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歯内療法日記: 2024年9月アーカイブ

根管治療 土台除去による歯質削除

根管治療の際に必ず行う被せ、土台(レジンコア・メタルコア)の除去

  

基本的にクラウンの除去はまだ見えるので抜歯になるリスクは殆どありませんが、

歯茎の下の見えない部分を削る土台の除去は、抜歯のリスクが付きまといます。

  

歯茎から下のコア除去は感覚で削る部分も多いので、余計な場所を多く削ってしまいます。

これが歯が無くなる理由No1です。

 

私見ですが、前歯ほど健康な歯は多く残した方が歯の寿命は長くなります。

残った歯が少ないと、歯が折れやすいです。

 

また、土台除去の際に最も起りやすいのが、「パフォレーション」

歯科医師の腕 - EE DENTAL_Blog 

穴の開いた部分に細菌感染が起こると膿んできて、抜歯になります。 

 

私が治療を受けるなら、必ず拡大視野で治療を受けます。

なぜなら一度間違った部分を削ると、反り返しのつかないことがあり抜歯が近づきます。   

前歯でも見えないと本来の根管(神経管)なのか自分で開けたパフォレーションなのか分からずに治療することもあります:抜歯宣告を受けた前歯の治療 - EE DENTAL_Blog 

↑レアなのでそこまで起こりませんが

 

 

今回は「長いスクリューピン(ネジ)の入ったレジンコア除去ケース」 

患者さんは50代女性

2024年に入り、持続する痛みが出てきた。また鼻の下を抑えると違和感がある。

レントゲン

2024 EEdental AY (1).jpg

レントゲンでははっきり透過像はありませんが、右の鼻の下と根尖が一致するのでこの歯が原因と考えます。

*CBCTを撮って病変確認してもいいのですが、無駄な被爆で終わるので撮りません。

 

仮歯を準備しておき、根管治療を1回法にて行いました。 

2024 EEdental AY (2).jpg

長いネジが入っていますが、これ取るのにちょっとしたコツがあります。

ネジの周りのレジンを超音派で削って、ネジを緩めます。

 

こういったケースは、

余計な歯質はなるべく削らないように治療を行いました、過去の治療で根尖が大きく開いていた為にMTAプラスを使用

3か月後の来院時には違和感などは無くなりましたので、セラミッククラウンまで入れさせてもらいました。

2024 EEdental AY (3).jpg

うっすら根尖の歯根膜も確認できます。

 

歯科治療は治療を受ける度に健康な歯は少なくなり抜歯が近づきます。

なるべく少ない回数できちんと治した方がいいと思います!(^。^)

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2.5mmの穴からの根管治療

以前ブログにさせて頂いたケースの予後報告

泊りがけの通院 - EE DENTAL_Blog

 

患者さんは40代女性

2024EEdental OHI (1).jpg

クラウンをやり替えた際の刺激なのか神経が死んでしまっています。

*削った後に痛みの続く歯は注意です。  

  

前の先生が作ったゴールドクラウンの適合も良いし特に外す理由も無さそうだったので、小さな穴を開けさせてもらい根管治療

2024EEdental OHI (2).jpg

3根管でした。 

 

半年経過した所でレントゲンを撮らせてもらいました。

2024EEdental OHI (3).jpg

症状もなく咬めるとのことで、レントゲン所見も上顎洞底線も復活してきており

少し治り始めたのが確認できます。

 

術後7か月後の口腔内

IMG_6312.jpg

自分でも小さい穴からよくやったな(笑)と思いました。 

 

今回のケースはこのまま使ってもらい、また1年予後のレントゲンを撮らせてもらいたいと思います。 

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口蓋根中央部の外部吸収1年2ヵ月予後

以前ブログにさせて頂いた40代の患者さん

原因の分からない外部吸収歯の保存治療 - EE DENTAL_Blog 

 

口蓋根の中央部分に吸収が見られてたケース

2024 EEdental KAS (1).jpg

 

口蓋根を抜歯し、頬側2根の神経はそのまま保存しました。

2024 EEdental KAS (2).jpg

出来る限りのことは出来たと思います。

 

が、歯科医師がどれだけ頑張って、手ごたえがあっても結果が出るのは後のこと  

 

 

患者さんが1年予後で来てもらえたのでレントゲンでチェック

日常生活で困る様なことはなく、咬めているとのこと

2024 EEdental KAS (12).jpg

レントゲンでは悪化していないように見え、部分抜歯した口蓋にも問題は出ていません。

 

患者さんもまだ本歯を入れるのは怖いということで、もうしばらく仮歯で経過を見ることにしました。

 

まぁ、先生によっては即時抜歯と判断する先生もいるとは思いますが、

腫れや膿もなく日常生活には困ることもなく使えているのであれば、このまま使ってもらうのがベターかなと個人的には思っています。

 

ブログにするからか、外部・内部吸収の患者さんが来院されますが、患者さんに説明するのは吸収のある歯の治療は普通の根管治療に比べメチャ難しいのと、治療してしばらく経過しないと成否が分からないことを説明しています。

*私は特にこの分野に強い訳ではありませんのでね。 

 

このケースに関しては、また1年後に来院してもらい経過を見たいと思います(・ω・)/

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開業して行った根管治療のやり直し

歯内療法専門医の抜髄の成功率 おおよそ90% 

今の1つの基準は術後4年後の成否で成功率を出します。

  

ただ、口の中は細菌まみれで毎日使っていれば力も加わり悪くなってきますので

はっきり言ってしまえば、成功率というのは年々下がっていくもので、4年後に問題無い歯が一生安泰とはなりません。

 

また、私のような開業医は実際4年後まで予後を追うことはほぼほぼ不可能で、

自分なりの成功率も出したいのですが、患者さんの負担なしにデーターを取ることができません。

*根管治療後に膿や症状が落ち着き、半年後のレントゲンで治癒傾向が出てくると4~5割ぐらいの患者さんは安心したのか1年予後のレントゲンは無料でも撮りに来てくれません。。。

 

患者さん心理として、忙しいんだからわざわざ治った歯の為にレントゲンを撮りに行く時間を割けないといもの重々承知です。

 

ですので、開業医できちんと成功率を出せるのはかなりハードルが高い!

  

  

今回のケースは開業してすぐの2008年に抜髄をさせて頂いたケース

患者さんは50代女性

2024 EEdental OKA (1).jpg

私が抜髄を行った右下6

*この当時アナログのレントゲンで2008年からデジタルに移行したため2009年の1年予後のレントゲン

  

2021年に全顎検査をさせてもらった際のレントゲンで「あれ、根尖病変 or 歯根破折!?」的な所見が出てきてしまいました。

幸い症状はなかったので、患者さんにそのことを説明し少し様子をみることに。

 

ただ、悪い予感というのは大体当たるもので、2024年に入り痛みが出た後に歯茎から膿が出てきてしまいました。

そうなってしまったので、再根管治療を行うことにしました。

2024 EEdental OKA (2).jpg 

根尖病変は少し大きくなってきています。

 

 治療回数は2回で根管充填+レジンコア+仮歯まで

2024 EEdental OKA (3).jpg

自分のやった根管治療(抜髄)で再治療するのは久しぶりなのですが、過去の治療のどこが悪かったのか!?を見ることができ経験値が積めます。

  

術後6ヵ月後

2024 EEdental OKA (4).jpg

腫れや痛みなどの症状もなく骨も出来てくれており一安心!

  

 

昔と比べて、根管治療は殆どコンセプト、内容に関して替えていませんが、

昔と変えた所は、レジンコアのスタートの位置(根管口よりだいたい2mmしたぐらいから接着に頼ります)、後はレジンコア材料の変更(ディアルキュアはダメだと実感)などあります。

 

一般的にはレジンコアにはディアルキュア(光・化学重合型)が用いられますが、

これって1回で詰めるのでレジンの収縮による浮きが存在してしまい、その隙間から唾液感染があるんじゃないか!?と思い、ディアルキュア系のコア用レジンは使わなくなりました。

*海外の先生も同じようなこと言っていた先生がいましたが、光重合型レジンに比べディアルキュア型レジンが優れていれば、世の中の商品の殆どがディアルキュア型になると思いますが実際はそうではありません。

 

何度か過去の自分の行ったディアルキュア系レジン外しましたが、たまに浮いたような超微妙な隙間を見てしまい、こういう考え方になりました。

以前のセミナーでもお話しましたが、今は充填用のフロアブルレジンを12~15回ぐらいに分けて積層し、レジンの収縮の補正をしています。

(1回で詰めていたものを、15回に分けるので手間といえば手間ですがそこはこだわるポイントかなと思います。)

 

ちょうどYouTubeに上げた動画があったので、

昔の土台の作り方

  

最近のレジンコア(覚えていませんが10年前ぐらいからディアルキュア系レジンは使っていません)

手間も時間も材料費もかかりますが、長期成功を目指すには必須かなと今の自分は思っています。

  

変わっていないようで、毎日少しずつ感じたエッセンスを取り入れ替えています。

「変わらない為に変わり続ける」語源は誰が言ったか知りませんが、結局先人が説いた言葉が真理なんだろうなと思います。

  

今回のケース何とか病変が治ってくれて一安心!(p・Д・;)

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根管治療に必修の縁下(歯茎下)からの隔壁

昨日からの動画の続きになります。 

金属アレルギー治療の為のメタルコア除去 - EE DENTAL_Blog

 

メタルコアを外すと、舌側縁下深い場所まで歯がなく患者さん(先生)に聞くと

どうやら過去に歯冠破折を起こし抜髄に至ったとのこと。

ですから歯が折れて無くなった部分を何かで補修する必要があります。

 

私の場合、電気メスとレジンで壁を作ることが殆どでこの操作をしておくと、

根幹治療中にも唾液&細菌の侵入をある程度防げます。

 

今回は隔壁メイン動画になります。

一応、レジンも専門なのでレジンを使った隔壁にもかなりこだわりがあります! 

その動画 

虫歯、セメント除去、電気メスで歯肉のトリミング、フロアブルを用いた隔壁(OA3)、ラバーダム、感染根管治療、根管充填、レジンコア

  

 

沖縄からわざわざ来て頂いていたので、2時間半もらい1回でレジンコアまで仕上げました!

レントゲン 

2024 EEdental MIE1.jpg 

患者さん的には2時間半 「長っ!」と思われると思いますが、

歯科医師の先生からすると「早っ!」となります(笑)

 

先日も左上4の根管治療を受けてもらった先生に「メチャクチャ早いですね!」と言われましたが、

個人的に、治療はミスなく必要な時に必要な道具をケチらずに使う というスタンスです。

  

はっきり言って、自費治療なので1,000円、2,000円程度の材料代は無視していいコストなので、

効率が悪くなった瞬間に新しい材料はバンバン使い時間を短縮します。(時間を買う)

*保険診療と自費診療の差はこういった所にも出ます。

  

 

この後、セラミッククラウンまで作成させて頂きました。

 

わざわざ、沖縄から通院お疲れさまでした(・∀・)ノ

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4ヵ月前から根管治療を始めたが痛みが取れない

患者さんは40代女性 

2本の歯を診て欲しいとのこと

レントゲン 

2024 EEdental AFU (1).jpg

黄色の矢印:右下7 

10年前に根管治療を行った歯が痛む 歯茎を押すと膿が出てくる  

方針:かなりの確率で歯根破折で抜歯になると思われる。

 

ピンクの矢印:右下5 

痛みが出てしまい、4ヵ月前から根管治療をスタートしているが痛い。

特に朝に痛みが増す、歯の奥の方(根の方)が痛い。

担当の先生は外科処置(歯根端切除術)を行い治す必要があると言われた。

方針:まずはきちんと隔壁など作り、唾液・細菌が入らない環境を作って根管治療を行い痛みが取れるかみた方がいい。 経験上、外科処置を行っても痛みが改善する可能性はかなり低い。

  

主訴は2本でしたが、とりあえず右下5だけ治療することに

 

1回目の治療で行ったのは歯茎の中の虫歯を取り、その部分からレジンで隔壁を作り歯の中を徹底的に消毒

*4ヵ月以上根管治療をしているので、必要十分量歯の中は削ってあり、根の先(根尖)は大きく破壊されていました。

 

1か月後の治療2回目(歯は触らず、ヒアリングのみ)

根の先に一定の痛みを感じるが痛み自体は強くはない。

朝になると歯の浮いたような感じで痛いのは続いている。

 

1週間後の治療3回目

奥の方が痛かったのは無くなったが、朝に痛みを感じる。

ラバーダムをして歯の中を見るが膿などの悪い所見などはない。

方針:歯の中は特にやることがないので、もう1ヵ月このまま生活してもらい症状が落ち着いていれば、次回根管充填+レジンコアまで入れ様子をみる

 

1か月後の治療4回目

1ヵ月の間に2回大きな痛みがあった、今は痛みはなくなりすっきりしている。

というこで、MTAにて根管充填(根の先が破壊されていた為) 

2024 EEdental AFU (2).jpg

根管充填後に土台まで入れ、1ヵ月経過をみてもらい

今回のケースは、根管充填から1か月後に仮歯を入れ咬めるようにして行きます。

 

術後6ヵ月 

2024 EEdental AFU (3).jpg

痛みや腫れもなく、特に悪い感じはない

かかりつけの先生にクラウンを入れてもらうように説明 

  

治療後1年

2024 EEdental AFU (4).jpg

痛みや腫れもなく普通に咬めるとのこと

  

OK、OK、特に問題も無さそうなので終診

 

 

今回のように、根管治療に行き詰まると外科で何とかしようとする先生がおれますが、

これは完全な間違い! 外科をしても症状を悪化させてしまうのがオチです。

まずはベーシックな部分を抑えた普通の根管治療を行うべきです。

 

長く続く痛みの多くは、細菌感染を止めれていないことより始まります。

また、痛みが数カ月続いていたようなケースだと、その痛みを取るのにも数カ月かかります。

 

今回のように残っている歯質が少ないような場合は、どうしても歯の中に細菌が入りやすいので

きちんと隔壁からすべきなんですが、保険治療ではこの手間のかかる隔壁に点数(治療費)が付いていない為、赤字の根管治療になってしまいますが。。。

今回のような隔壁なく根管治療をしているのは、雨漏りしている屋根なのに廊下の雑巾がけを永遠にしているようなものでいつまで経っても床は濡れ汚れたままです。

 

今、世界的にみて、1万円以下で根管治療が受けれる国など殆どないと思いますが、やはり安い分手間をかけれないもどかしい部分も保険の先生にはあると思います。

 

こういった現状を患者さんに知って頂き、どうしても歯を残したいという方はその部分だけ歯内療法専門医にかかるのも1つかと思います。

*ただ、歯内療法専門医でも保険治療では出来る内容に限りはあります。

 

今回のケース、非原性歯痛ではなく痛みが取れてくれて良かったです(^。^)

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