Home> 歯内療法日記 > 歯の神経治療は要注意!特に女性!!
歯の神経治療は要注意!特に女性!!
- 2021年7月14日 09:07
- 歯内療法日記
根管治療の失敗というのは細菌感染の有無であると、
歯科医師であれば99.9%の歯科医師は知っています。
*稀に知らない先生もいますが・・・
細菌が入ることで痛んだり、腫れたり、膿が出たり、骨が溶けたりします。
根管治療を成功させる為には菌が入らないような環境を作ってから
治療をスタートすべきであり、そのような配慮なしに治療を始めても・・・
その最たる道具が「ラバーダム」、ただ保険治療の場合
2008年に治療費100円のラバーダム算定が無くなりました。
無くなった理由は「やってもいないラバーダム算定が多すぎた」というものです。
歯科の場合特に根管治療の治療費が少なすぎるので、
算定(保険請求)できるものは全てしてしまっていたことが・・・
という所から、国もやってもいない処置に費用は出せん!という流れで
一番被害を被ったのがラバーダムをきちんと行い治療していた先生。。。
赤字が更に大きくなってしまったと思います。
ラバーダムは根管治療時、特に抜髄ではこれがあるか無いかで
患者さんの今後が大きく変わる可能性があります。
今回の患者さんは、30代女性
他院で1週間前に抜髄を行い、そこから痛みが引かない
再度治療をしてもらったが、激痛が収まらない
先生には「治療している歯の奥の歯が虫歯になっているのでは!?」
と言われたとのこと。
たまたまEEデンタルの空き枠があったので、来院してもらうと1週間痛みが続いているようで
憔悴しきった感じで来院されました。*痛みで寝れていないとのこと
レントゲンを撮ると
奥から2本目の歯が治療中のようです。
患者さんに一通り説明を行い、痛みの原因は根管治療中の歯の疑いが強いので
他の奥歯は触らずとりあえず歯の中を綺麗にして待つ必要があることを説明。
治療1回目:歯の中を徹底的に洗い消毒
仮封材(仮蓋)を外した際にペリオドン(ホルマリン系薬剤)の臭いが・・・
後で聞くと初回に「神経を殺す薬を使用した」と言われたこと
神経を殺す薬=ペリオドン
推測にはなりますが、ペリオドンが歯から漏れ出ると痛みが長期化しまいます。
*勤務医時代に経験しております。
痛みはすぐには引かない可能性があるので、痛かったら痛み止めで散らいてくださいと説明
前回の治療から1週間後
治療2回目:前回の治療後、痛みが増し腫れてきた。今は物が立っても痛い。
消毒後、普段は滅多に処方しない抗生剤を投与。
特に悪い所見なし。
前回の治療から2日後
治療3回目:腫れと痛みは収まってきている、痛みもピーク時が「10」とすると「7」程度に減った
前回の治療から5日後
治療4回目:歯の周りの歯茎が痛い、痛みはピーク時の「4」程度に減った
これはこのまま収まるかな!?
と思った矢先
前回の治療から1週間後
治療5回目:4日前から痛みが大きくなってきた。痛みは再び9割ぐらいに戻ってしまった。
再び寝れないぐらい痛いとのことで抗生剤を追加投与。
前回の治療から3週間後
治療6回目:痛みは「5」ぐらいに落ち着いてきた。
歯に物が当たっても痛くない、歯ブラシも苦でなくなった。
前回の治療から1か月後
治療7回目:痛みは無くなった。
前回の治療から2週間後
治療8回目:腫れや痛みはないことより、根管充填
3根管 GP使用
前回の治療から2か月後
治療9回目:レントゲン検診 咬んだ時に響く感じも殆ど無くなった。
前回の治療から2か月後
治療10回目:十分な歯質の残存量だったのでゴールドアンレーで修復
綺麗にゴールドアンレーが入りました。
痛みが続いても、私を信用して最後までついて来てくれた患者さんには感謝です。
今回のケースはかなりのレアケースで私もいい経験ができました。
個人的には開業してから抜髄で1本もトラブったことがなく、
今は更に感染リスクの軽減の為に1回法で根管治療から土台の作成まで行っております。
今回のように他院で治療後にトラブったケースは何本も治療しています。
共通して言えるのはラバーダムをしていない、不潔な状態で治療が行われており
その状態から引き継いでも簡単には問題が解決しない。。。
EEデンタルは歯内療法が専門ですから、「駆け込み寺」的な意味合いもありますが、
本音は「最初から治療させてもらえれば、こんなに苦労しないのにな。。。」です。
ラバーダムなしの根管治療を簡単にいうと、
学校の運動場で体育祭をしている隣でお腹開いて手術しているのと同じ。
これじゃあ、「問題起こってください!手術失敗してください!!」と同じ
ただ日本の保険治療、特に根管治療はありえないぐらい安い治療費設定なので
なるべく手間と時間をかけずに治療をしたいという歯科医院側の気持ちも分かります。
また、ラバーダムをしない場合の全ての歯がこのようなケースになることはありませんが、
起こってしまうと患者さんは地獄を経験することにもなります。
今回のような状態で更に痛みの中長期間治療が行われると更に厄介な
「非歯原性歯痛」という状態にもなってきます。
「エンド専門医に治せない歯痛」 セミナー 【非歯原性歯痛】 - EE DENTAL_Blog
*今月他の患者さんで痛みが取れずに井川先生に紹介状を書きました。
根管治療後の痛み 非歯原性歯痛 - EE DENTAL_Blog
根の治療は歯科治療の中でも特にトラブルの多い治療の代表格なので注意してください!
- 購読
- Powerd By