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根管治療 イスムスの取り扱いと治療の難しさ
- 2014年12月17日 15:25
- 歯内療法日記
過去に書いたイスムス(長いですけどよろしければ)
http://eedental.jp/ee_diary/2011/11/post-276.html
意外に知られていませんが、このイスムス・フィン
専門で根管治療をしている先生からすると非常に厄介な解剖学的な形態です。
なぜか!?
イスムスのある歯は色々な問題があるからなんです。
根管治療におけるイスムスの問題点
・イスムスのある歯の感染根管処置は成功率が低い ⇒ 外科的歯内療法などが必要になる
・イスムスが存在する部位は歯根破折が多い
・イスムス部分の清掃はファイルだけでは不可能 ⇒化学的洗浄に時間をかけるべき
・側方加圧充填ではイスムスに死腔ができてしまう
・イスムス、フィンに入り込んだGPの除去は難しい
・樋状根にもイスムスが多く見られる
今回の1ケースは非常に根管治療に手こずり色々学んだ1症例です。
患者さんは2年前 根管治療後ファイバーコアまで入れた後に転院をされてきました。
「治療後から違和感がある」、「たまに疲れると痛い」
綺麗な根管治療がしてあり、フィンの部分にも綺麗に根管充填されています。
神業に近い非常に上手な先生の治療がしてありました。
ただ、われわれ2番目に診る歯科医師は、
レントゲンで前回の治療の良し悪しを決めて行かねばなりません。
これが結構たいへんで・・・(σ ゜д゜)σ
レントゲンで分かるのは、何の薬効もない薬という建前の『ゴム』が入っているだけです。
ゴムが綺麗に入っていれば、病変(膿)が出来ない! という考えの時代もありましたが、
30~40年前ぐらい前から、歯内療法の世界では『歯の中への細菌の感染により病変が出来る』
に変わってきています。
ガラパゴスな日本の医療では未だにその考えが支配的という状態。。。(´ω`。)
薬効のないゴムの薬を根の先まで届かせようと、日々色々な試行錯誤が・・・
まさにイングル先生の
歯を保存させる為の医療を行ってるのか、根管充填を必死に行っているのか?
ここで復習 根管治療の失敗はどうして起こるのか!?───(σ ゜д゜)σ
1965年のカケハシ先生の論文では
普通のネズミ(口の中は細菌だらけ)、無菌ネズミ(口の中にも細菌はいない)
この2種類のネズミの歯に神経に到達するように穴を開け、歯がどうなるか観察
無菌ネズミは穴の開いた部分が健康な歯で封鎖(第2・3象牙質)され健康な神経の状態を維持
一方、普通のネズミは穴の開けられた歯には膿が貯まってるいるものが!
残念ながら人間は菌と共存して生活をしていますので、無菌ネズミのようなことは起こりません。
人間の歯でも起こっているのは普通のネズミと同じことなんです。
*人間の口の中の細菌をゼロにすることは200%不可能です(>。<)
(毎日消毒剤でうがいしても菌は繁殖し続けます)
すなわち、
「根管治療の成功・失敗の大きなポイントは細菌が歯の中に入るか、入らないのか」
『ラバーダム』や『隔壁(歯の補強)』、『仮封(仮の蓋)』などが根管治療には成功のカギを握る大きな因子であり、
必死に行う根管充填剤が歯の先端まで綺麗に入ったかなどは、2の次、3の次なのです。
「No ラバーダム! No Endo!」 運動!
あまり言うと、怒られそうなのでこの辺で話を戻します~~~(;・з・)
先のレントゲン、綺麗な根管充填、ファイバーコアが入っていたのですが、
唾液(細菌)が歯の中に入る環境下でどれだけ綺麗にゴムを詰めてもこうなってしまいますよという一症例、
仮歯で様子を見てもらうこと2年
案の定、根の先には病変が・・・
「根管充填さえしっかり出来ていれば大丈夫論」の先生はどう説明するのでしょうか?───(σ ゜д゜)σ ~~~(;・з・)
根管充填で採点すれば「120点」出来栄えです!
私だったら数年に一回出来ればいいか・・・というぐらいの素晴らしい根管充填です(・∀・;)
ただ、感染による所見・痛みが出たからには、やり直しの根の治療が必要になります。
(こうなるのが怖かったんで、私は本歯入れずに仮歯をチョイスしたんですが(´□`)ゞ)
治療1回目 2時間かけて通常の根管治療を行い、
歯の中の人工物(ゴム)なども取れて、顕微鏡でも何もないクリーンな状態に清掃できただろうとレントゲンを撮ってみると・・・
(白い線上のものがフィン・神経の溝に入り込んだゴム)
全然取れていない・・・o( >д<)
どうやら、日本人の20~30%に見られる樋状根のイスムス・フィン(0.1mm以下の隙間)の中にゴムが入り込んでしまったようです。
ニッケルチタンでフィニッシングファイル(最終拡大)も通法どおり通したのですが。。
結局、複雑な形をした神経管は真円の道具(ファイル)では根管内は綺麗にならないということです。
治療2回目 0.1mmの超音波チップの先を色々な方向に曲げ顕微鏡を見ながら試行錯誤すること1時間
「きぃ~~~!」( `Д´ )
全然取れていません。
顕微鏡で10倍の拡大視野で見ていても隠れてしまったものを探すのは非常に手間がかかります。
*術前にCTがあった方が良かったかも。。。━((;-ω)
少し、方針を変えて超音波の出力を少し上げフィン・イスムス部を削って行くか・・・
治療3回目(ラバーダム三回目)
微妙なものが残りましたが、
「もう無理、これ以上削ると歯の強度が心配になる」
後は「EDTAとNCの根管洗浄」あるのみ!"(>0<)"
と、勇気ある前向きな撤退!(´・ω・)ノ
根管充填後 治療回数2回
綺麗な根管充填ができました。
(根尖の封鎖に不安があったので、MTAを根尖には使用しました)
感染根管治療(膿のある歯)の成功のカギは、
歯の中で繁殖した細菌をどこまで減らして、少なくなった細菌を冬眠・仮死状態を作れたかがポイントになると今の所言われています。
ですから、 最後に緊密な根管充填が必要とされています。 (そのうちこの考え方も変わるかも!?)
またややこしい話をすると、
根管治療の長期成功期間を維持にするには封鎖性の良い土台・コア(レジンなど)が必要になると言われています。
*なのでEEデンタルでは治療後の感染予防の為に土台・コアまで作らせてもらっていますヽ( ̄▽ ̄)ノ
さて、今回のケースも定期的医チェックしていく必要はあります。
ちょうど、先週同じような症例の患者さんが2年予後のレントゲン撮影で
セミナーで発表させてもらいました。、
いい感じで治ってくれました、幸い痛み・違和感も全くないそうです!(`・∀・)ノ
患者さんへアドバイス
もし自分の歯の治療の成功率を少しでも上げたければ、ラバーダムや隔壁、仮封剤にこだわっている歯科医院がいいと思いますよ。
実際、根管治療においての設備
『マイクロスコープ(顕微鏡)』は拡大するだけの虫眼鏡
『CT(3次元のレントゲン)』は3次元の地図
これらは、細菌を入れない・減らす道具ではありませんからね(^ω^ )/'''
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