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歯内療法日記: 2022年9月アーカイブ
ProTaper Ultimate(プロテーパー アルティメット)を使ってみた
- 2022年9月28日 09:06
- 歯内療法日記
リリースされましたね。
ProTaper Ultimate Files プロテーパー・アルティメット | デンツプライシロナ (dentsplysirona.com)
プロテーパー ユニバーサル ⇒ プロテーパーゴールド ⇒ プロテーパー アルティメット
と変わってきます。
個人的にはニッケルチタンファイルは昔から使っているデンツプライが一番安心感があります。
現在は最新のテクノロジーをつぎ込んだ、高価なファイル
と
特許が切れ中国メーカーが丸パクリした安いジェネリックファイル
の2択なのですが、ジェネリックファイルはそれなりで個人的には使いません。
一応、根管治療は専門であり少しでも上手になりたいので、なるべく良い物を使って
足りない技術力をカバーしてもらい、効率的に治療しようと思っています。
ただ、私がニッケルチタンを使い始めた1世代目(タックエンド)や2世代目(プロファイル、GTファイル)に比べ、各メーカーそこまで大きく差が無くなってきているのも事実かと思います。
今回のプロテーパーアルティメットは、ファイルの金属がファイルの番手毎に異なっています。
またファイルの形状も各ファイルで異なり、デンツプライのプログライダーやトゥルーナトミーなど
デンツプライの歴代ファイルの良いとこ取りをしているように思えます。
*ラドル先生と仲の良い師匠に聞いたら、ファイルは番手が上がるごとに固いファイルから柔らかいフィル(素材)に変わっているそうです。
最初は穿通性の高い細い剛性の高いファイル、番手が上がると太くなる分柔らかい素材に(ブルーワイヤー)
ただ・・・
HPには
>ロータリーファースト
>多くの症例でスライダーによるグライドパス形成から開始することが可能です。* *社内ユーザー調査では、63%のケースでKファイルを使用せず、スライダーでスムーズな切削が出来たと答えました。
穿通なしでニッケルチタンスタート ←これGPの先生は絶対止めた方がいい!
前歯の中切歯と犬歯ぐらいならいいかもしれませんが、たぶん社内ユーザーって殆どが歯内療法専門医だと思いますから元々の技術力が違います。
上手な先生には出来ることでも平均的な技術の先生には「害」になることも・・・
私も簡単なケースにはニッケルチタンからと書かれていたので、
「へ~、ハンド要らないんだ!」と思いやってみたら、案の定レッジ。。。
*ニッケルチタンでレッジって何年ぶりに作ったか(汗)
結局そのレッジを取り修正するまでにいつもの3倍時間を費やしました。
*なんだよ、このうたい文句嘘じゃねえか!と思いながら治療していました。
後日、師匠に話したら、
「いやいや、ニッケルチタンの原則はグライドパスをハンドで作ってからだぞ!」と
ですので、GPの先生は#10Kファイルは最低でも通した方がいいです。
後、プロテーパーゴールドに比べ、アルティメットは根元のテーパーが抑えられており細くなっているように思います。
*根管口入り口の形成量は破折抵抗の為にもなるべく抑えたいものです。
今月行ったイニシャルトリートメント
ゴールド F2拡大
アルティメット F2拡大
特にF4、F5のファイルは大きく形状、金属がブルーワイヤーに変わっており
私も特にF5などはアルティメットの方が理想のファイル形状だと思います。
使用して歯を削っている感が強いのはゴールドですね(私見)
顕微鏡下で見ていても多量にデブリが付くのはゴールドの方
私はプロテーパーゴールドの医院の在庫がまだまだあるので、アルティメットに替えるのは1年後ぐらいかな。
また来年の知立のセミナーもプロテーパーゴールドを使用すると思います。
色々考えられており、良いファイルだと思います。
以上、使ってみた感想でした。
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検診で指摘されていた根尖病変が痛み出した。
- 2022年9月27日 09:00
- 歯内療法日記
以前、他の歯の治療をさせてもらった40代女性の患者さん
今回は定期健診でかかりつけの先生に「根尖病変あるよ」と言われていた
10年前に根管治療した歯に鈍痛が出始めたとのこと、
以前の歯は1週間激痛が伴っていたので
歯の神経治療は要注意!特に女性!! - EE DENTAL_Blog
根管治療は歯内療法専門医にお願いしたいとのこと
(大きな痛みはトラウマになりますよね)
診させてもらうと
確かに根尖病変はあります。
銀歯が連結されており、セメントの取り残しも見られます。
しかし、太くて長いスクリューピン(ネジ)が入っており、
これをどれだけ慎重に外せるかがこの歯の治療のポイントになりそうです。
ネジを取る際に歯に穴(パフォ)を開けそう・・・
まずはクラウン+ネジを除去
ネジを無事除去出来た所。
残った歯は3壁がしっかりしており、何ゆえにこんな太いネジ2本も入れたか。。。
*歯茎の上のしっかりした歯が残っていれば、ネジは入れなくても大丈夫です。
1か月後の治療2回目
前回の治療後4日間ぐらい痛かった。2週間ぐらいは歯ブラシが当たっても痛かった。
治療後3週間ぐらいで、痛み、違和感は無くなってきた。
ラバーダムをして歯の中を確認すると特に膿などの所見はないことより
徹底的に洗浄して根管充填
根尖は太く削られていた為MTAを使用
今の歯内療法のトレンドは抜髄はなるべく細く削って歯質の保存を行うというものに変わってきています。
菌がいないような状況で神経管を太く削るのはどうなの!?とホント思います。
今月が半年予後となりレントゲンを撮らせてもらいました。
全く症状はなく入れた仮歯で何でもよく食べれるそう
レントゲンでも半年でかなり骨は改善してくれました。
この状態であればクラウンを入れても大丈夫そうなので、次回ゴールドクラウンを作って行きます。
前回の大きな痛みが出てしまい転院されてきた歯の根管治療は治療回数:8回
今回のスタートから触らせてもらえた歯は治療回数:2回
根の治療、トラブってから治療を引き継ぐのとスタートから触れる歯ではここまで大きく回数に開きが出ることもあります。
トラブった歯を引き受けるのも歯内療法専門医の仕事なのでこちらは全然OKですが、
患者さんとしてはなるべく痛みなく少ない回数で治したいですよね!(・。・)
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虫歯の治療をしてから抜きたいぐらい痛い奥歯
- 2022年9月23日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは40代男性
虫歯の指摘をされ、虫歯の治療を行ったら痛みが出てきた為やもう得ず抜髄(神経を取る)
その後、毎回治療の度に激痛 次第に膿んできてしまい切開なども行った。
正直もう歯を抜きたいぐらい痛い。
その後、オープン(仮蓋なし)の状態で症状は治まったが先生はお手上げで転院を勧められEEデンタルへ
初診時のレントゲン
薄っすら透過像があるように見えたのですが、CBCTで見るとかなり大きな病変が見られました。
抜髄スタートにも関わらず、だいぶ歯が削ってありました。
患者さんには一度、残す方向でトライしてみるか話をして、残す方向で根管治療をスタート
治療1回目
仮蓋のないまま時間が経っていたので、中はプラーク(細菌)でびっちりでしたが、
上の方から順に綺麗にしていき、過去のガッタパーチャーなどの人工物を除去し徹底的に洗浄
ただ、過去の治療で根尖も大きく破壊されており、治りにくいパターンに。。。
1か月後の治療2回目
痛みは殆ど出なかった、術後に1回だけ痛み止めを飲んだとのこと
治療3回目
腫れや痛みはなかったのですが、ラバーダムをして開けてみると口蓋根から排膿
治療4回目
腫れや痛みはない、歯の中も綺麗になってきていたので次回根管充填をおこなうことに
治療5回目
根管充填
根尖が大きく削られていた為に3根全てにMTAを使用
*口蓋根はMTAのオーバー根充に・・・
歯の外に出たMTAはそのうち吸収してきますので、それほど心配はいりません。
仮歯を入れ、仮歯で生活をしてもらい1年予後
腫れや痛みもなく順調とのことでした。
レントゲンでも骨が出来てきているのが確認できたので、かかりつけの先生に補綴を依頼
*外に出たMTAも殆ど吸収されています。
最近他の歯の治療で来院されたのでレントゲンを撮らせて頂きました。
良い感じで治っています!
根管治療でトラブルともう抜きたい!と誰もが思ってしまいます。
ただ、抜く前に歯内療法専門医に相談することで、かかりつけの先生がお手上げの歯も保存出来ることがあります。
残りの人生を考えても歯の保存ができて良かったです!(^。^)
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歯性病巣感染
- 2022年9月14日 09:16
- 歯内療法日記
根管治療の際にお渡ししている資料を1部追加させて頂きました。
歯性病巣感染
「歯性病巣感染」ちょっと聞きなれないワードだと思います。
これは口の中の細菌が体の中に入り込み血流にのって様々な臓器に攻撃を行い2次的に病気を作っているという考え方です。
2次的に攻撃を受ける場所は、肺、気管支、心臓、血管、肝臓、腎臓、子宮、皮膚、目などに病気を引き起こすことが報告されています。
口の中の細菌というのは良い菌、悪い菌含め10兆にも及ぶ菌がいるとされます。
人は菌と共存しながら生活している訳なのですが、できるだけ悪い菌にはそっとしておいてもらいたいものですが、知らないうちに菌は口から体の中に入ってしまいます。
この歯性病巣感染をおこしているのが「歯周病」と「根尖病変」(根の病気)と言われます。
歯周病は患者さんが歯磨きをきちんとしてもらうことである程度患者さんの努力でコントロールもできますが、根管治療の失敗で起こる根尖病変は患者さんがどんなに頑張ってもどうしようもありません。
日本の根管治療の成功率は約5割と言われていますので、2本神経の治療を受けた歯があれば、数字上は1本は根尖病変があることになります。
根尖病変は痛みの出ない病気であり、体調が悪い時や風邪などで抵抗力が下がった際に「歯が浮いた感じがする」、「腫れぼったい」、「ムズムズする」などの症状が出ますが、体の体調が良くなるとまた症状は隠れてしまいます。
ただ、口の中に病変がある限り菌による体への攻撃は続いており長期的に体の至る所に問題が出る場合もありますので注意してください。
後、根尖病変と関連する「掌蹠膿疱症」という病気もあり、根管治療で根尖病変が治ると肌荒れなどの症状も落ち着いてくるという報告もあります。
金属アレルギーやアトピー持ちの方などは一度レントゲンで根尖病変の有無を調べた方がいいでしょう。
健康に気を使われる方は是非口の中の病気と取り除くことをお勧めします。
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根管治療で治すか外科的歯内療法で治すか!?
- 2022年9月 9日 09:02
- 歯内療法日記
患者さんは40代男性
奥さんが昔からのEEデンタルの患者さんでその紹介で来院
他院でジルコニアクラウンを入れた歯が痛い
1週間前ぐらいから違和感が出てきた後、歯に物が当たると痛むようになってきた。
現在ジンジン歯が痛む 痛み止めを飲んでも3時間ぐらいで切れてしまう。
レントゲンとCBCTで診察すると
遠心根に大きな病変 また過去に2回ほど根管治療をしており神経管はかなり太く中途半端な治療痕が・・・
白系のクラウンの為かなり縁下深い場所まで削ってありましたが、マージンは全周にわたり不適
審美的に歯茎の中まで削ったらなきちんとマージン合わせるべきなのですが・・・
レントゲンを見て、この状態だと外科的歯内療法でトライするのも1つではあり、
患者さんと話し合った結果、外科は避け再々根管治療で残す方向でトライすることにしました。
治療をスタートすると、歯茎の上に健康な歯はなく過去の治療でかなり大きく削られてしまっています。
また遠心根のガッタパーチャーを除去すると、根の先から膿と血が出てくる状態。
これは膿の逃げ道がなくズキズキ痛んでいたのも納得できます。
いつもは根管治療後に抗生剤を出すことは殆どありませんが、この歯は炎症の急性期にも思えたので
念の為に抗生剤を処方
前回の治療から2週間後の治療2回目
痛みも腫れもすっきり治ったとのこと、根管内を見ても膿は出てこなくなっていたのを確認
更に3週間後の治療3回目に根管充填、土台+仮歯まで
遠心根はオリジナルの根尖まできちんと清掃・MTA根管充填
近心根はオリジナルの根管を追っていきましたが、根尖手前で石灰化で閉鎖根管になっていたのでその部分までを消毒+根管充填
仮歯を入れたのですが、全周レジンマージンにしました。
前回のクラウン歯茎の下まで削りすぎだよ!
そこから経過を見ていき根管治療から6か月後
治療した歯に痛みや違和感はなく普通に咬めるそう
レントゲンでも半年で病変はかなり小さくなってきてくれており、この状態であれば外科をしなくて済みそうです。
根管治療は手間のかかる治療の代表格です。歯を残したければなるべく根の治療が得意な先生に診てもらった方がいいと思います。
追記:無事クラウンが入りました。
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治りの悪い側切歯の根管治療から外科的歯内療法
- 2022年9月 6日 09:01
- 歯内療法日記
患者さんは30代男性
前歯にチクチクする痛みが出たり引いたりを繰り返している
たまに痺れたような痛み方をする時もある
とのこと
レントゲンを撮ると
側切歯に根尖病変が見られます。(炎症で骨の無い所)
患者さんと話し合い根管治療で治すことに
1回法で根管治療+土台+レジン充填を行いました。
ここから経過をみていったのですが、
1年以上経過しても病変に治癒傾向は見られません。
患者さんの痛みも 最近になり痛みがちょくちょく出るようになってきた。
痛みが出て引いての繰り返し。
と治っていない様子
前歯の中でも側切歯は治りの悪い歯という感じがします。
患者さんに説明を行い外科的歯内療法で治すこととなりました。
逆根管充填材はMTAプラスを使用
定期健診でレントゲンを撮ると
骨も出来てきており、患者さんに症状を聞くと全くないとのこと
この状態であれば、後は1年予後でもう一度骨の所見を追えば大丈夫でしょう!( ・∇・)
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