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歯根が折れた歯の保存と骨の回復
- 2023年6月10日 09:02
- 歯内療法日記
患者さんは60代男性
以前から通院して頂いている患者さんで、
2020年に左下4の歯根破折を起こし来院
歯根が折れて(ヒビが入って)時間が経っているようで歯茎の下の骨も大きく減っています。
赤い線のようにクレーター状に骨が大きく目減りしています
大臼歯がないことより「先生何とかならんの!?」と言われ、
何とか残す方向でトライしてみますか!?
ということで、折れた歯の破片を抜き昨日上げた動画のような治療を行いました。
フロアブルレジンを使い歯根のような筒状の隔壁を作り、その後ファイバーコア
術前 ⇒ 術後 レントゲン
歯の保存を行い、仮歯まで入れさせてもらいました。
腫れたり痛んだりしたら連絡して下さい、何も症状なく生活出来ていたら半年後にレントゲン撮りに来てくださいね!と言って終了
仕事の忙しい方で、全く音沙汰なく・・・
(一度は電話連絡するのですが、あまり連絡を何度も入れるのも嫌がられるので1回しかしていません)
先日、休診日に医院でセミナースライドを作っていると、電話が鳴り
「あっ、先生!? 左下の白いキャップが割れた!」
『へ~、結構長く持ちましたね!』
「え!?」」
『Hさん、仮歯だからレントゲン撮りに来てよっていいましたよね(笑)』
「あっ、そうなんです!? じゃあ先生予約入れてよ!」
と言うことで来てもらいレントゲン撮ると
お~、少し骨出来てきていますね!
患者さんが言うには「芋けんぴ食べていたら白いものが割れた」
芋けんぴ食べれるぐらい弱った歯を使えていたんだなと安心しました。
まだ歯の方は使えそうです。
で、被せ物どうします!?今回
私の考えはかぶせ物はまた仮歯みたいな弱い材料を入れた方がいいと思いますよ。
(今回患者さん、歯ぎしりが凄く強いので)
結局、この歯に関しては咬む力をどうリリースするかで寿命が決まると思います。
今の状態は・弱った根っこ(基礎)・ファイバーコア(プラスチックの骨組み)・その上に作る被せ物の3ピース
ここに健康な歯でも弱った歯だろうが、同じ咬合力はかかります。
力(咬合圧)が加わればこの3ピースで弱い部分に「歪」が起こる、で被せ物を強くすれば被せ物は安泰だが、根っこかファイバーコアが悲鳴をあげダメになることは容易に想像が付きます。
次に根っこ or ファイバーコアに問題が出たら・・・、その時は【抜歯】!
例えれば、『プレハブの基礎の上に名古屋城のような天守閣作りますか!?」と同じ
歯科医師的に言えば被せ物がダメになるのは避けたいが、患者さんの心情的には1日でも長く自分の歯を使いたいでしょ!?
ですから、上の被せ物が悲鳴を上げるのを織り込み済みでOKを出してくれるならまた仮歯を入れます。
ただ、割れる度に費用はもらいますけどね(笑)
と説明
患者さん
「なるほどね、じゃあそれでお願い!」ということで今回も仮歯を入れる運びになりました。
前回の仮歯ちょうど3年持ちました。
EEデンタルのセラミック16万なので、仮歯であれば費用的には5回以上入れれる計算になります。
ただ、歯科医師的に言えば、1回で済むものが5回以上手間がかかるので、経営的にいえば1回でセラミックいれさせてもらった方が何倍も利益は大きいのですが、そこは信用商売、患者利益を第一に考えます。
弱った歯を残すのは、ある種の戦略なので教科書通りの治療が「吉」とはならないのは経験則からよく分かります(・⊆・)
歯を1本残すのでも歯科治療は難しいのですよ・・・
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