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歯内療法日記: 2024年10月アーカイブ
歯内歯周病変と神経を取った後の前歯の変色
- 2024年10月19日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは40代女性
半年前に前歯を食事中にぶつけてしまい激痛が出て、その後収まる。
⇒2ヵ月前から痛くなってきて歯茎が腫れて来た。
歯科医院に行くと「問題無い」と言われたが、1ヵ月前からは違和感と鈍痛が出てきており、今は歯が浮いた感じがしている
とのこと
レントゲン
神経は既に死んでおり、根尖病変が2つ確認できます。
ただ、この側切歯も舌盲溝があり、その部分から排膿がありポケットも8mm
矢印の部分に溝があります。
患者さんには根管治療が必要なこと、その他にも歯周病の問題が絡んできており
厄介な歯内歯周病変であることを説明
方針としては、残っている歯質が多いので大きく削って被せず(クラウンにしない)にレジン充填で行きましょうと説明
1回法で根管治療+レジンコア+レジン充填
舌盲溝と歯髄が繋がったような感じで、「歯内歯」のようでした。
その辺も、超音波を使い細い溝を掃除してレジンで補修
1か月後
溝の部分の歯周外科をするかレントゲンを撮らせてもらいました。
あれ!?もう骨出来て(治る)きていないか!?
1年予後で来院してもらって調べると
「症状もなく、治った感じがあります!」とのこと
レントゲンでもかなりしっかり骨が出来てきてくれています。
これだったら安心していいでしょう!
気になる前歯の歯の神経を取る起こる変色
*神経を取ると茶褐色~暗い紫色
術後1年 どの歯の神経取ったか分かりますか!?
前歯の歯の神経はこんな「しゃもじ」のような2等辺三角形の形態をしています。
前歯をできるだけ削らず治療を行うと、この三角形の下の部分を取り残してしまいます。
すると歯の色があっという間に変色してきてしまいます。
前歯は神経管1本だから専門医でも一般歯科医師でも変わらないという意見もありますが、こういった審美的な要素を加味して治療するか!?で差は出ます。
もし変色した場合はインターナルブリーチ(ホワイトニング)である程度解決できますが、長期的に見ると後戻りして暗い歯の色になってしまいます。
ホント側切歯は色々な要素があり、歯の中で1、2を争うほど予後の悪い歯です。
今回たまたま上手く行ってくれましたが、上手く行った最も大きい因子としては「私が最初に治療させてもらえた」です。
私でなけでば治せない歯などはこの世に1本もありませんが、他の先生が治療を行った歯だと問題が更に複雑化しており医原性の問題もたいてい合併しているので更に治療難度が上がり、予後が悪く・・・
今回のケース、自分なりにかなり上手く治せた1ケースですね!
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神経治療(根管治療)は短期間で
- 2024年10月18日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは40代女性
痛みが取れない大きな根尖病変を主訴で来院
患者さんは定期的に奥歯に痛みが出る感じで、右下7にも大きな痛みが出てしまい抜髄させてもらいました。
ただ、近心根は石灰化してしまい顕微鏡下で怪しい所を探り、0.06mmのファイルを用いても根管は分かりませんでした。
こういうケース、まずCTで根管の細さを確認してCTでも識別できないような細い神経管は
長々何回も何回も根管治療せずに、次亜塩素酸ナトリウムで消毒した後にすぐに根管充填してしまい経過を見ます。
*今回のケースも1回法
何回も何回も根管治療している最中に細菌感染させてしまうと、予後が悪く痛みも続くのでその点の治療出来る神経管かそうでないかの見切りは早いです。
患者さんとしては、「全部神経取らなくても大丈夫!?」とお思いでしょうが、
実は神経の治療は神経を100%全て取れば予後が良い・成功というものではなく、細菌感染させなければほぼ勝ち!
今回の患者さんのケース
2年経過しましたが、右下7は経過は良好です。
右下6の経過も順調です。
*ただ、患者さんは前々から不定期に痛みを感じてしまいますが、レントゲン上では悪い所見はありません。
歯の中の神経を取るのは言わば、小外科手術です。
手術を何回も繰り返すより、悪くないと判断できた時点ですぐに細菌が入らないように蓋をしてしまった方がいいと私は思います。
根管治療はある程度技術も必要ですが、戦略もまた重要!
同業者がレントゲン上で「上手!」と判断できるケースを作るよりは、長くトラブルが出ないように・問題無いように治療を仕上げるスタンスに変わってきています!( ・∀・)ノ
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銀歯の中の虫歯の有無は殆ど分かりません。
- 2024年10月12日 09:00
- 歯内療法日記
現在根管治療中の患者さんから電話があり、治療している歯と反対側の銀歯が外れてしまったとのこと
話を聞くと、奥から2本目の銀歯(全顎検査時のレントゲン)
*全顎検査をしてもらえると、緊急時に医院にある資料で歯の状態を確認できますので急な対応がしやすいです。
神経は生きており、大きな銀歯が入っていますが、銀歯が不適合で歯肉炎を起こしてしまう状態だったので、治療計画で優先順位的に治療後半の方に治療に着手しようと思っていた歯でした。
実際、来院して頂くと
予想していたより健康な歯がなく、歯茎下まで大きく虫歯が進行しています。
インプラント押しの先生であれば第一大臼歯、第2大臼歯2本抜いてインプラントにするか!?
という案もありそうな状況
患者さんは
「ここまで虫歯が大きくても気づけないのか!?」
という疑問もあると思いますが、実際金属の中はレントゲン線が入れず中の状態を認識できません。
当初の治療計画では神経を保存してセラミッククラウンを入れる予定だったのですが、
ここまで虫歯が大きく健康な歯質がないと治療計画を替えざるをえません。
患者さんには一応歯を残す方法で治療をスタートするが、神経を残せるかは削って判断すると説明
*電気歯髄診断では神経は生きていました。
電気メスで歯肉をトリミングして、虫歯除去+歯髄保存(レジンベース)+仮歯まで治療時間1時間45分
とりあえず仮歯で様子をみて行きます。
口腔内
レントゲン
今の私の基準は「虫歯が大きい」≠「神経を取る」です。
虫歯が大きくても経年的に石灰化して神経を体が守っているものに関してはそれを利用して神経の保存を行います。
歯科医院に患者さんの資料があり、対応出来た1ケースでした(^。^)
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抜歯する前に出来ること
- 2024年10月11日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは50代女性
咬むと痛い症状が続いており、お盆明けに腫れてきてしまい抗生剤を飲んだ。
かかりつけの先生には前に「抜歯」と言われている。
レントゲン
近心根に根尖病変が見られるのですが、歯頚部あたりの黄色の丸部分に凄く違和感を感じる所見
過去に2回根管治療をしているとのことなんですが、根管充填材がレントゲン上で全く入っていない・・・
患者さんには1本の歯に2か所問題があること、赤い丸は細菌感染により起こる極々一般的な病気
問題は黄色の丸部分、可能性として①虫歯、②過去の治療で削り過ぎたパフォレーション、③外部吸収
治療してみないと分からないが経験的に②、③の可能性が高い
クラウン、メタルコアを除去すると歯の中に広がる不良肉芽。。。
*赤色の部分が歯肉 本来この部分は健康な歯がある場所です。
このケース②のパフォレーションのような気がしましたが、ただここまで削る!?という所まで削ってあったので、そういった面からは③の外部吸収も考えられます。
歯質も多少凸凹しておりザラザラだったので外部吸収かも!?
今回の穴は骨の辺りまで進行しており、骨からの出血をコントロールしながら隔壁を行い各根穿通、拡大洗浄まで
術中のレントゲンでは綺麗に隔壁は作れています。
裸眼で行う根管治療は見えずに手の感覚で治療を行うので削り過ぎもたまにあるのですが、ただ穴を開ければ多量の出血があるので先生も患者さんには一言いうと思います。
1回目の治療から3週後
腫れや痛みも無いとのとで根管充填+レジンコア+仮歯まで
術後のレントゲンで確認しましたが、綺麗に治療出来ています。
この後、半年仮歯で様子をみてもらい、半年後にレントゲンで確認を行います。
こういった難しいケースをやっていると、難しいケースを集めているかのようになりますが、
正直、1回目の治療からさせて頂ければわざわざこんな難しいことしなくてもいいのにな・・・
とは思います( - ω - ;)ゞ
根管治療は回数を重ねる度に、治療の難易度も上がり成功率も下がり残る健康な歯質も無くなって行きます。
自分の歯を長く残したい患者さんは、1回目から歯内療法専門医に治療してもらうのが個人的にはいいと思います。
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前歯の内部吸収&外部吸収
- 2024年10月 9日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは40代女性
ここ2ヵ月ぐらいフィステルが出来たり引いたりしており
近医の先生は抜いた方がいいと判断
レントゲンを撮らせてもらうと
過去に神経の治療がしてあり、ガッタパーチャーが見えるのですが、
その周りの歯が大きく吸収して無くなっており、口蓋側に膿の出口が見られます。
患者さんに私が過去に行った事例など話&説明を行いました。
後日患者さんから連絡があり、治療を行わさせて頂きました。
結果的に1回法で治療を行いました(治療時間1時間半)
歯科医院にある使えそうな道具を総動員で治療
(マイクロエキスカ、マイクロデブライダー、電メス、XPエンドフィニッシャー、エディー)
大まかなの肉芽は機械的に取り、小さな物は次亜塩素酸を還流させ溶かす、
1回で根管内を止血出来た為根管充填はMTAプラスで行いました。
綺麗に治療出来たと思います、この後経過観察を行っていきたいと思います。
何とか残って欲しい1ケースです。
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MTA直接覆髄後の樋状根の根管治療
- 2024年10月 5日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは30代女性
4年前ぐらいにMTAで覆髄処置を行ったが、3ヵ月前から咬合痛が現れその後フィステル(膿)が出てきた。
近医の先生からの紹介
レントゲン
大きな根尖病変があり、見るからに樋状根
歯髄の湾曲も強く根管は見えるが、攻め方を少し間違えるとレッジ(段差)を作りそうな難易度の高目の歯
こういったケースはフルレングステクニックではなくクラウンダウンが基本になります。
5年前のブログですが、神経を取るためにこんなことしています:2019年「根管形成」 トライオートZX2+ニッケルチタンファイル - EE DENTAL_Blog
このまま根管を攻めると赤い軸(急角度)
ただ黄色の部分を処理すると
急角度な軸を緩やかな黄色の軸にできます。
我々歯科医師が使う道具は真っ直ぐな金属の細いヤスリをつかいますので、
ストレートタイプなら問題を起こしにくいのですが、湾曲が強いと根途中までしか攻め切れません。
まず根の2/3ぐらいまで辺りをつけ、上を必要なだけ削ります。
1回目の治療終了時のレントゲン
綺麗に根の先まで根管形成+根管洗浄を行いました。
個人的にはこの部分の削除は根管治療の為の便宜形態だと思っています。
根尖病変が大きく樋状根で根管形態も複雑だったので、根管治療2回目はフィステルチェックと根管洗浄
幸い1回目の治療である程度綺麗になったようでフィステル(膿の出口)は無くなりました。
根管治療3回目
根管充填+レジンコアまで
この歯は歯質もしっかり残っているのでクラウンではなく、最終補綴はメタルアンレーを提案し
仮歯は入れずコアのまま経過を見ることにしました。
こう言ったエンド三角の部分を処理することで、湾曲の強い根管の湾曲度をなだらかにして根の先まで掃除します。
今回のケースに関しては3か月後にレントゲンで診査を行います。
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分割抜歯は顕微鏡下でやります!
- 2024年10月 3日 09:00
- 歯内療法日記 | EEデンタル こだわり
基本的に私は抜歯は、口腔外科やインプラントする場合はインプラントをする先生に抜歯をお願いしており、自分が抜くことは殆どありません。
(極稀に、「他所に行くの怖いから、頼む!先生やってくれ!」という患者さんだけ抜きますが・・・)
ただ、どうしても自分がやった方がいいと思っているのが分割抜歯
今回のケースは、50代の女性患者さん
レントゲンを撮らせてもらいました。
第2大臼歯に根尖病変が見られますが、何となく感じる違和感
事前説明で折れている可能性もあることをお話させてもらったのですが・・・
治療をスタートすると
病変がある近心頬側根にクラックが見られ、患者さんに説明
この第2大臼歯はCT上で3根ある根が開いていたので、折れた根っこだけ抜いて分割抜歯(トライセクション)もあると説明
ただし、3つの根で1つの頭を支えていたものを2つの根で1つの頭を支えることになるので、一生は持たないので使えるまで使う感じになると説明
長く持っているケース:分割抜歯(トライセクション)後16年 - EE DENTAL_Blog
この分割抜歯ですが、個人的な感覚では分割する時の切断面をいかに段差なく滑沢に仕上げるか!?
普通はこの分割抜歯は埋まっている3つの根を推測できるので、残す歯を削ってしまったり、切断面がガタガタになってしまう傾向があり、そこに細菌感染が起こると膿んで来たりしてしまい長く持ちません。
そこで登場するのが顕微鏡とCTでの推測 切断に有効なのがエアースケーラーによる音波による切断
エアースケーラー - カボ プランメカ ジャパン株式会社 / KaVo Planmeca Japan K.K.
ソニックフレックス チップ No.68 エンド
私はダイヤモンドばーでざっくり小さめに分割し、このエンドチップで仕上げて行きます。
ただ、1本2万円近くするチップですが、結構ボロボロになります・・・
(なので、新品は使わずエンドで使った使い古しを使用します)
1回法で根管治療+レジンコア+分割抜歯まで(1時間45分)
この日は止血をして仮歯の型撮りをして終了!
抜いた所が落ち着く1か月後に来てもらい仮歯を入れます。
仮歯を元の形で、抜いた部分の歯肉の上に仮歯をのせる形にして食べかすが入りにくいようにします。
*オベイト形状までは歯肉は押しませんが、歯肉にはくっ付けます。
最終補綴は多少歯肉を押すように作りますが、多少なので2~3日で違和感は落ち着きます。
今回のケース仮歯で5ヵ月程度使ってもらい、痛みや腫れが出なければ最終補綴物を作ります。
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気が付きにくいクラウン下の虫歯
- 2024年10月 2日 09:00
- 歯内療法日記
以前書いたブログ
被せ物の下の大きな虫歯 と歯の保存 - EE DENTAL_Blog
術前のレントゲン
セラミッククラウンの下にかなり大きな虫歯
ただ、歯は折れたり揺れたりはしていません。
1回で虫歯治療+隔壁+根管治療+ファイバーコア+仮歯
治療動画
他の歯が痛いということで来院されたので、
ついでに1年前に治療した歯のレントゲンも撮らせてもらいました。
問題無く咬めているそうで、レントゲン上でも問題ありません。
一般的に言えば、抜歯になる歯だと思います。
もし残そうとすれば、矯正治療で引っ張り上げて、外科処置(歯肉弁根尖側移動術)を行い、根管治療+土台+本歯 という流れで治療期間もおおよそ半年~9ヵ月 治療費も40万近くかかると思います。
ただ、今の私はそこまでやらなくても歯の保存は出来ると思っているので今回のようなレジンを使った保存を行っています。
「歯肉弁根尖側移動術」をやらなくなって早10年 - EE DENTAL_Blog
全く一般的な方法ではないので、色々賛否あると思いますが、今の私は治療はなるべくシンプルにした方が予後は良い気がしています。
歯科医師に抜歯と言われた歯でも、折れていない、大きく揺れていない歯に関しては残せることがありますから抜く前に一度ご相談ください。
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