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歯内療法専門医が行う「基本に忠実な根管治療」
- 2020年5月 9日 09:05
- 歯内療法日記
患者さんは40代女性
歯に痛みがあり、近医を受診
根の先の根尖病変を指摘され、さし歯を取らずに根管治療を始めるも
痛みが取れず激痛が出ることも・・・
*過去にはフレアーアップも起こしたそうです。
そんな処、痛みのあるまま次回根管充填を行い根管治療を終えると言われ、
心配になりEEデンタルへ
現在の症状を聞くと、
「常に違和感あり、歯が動いている感じがする」とのこと
レントゲンを撮ると、
中程度の根尖病変があり、長期間あった為か歯根吸収も見られる・・・
治療中ではあるが、過去のガッタパチャー(GP)ポイントのカスも見られる。
*後の顕微鏡治療で水酸化Caでないことを確認
私が大学の頃の教科書的には
高価なクラウン(セラミッククラウン)が入っているような場合は「外さず根管治療」 or 「外科的に歯根端切除」
と書かれていましたが、
個人的にはですが、過去に神経を取りクラウンが入っているような場合は
クラウンからきちんと外して根管治療をすることを勧めます。
理由はクラウンを外さず虫歯を残したまま治療しても問題が起こることが多いです。←経験者
また虫歯が進行すると将来的にクラウンが外れ二度手間になるからです。
まず歯を残したければ、大原則である「根管治療の失敗は細菌感染によるもの」ですから、
菌の巣窟である上の虫歯の除去なしには治療は成立しません。
さて、今回の患者さん
遠方であったこともあり、仮歯を準備して長めに治療時間を取り
【1回法で根管治療】
クラウンを外すと案の定、虫歯で歯はドロドロに溶けており、
中には多量のGPのカス
根の先ばかり削っていたのか、根尖は#70まで拡大されていました。
*個人的な意見ですが、根の先を大きく削るよりまずは歯の上の問題から処理した方が治癒率は高くなります。
虫歯をきちんと取ってから、根管内を治療をする
基本ルール・原則に乗っ取って初めて治癒する可能性が出てくるわけです。
ラバーダムや顕微鏡はそれを助けるものであり、道具・設備がいいから治る訳ではありません。
ただ、今回の歯・・・
根尖が非常に歪な吸収所見があったので、患者さんには「治らなければ【外科的歯内療法】を行う」
と術前時に説明していましたが、根管治療だけで治る可能性もある為、仮歯で様子をみていくことに
その間、反対側の同名歯も根管治療
こちらも1回法で根管治療
こちらは以前の治療で根尖(根の先)はそれほど触られていなかったので
通法通りガッタパチャーで根管充填
*側切歯は根管治療の失敗の多い歯ですから気をつけてください。
仮歯で生活してもらい経過を見ていくと、
・3か月後 :痛みは少なくなったがたまに違和感が右上2にある
痛む回数は減っている。
・1年後 :極たまに気になる程度
レントゲンで診査
右上2(痛みが大きかった歯)
1年後 :根の先の黒い部分が小さくなってきており骨が出来てきています。
左上2
こちらも問題なし!
両方とも治癒傾向が見られたためセラミッククラウンSet
経過のレントゲン
たまたまですが両歯とも綺麗に治療が終わりました!
前歯ですから何とか残したいですよね。
そんな時は基本に沿った根管治療を行う「歯内療法専門医」を頼った方がいいですよ(・∀・)v
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