金属の土台除去に1時間半
- 2015年3月17日 09:25
- 歯内療法日記
http://eedental.jp/ee_diary/2015/03/post-1131.html
でも書かせてもらったのですが、
神経の治療後に加算まであり推奨されているように見える『金属のポスト』
個人的には見なおした方がいいんじゃないかなぁ~
とホント思いますφ(・д・。)
保険治療では2つの治療材料(金属、レジン)があるのですが、
多くの場合で昔から使われている金属性の土台が選択されています。
他の国に比べると日本の治療費は現代の医療費としては考えられないぐらい安いですから
少しでも利益の出る金属製の土台を選ぶのは仕方がないことだとも思います。
(医療と言えど経済活動の中の1つですから、赤字を出してはやっていけない側面もあるかと思います)
安いことはいいことですが、安過ぎるというのは最後に患者さんが弊害を受けます。
医学的に言えば、歯の中にいれ込むポストという金属
元々、ポストの付与は歯冠側(歯茎の上の歯の部分)でのコア、クラウンの維持が出来ない場合に
内側性(歯の中に)に維持を求める為に付与するものとされています。
つまり、多くの抜髄歯(最初に神経を取った歯)というのはまだまだ歯も残っており
わざわざ健康な歯を削ってまで金属の棒を入れる必要はないのです(p・Д・;)
(これは論文などでも証明されています)
歯を犠牲に二度と治療ができないような金属の土台を入れるには・・・
私的に言えば「完全になし!」
と言っても、現実は
一番奥歯にこんな感じで金属の太い土台が2本
(3壁にしっかりしたフェルールがあるのですが・・・)
またこの患者さん口が大きく開けれず(開口量2横指)
奥歯を治療する際の作業スペースがない為に、更に難易度が高く・・・
前の歯科医院ではこの土台は除去不可能!(´_`。)
一度抜いて根の先を掃除する「意図的再植術」の適応
ただ、私は
手術を行ったからといって、
たぶん赤丸の隙間の部分から絶えず唾液感染があると判断して手術しても中長期的にみて失敗に終わると思い、
根管治療を選択
顕微鏡を見ながら慎重に削ること1時間半
なかなか道具も入らないし、土台は長いし太いし・・・
(たぶんこの金属入れるには5分ぐらいで治療終わっているはずです)
因みに、
金属土台除去は保険治療費で500円(3割負担で150円)
1時間半かかった私からすると時給:350円!?
削る道具の消耗品だけでも1000円近く使っているんですけどね・・・
つまり保険治療では完全に赤字です。
この負担を全て歯科医院側がしなさいというのが国の方針
「できるか!」(o`・з´・)
あんまり言うと怒られちゃうんで、話を戻して、
その後、
通常の根管治療をして(根管充填にはMTA)
綺麗に治療が終わりました!( ・▽・)ノ
後は治ってきてくれるか経過をみて、治癒傾向があれば本歯を入れて行きます。
ラバーダムをしない日本の根管治療の成功率は30~40%ぐらいという報告がある以上
やり直しの治療の為の配慮というものは必要だと私は感じています。
追記:週末中部歯内療法学会に行ってきましたが、
来年の保険改定でファイバーポストコアが保険適応になる可能性があるそうです。
ただし治療費は原価での治療費設定になるようで・・・
講師の木ノ本先生も
「1本850円のファイバーポストを850円で治療しなさいって・・・」
「原価850円のお肉を調理してステーキにして850円でお客さんに提供する」
普通の世界ではあり得ないことだと思いますが、これが現在の歯科が置かれた世界なのです。
患者さんが希望する技術・会話・説明などに関しては、国は価値など認めていませんが、
法的には歯科医師の義務とされています。
普通経済では、原価に利益を上乗せしたものが価格なのですがね・・・
安い、安いで結果、歯を失っていては治すこと自体疑問にも思えます。
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