MTA使用
*こう場合根の穿通・拡大を先にすべきか、先に埋めるべきか!?
私はセオリー通り上の問題を解決してから下の組織に手を付けます。
2回目の治療で歯の中を綺麗にし、根管充填を行い仮歯をSetして
根分岐部(今回の穴)は比較的予後が悪いので腫れないか心配しながら待つこと8カ月・・・
8か月後のレントゲンではびっちり骨もでき患者さんも全く違和感もないそう。
*造影性のないレジンをコア材に使ってしまった為、コア部に透過像が見えますが問題ありません。
今時造影剤を入れないレジンが存在するとは・・・
患者さん、紹介元の先生には造影性がないだけで問題ないことを説明させてもらいました。
歯の治療、「手の感覚で行う根管治療 」or 「細かい所が拡大して見えている治療」
差が出るのは仕方がありません!ヾ( ̄∇ ̄;)
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ずっと違和感のあるさし歯
- 2019年12月13日 09:09
- 歯内療法日記
40代の女性患者さん
過去に膿が出てきて、再根管治療や外科治療を行った。
痛みはないが違和感が続いており、強く咬めない
1週間前に歯科医院で見てもらってもレントゲン上では問題ないと言われる。
患者さんのレントゲン
ん~・・・、
前歯4本中3本に根尖病変様の所見があります。。。
1週間前に歯科医院で「問題ない」と言われたのに!?
これは歯科ではよくあることで、先生の得意分野やレントゲンの精度で診断に差は出てしまいます。
またこの3本結構長い金属の芯が入っており、これでは誰も外したがらない、外せないような状況。。。
先月・今月と来院された初診患者さんで、
金属の土台が長く外せないから抜歯になると言われ来院された患者さんがおられましたが、
歯内療法専門医は殆どの土台の除去は可能です。
過去最高に時間がかかったのは1時間半土台の除去していました(笑)
http://eedental.jp/ee_diary/2015/03/1-4.html
今回の金属の土台も難易度で言えば【中】ぐらいでしょうか。
前歯ではこんな技もあります。
http://eedental.jp/ee_diary/2015/12/post-1301.html
患者さんに残す方向で治療をさせてもらいました。
3本あったので治療を右と左2本の2回に分け、
このケースも水酸化Caの押し出しが見られました。。。
先日のブログ
http://eedental.jp/ee_diary/2019/11/post-1988.html
この後仮歯を入れ経過をみて行きました。
症状もなく骨の方も出来てきているようでしたので、被せ物OKとGoサインを出すと
ホワイトニングしたいのとことで、ホワイトニングを行いベース色を白目に変えて
良い感じでセラミッククラウンが入りました!
左上1・2は歯根の長さから連結させてもらいました。
http://eedental.jp/ee_diary/2019/12/post-1993.html
術前⇒術後のレントゲン
長く前歯を綺麗に見せるにはまず根の治療をきちんと行い経過をみることです。
根の先の病変(骨が溶けた所)は治るにも時間がかかります。
その間、仮歯などをうまく活用し経過をみます!
歯内療法専門医といいながら、EEデンタル、レジンもセラミッククラウンもやっているので
患者さんの希望があればこんなことも行っています( ・∀・)ノ゙
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根尖病変、ビックパーフォレーション、ファイル破折のフルコンボ
- 2019年12月 4日 09:18
- 歯内療法日記
患者さんは40代男性
歯の痛みを感じ近医に行くと病変を指摘され、
治療がスタートするもしばらくすると抜歯するしかないとの判断
レントゲンを見ると
赤丸:根尖病変はあるものの
黄色:パーフォレーション(歯に穴)
ピンク:ファイル破折
フルコンボだね。。。
隣の天然歯にはないものがある、これらは全て医原性による問題です。
つまりは、歯科医師が起こしている問題。。。
患者さんにかなり残すのは難しい状況であること、
費用も通常の治療費の他にオプションの治療費がいること、
お金をかけても残っている歯質も少ないし使えるまでの歯となると説明
正直、1回目の抜髄をきちんと行えば少なくともこのような状況になることはほぼないです。
保険の治療費では、仕方がないといえば仕方がない・・・、
毎回かいていますが、保険治療は歯を長持ちさせることを主眼に置いたものではないことを
早く国民に分かってもらった方がいいと思うのですが。。。
患者さんも「20万かけても抜歯になるようならインプラントにお金かけた方がいいですかね!?」
と質問されたので、即答で
「そうだね!」
と返答
でも何とか自分の歯を残したいとのことで根管治療にトライ
1回目でファイル除去を試みるも、半分は除去できたのですが、先端の方のファイルが見えない
またパフォレーションはMB根、ML根の2か所に開いている。。。
徹底的に洗浄して、近心根のみ1回法で根管充填
2回目の治療で、遠心根を根管充填+支台築造+仮歯を入れ、
3カ月、6カ月、1年とレントゲンで経過を見ていき
その間、腫れや痛みの無いことを確認
で、1年後のレントゲン
根尖病変もほぼほぼ消え、問題ない状況までもっていけたかなと
昨日も初診の患者さんでおられましたが、
歯科医院を受診したら、まだ痛み腫れなどないのに
「歯を抜いて10本近くインプラントを入れる必要がある」
と説明を受けられ、本当にインプラントしかないの!?と質問を受けましたが、
ここが重要なのですが、歯科医師は
1、抜いてインプラントで咬めるようにするのが得意な歯科医師
と
2、自分の歯を残して咬めるようにするのが得意な歯科医師
が存在します。
自分の歯を保存したければ2、の歯科医師の歯科医院にかからなければ
「10本抜いてインプラント」という治療方針になることもあります。
これは日本の制度がまず問題で、
数百円~数千円で歯の治療をして、歯が無くなれば40~50万でインプラントという
システムが私はおかしいと思っています。
誰だって、後で大きな利益が見込めるのであればその前のステップはおろそかになるかもしれません。
長持ちする歯の保存を治療を行い、ダメならインプラントなら分かります。
インプラント治療に比べ、何十倍も手間のかかる歯内療法(根の治療)
正直、技術的対価で言えばインプラント治療より高額になっても全くおかしくありません。
歯の保存治療は歯科医院選びが重要です。。。(>。<)
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