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EEデンタル こだわり: 2023年1月アーカイブ

歯を長く残したいなら悪くなる前にきちんとした処置を!

患者さんは30代女性

銀歯を白くしたいと歯科医院に行き治療を行うと歯に穴が開いており

ほぼ抜歯宣告を受けEEデンタルへ

  

レントゲンを撮らせてもらうと

2023 EEdental YAY (1).jpg

仮詰めしてあるのですが、近心頬側根周りの骨が大きく吸収しています。

 

この場合、疑わしいのは「歯根破折」or「パフォレーション(歯に穴が開けられている)」

 

患者さんには難しい状態であることを説明し、残せるかトライしてみるか!? 

 

まだ若い女性でしたので残す方向でトライさせてもらいました。

 

仮蓋を外すと。。。

2023 EEdental YAY (2).jpg

5か所にパフォレーション

過去に3か所パフォレーションがあったケースは見たことあったのですが、

今回は開業以来初の5か所。。。

 

正直、なんでこうなるかな・・・!?

 

虫歯放置してもここまで悪くなることはありません。

こういうケースを見ると「歯の寿命を縮めるのは歯科医師の治療だな」と感じます。

 

 

患者さんには謝り、自分の見立て以上に歯に穴が開けられていることを説明

幸い歯は揺れておらず比較的しっかりしているので、3本ある根の悪い1本だけを分割抜歯して2本の根で使える所まで使うか!?と提案

 

2023 EEdental YAY (3).jpg

①、②、③のパフォレーションぶを繋いで近心頬側根を抜歯

④、⑤のパフォレーションはレジンでリペアする

という方針を出しました。

 

患者さんにOKをもらい、トライセクション(3本の根のうちの1本を抜歯) 

抜歯後1カ月

2023 EEdental YAY (4).jpg

歯の動揺もありませんし、膿などの所見もないことより仮歯を入れ6ヵ月程度様子をみることにしました。

  

裸眼の治療だと奥歯は殆ど見えておらず、手の感覚での治療となります。

ですから、削り過ぎによるパフォレーション、虫歯の取り残しなどは起こってしまいます。

保険診療だとコスト的に仕方がない部分はありますが、仕方が無いで済ませると患者さんの歯はどんどん無くなります。 

 

私のケースは悪くなってしまった歯のレスキューが多いですが、歯を長持ちさせるには悪くなる前に1回できちんと処置を行った方がいいと思います!(^。^)

 

健康な歯質が首の皮1枚でも顕微鏡で丁寧に処置を行えば

大きなメタルコアでも比較的安全に除去は可能です。

 

患者さんは知らないと思いますが、奥歯の根管治療(特に金属の大きな土台の入っているケース)はこのようなリスクがある治療ですので注意してください。

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原因不明の痛み、その後の歯の覆髄処置

以前治療させてもらった40代の患者さん

症状のない大きな根尖病変 根管治療治癒症例 - EE DENTAL_Blog

  

術前時

2023 EEdental KAT (1).jpg

 上顎第一大臼歯にかなり大きな病変があります。

 

この歯の治療は過去のブログを参考に

6か月でだいぶ病変が小さくなってきているのが確認できました。

 

しかし、9ヵ月経過したある日

首から肩にかけて痛みがあり頭痛が1週間程度続いた

その間、腫れはなく歯も痛くはなかったが、歯の奥の方に痛みがあった

とのことで来院されました。

 

レントゲン

2023 EEdental KAT (2).jpg

レントゲンも良い感じで治ってくれており、第一大臼歯が問題を起こしたとは考えにくい・・・

 

レントゲンでは何となく第2大臼歯のクラウンの中の虫歯が疑わしい。

患者さんには歯でない可能性もあるが、奥歯のクラウンの下は虫歯になっている可能性が高いことを説明し

クラウンを一度外してみて治療してみるか!?

  

外して大きな虫歯であれば神経を取る治療になると説明

因みにクラウンの中はレントゲン線が弾かれてしまい、虫歯の有無はクラウンを外さないと分かりません。 

 

実際クラウンを外すと、案の定大きな虫歯。。。

髄角部分の歯髄も露出してしまいましたが、歯髄からは出血がありギリ保存できるか!?

*以前のクラウン治療の際に虫歯を取り残していた可能性:大

   

患者さんは神経は残せれば残したいという希望をきいていたので、

セラカルにて直接覆髄を行いレジンベース+仮歯まで

2023 EEdental KAT (3).jpg

白い部分がレジンベース 

 

そこから経過観察をみてもらい1か月後の来院時にインタビュー

術後すぐは多少痛みがあったが、今は噛むと少し痛い程度で収まってきている。

レントゲンで異常所見がないか確認し、仮歯のまま3カ月様子をみることに

  

3カ月経過し、痛みもなくなったのでゴールドクラウンSet

2023 EEdental KAT (4).jpg

一度痛みの出た歯は後で神経か死んでくることがあるので、クラウンSet後に

1年後にもう一度レントゲンを撮って神経の生死を調べることにしました。 

1年後

2023 EEdental KAT (5).jpg

患者さんは症状もなく、よく噛めるとのこと

第2大臼歯の神経に神経が死んだような所見もないので、これで治療終了とさせて頂きました。

 

私は患者さんの痛みの表現の仕方で、原因歯の特定などを行うのですが、

今回の痛み方はちょっとイレギュラーで原因歯の特定などは推測でしたが、

診断もあっていたようで痛みは引いてくれ一安心!

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年齢による治療介入のタイミング

奥歯の溝の茶色(黒)線

2023 EEdental AR.jpg

多くの人にある線だと思います。

  

この茶色の虫歯治した方がいいのか!?

極端にいえば60歳以上の患者さんには

レントゲンで問題無さそうであれば、

「殆ど虫歯進行しないからそのままでいいよ」

と話します。 

 

ただ、10代、20代前半の患者さんだと

治療介入することが多いです。 

 

私が虫歯の診断で頼るのはレントゲンと顕微鏡での視診

この方法が個人的にはベターだと思っています。

 

上の写真の患者さんも10代の方で、レントゲンを撮ると

2023 EEdental AR (1).jpg

ん~~~、なんか疑わしい・・・

 

顕微鏡下で観察すると、茶色の線の周りの象牙質の色が周りの象牙質に比べ暗い

お母さんに治療介入しておいた方がいいと説明

 

実際治療を行うと

2023 EEdental AR (2).jpg

かなり大き目の虫歯が出てきました。

*右上7はピンクスポット(神経が透けて見える)が出てきて覆髄しました。

 

以前の10代の方の虫歯動画ですが、

このケースもビックリするぐらい大きな虫歯が出てきました。

  

 

先日の以前治療させてもらった40代の患者さんは、近くに顕微鏡歯科が出来たので行ってみたら

『6本虫歯があり治療した方がいい』と言われたので、ホントに!?ちょっと井野先生にも見てもらおう 

とのことで来院され、

 

全顎検査すると、

「自分なら治療介入は3本かな!?」

「他の3本はこのまま置いておいて症状が方が出てきた際にでもいいかな!?いつかは治療になるかもしれないけどとりあえずよく磨いてもらえばそのままでいいと思うし、保険の詰め物の多少の段差は自分的に言えば許容量だから頑張って磨いて!」

  

私は「歯の寿命を最も縮めているのは、虫歯でもなく歯周病でもなく歯科医師の治療だと思っています

これは開業して15年患者さんを診て、話を聞いての今の結論です。(ほぼ間違いない結論だと思っています)

 

まずは治療で治る問題なのか!?今治さないといけない歯なのか!?

治療した方がいい虫歯、治療しなくて経過を見た方がいい虫歯 もあると私は考えます。

 

この辺りの匙加減は先生毎に違うのは仕方がない面もありますが、中途半端な治療だったらそのままにしておいた方が歯にとってはいい!と私は思いますね!

かなり特殊な考えですので(笑)

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2023年版 根管治療後のレジンコア(土台)

最近作っている土台の動画を作りました。

  

根管治療後の長期予後を安定させる為には土台とクラウンの精度は重要になります。

*雨漏りする家は早くダメになるのと一緒

 

レジンコアは根管充填後すぐに作り始めます。根管充填材の入りをレントゲンで確認するのはレジンコアを作ってからとなります。 

無題a.jpg

  

一応、私のもう1つの専門であるレジンのノウハウをレジンコアの中にも落とし込んでおります。

 

土台用のレジンを一塊に詰めてしまうと、どうしても収縮の問題で象牙質と歯質の隙間に隙間が出来やすいです。

その隙間から唾液感染(雨漏り)する恐れがあるので、そのリスクを軽減させる為に収縮量の小さなレジンを何回にも分け積層し、その都度レジンに浮き上がりがないか顕微鏡でチェックしながら充填します。

 

土台の制作にあたり、コアをどこから製作するか考え根管治療時にガッタパチャーを止める位置もコントロールします。

因みに、ガッタパチャーを根管口付近まで入れ回転切削器具でガッタパチャーを除去するとガッタパチャーが少し浮いてしまう(歯質との隙間が出来る)リスクもありますので、その辺も考慮しています。

    

接着に戻って、

レジンの伝統的な考え方の中に「Cファクター」というものがあります。

Cファクターが大きいと浮き上がりするリスクが大きいので、このCファクターを抑えるような充填方式を取っています。

 

またレジンは青い光で硬化しますが、光から距離が離れるほど硬化不良が起こりやすいので、

一塊で詰める方法だと下の方まで光は届きません、少量を確実に固めた方が浮き上がりを抑えられます。 

 

後、詰めるレジンの色によっても硬化深度が変わります。

歯の色に似せようと色素が入ったものだと、その色で硬化深度(深くまで光が届かない)が変わりますので、

なるべく光を通す透明系の色【下にマジェステーES XW(クラレ) 上にSDR(デンツプライ)】を選択します。

また歯質と違う色を使用することで再治療の際も歯との見分けがつきやすくパフォレーション対策にもなります。

(ケースbyケースで前歯など歯の色を考えた場合はオペーク系の色を選択します) 

  

因みに、接着処理はレジンがくっ付きにくいとされる象牙質に着目した「イーライズ(ペントロン)」を使用

また根管治療では細菌を殺す為に使用するNC(次亜塩素酸ナトリウム)が歯質とレジンの接着阻害を起こすので、根管治療後は表面を1層削って17%EDTAで下処理を行っております。

  

以上、がここ7~8年ぐらいの術式になります。

手間がかかり過ぎて全く一般的な方法ではありませんが、今の所この術式で困ったことがないのでこの方法でいいかなと思います。

むしろ土台用のレジンを使って一塊で詰めていた時代の方が・・・

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メタルコアによる歯根破折!?

患者さんは60代女性

右側のどこかの歯が噛むと痛い、歯茎の中の方に絶えず違和感があるとのこと

 

レントゲンを撮ると

2023 EEdental YAF (1).jpg

ブリッジの歯2本とも歯根破折を起こしてしまっています。。。

 

たぶんかなり昔に治療をしたと思いますが、

30年、40年前は神経を取った歯に金属で接ぎ木すると歯の強度は増すと考えられていました。

歯みたいな弱い組織の真ん中に固い杭みたいなもの入れて、毎日食事の度にカンカン叩いていれば・・・ 

例えれば「薪割り」やっているようなものです。

 

土台の考え方も20年前ぐらいに大きな変化はでてきましたが、未だにメタルコアはよく見る治療法ではあります。

*残念ながら保険診療は歯を長持ちさせるというコンセプトの治療ではありません。 

 

 

患者さんには歯の保存は出来ない状態であること、抜いてインプラントや部分入れ歯を選択した方がいいと説明。

患者さん的には、まだ多少使えるので抜きたくないとのこと

 

基本的にに私は患者さんの歯なので抜く・抜かないの選択は患者さん判断でいいと思っています。

ただ、将来的に不利になる事柄だけは説明します。

今回の場合、更に骨が溶ける可能性が高く次のインプラント、入れ歯の制作の難易度があがることを説明

 

他にも問題ある歯があったので、そちらの保存できる歯の治療を行い一旦治療終了

3年後に連絡があり、「とうとうブリッジが揺れてきて噛めなくなってきた」

とのことでレントゲンを撮らせてもらうと、

2023 EEdental YAF (2).jpg

2018年に比べ歯が開いており、骨も減っておりそれを患者さんに説明

*右上4は神経が壊死していたので2019年に根管治療をしています。 

 

患者さんも納得されたようで、口腔外科で抜歯の方をしてもらうことになりました。

その後、インプラントは怖いとのことで部分入れ歯を選択されたようです。

 

 

が、2022年他院で作った入れ歯の違和感が大きいので何とかしてほしい

*パラタルバーの位置が悪いことによるものでした。

とのことで来院され、

 

入れ歯を作らせてもらいましたが抜いた部分の歯茎はだいぶ回復してくれていました。

経験上、歯根破折で大きく減った骨というのは骨頂さえ骨があれば大きく回復してくれることも多いですね。

*入れ歯の写真撮り忘れましたが、ミラクルで無調整でかなり綺麗に入れ歯入りました。

 

 

私は基本的に、患者さんの口全体の管理などはしていません。

問題が出た歯1本がどうしたら長持ちできるかを考え治療を行っています。 

歯の治療は先生の考え方で大きくことなります、先日も咬むと何となく痛みがあった歯で近医でセラミックアンレーで治すしかないと言われ、だったらEEデンタルで治そうと来院されましたが、レントゲンでも虫歯はないし、歯ぎしりの痕だけが気になったので経験上痛みの原因は咬合だなと思い、少しだけ噛み合わせの調整を行い「これで症状取れれば歯は大きく削らなくていいよ」と説明し終了しました。

*経験上、非機能咬頭にガイドがある歯は咬合痛が出やすいですね。

 

今週の患者さんは「歯科に行くたびに削る治療を提案されるし、すぐに削りたがる」と言われましたが、

日本の制度上「削れば削るほどお金になる」部分もあり、どうしても歯科医師は削って解決しようとする傾向はあります。

C1の虫歯治した方がいい!とか自分的には様子見でいいんじゃない!?と思ってしまいます。

 

先日美容整形のネットニュースを見ていて、

美容整形は他人に見られる所だから余計に失敗しないように上手な先生を選び高額な治療費(何百万)を支払っています。

歯科も同じでほぼ先生選びで多くは決まっていると思うんですよね。

*偉そうなこと言っている、私は極々一般的なレベルの歯科医師です・・・

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上顎奥歯のトライセクション(分割抜歯)

先週も書かせてもらった「トライセクション」ケース

悪くなった根の1本を切って抜く部分抜歯 

  

以前、トライセクション治療させてもらった患者さん

破折歯の分割抜歯(トライセクション) - EE DENTAL_Blog

 

歯が折れてしまい骨が溶けてきています。

2023 EEdental TAY (1).jpg

 

折れている根だけ分割抜歯を行いました。

2023 EEdental TAY (2).jpg

顕微鏡下でなるべく分割面が凸凹しないように気を付けます。

術後クラウンを腫れているケースを見ると分割面がガタガタのことがあります。

そのガタガタの部分に汚れ(細菌)が溜り歯周病的な問題を起こすんだろうと推測

 

仮歯で5カ月程度様子をみてもらいクラウンをSet

 

今日が最後の治療だったのでレントゲンでチェックさせてもらいました。

2023 EEdental TAY (3).jpg

抜歯後不快症状もなく順調に経過しています。

 

個人的には残せそうな歯であれば、このようなトライも行います。 

20年、30年持つという治療ではありませんが、患者さん次第で開業して施術させて頂いたケースで10年以上経過しているケースもちょくちょく出てきています。

このトライセクションも自分なりに勘所があり、下顎のヘミセクション(2本の根の1本を抜歯)より生存率は高い気がしています。

 

患者さんも5年ぐらいは使いたいとおっしゃられていましたが、個人的には10年持ってほしいですね!

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