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珍しい大臼歯遠心根のロングイスムス
- 2023年1月 7日 09:08
- 歯内療法日記
患者さんは50代女性 近医の先生からの紹介
紹介状には、再根管治療を行い一度は舌側のフィステルも消失し根充後
経過観察をしていたが、再び同じ場所にフィステルが出来てしまった。
とのこと
レントゲン、CTを撮ると、
遠心根の病変は昔からあったかのようで、歯根の先に吸収と添加が起こり複雑な形態に
またCT上では4根管きちんと治療してあります。
たまにありますね、こういうなかなか治らないケース。。。
通法の根管治療を行いました。
治療1回目、人工物を一度外して徹底的な洗浄を行いました。
治療2回目 私的には前回の治療で膿も止まっただろうと思っていたのですが、
フィステルは治らず排膿あり・・・
CTで膿の原因は遠心根(奥の根)とは分かっているのですが、、、
この状態で根管充填(薬を詰める)してもまず治らないので、次に怪しい場所を掃除することに
前回の治療で、離れた場所にある2本の神経管の間に細いイスムスという溝があるのは分かったのでこの場所の清掃に着手
*このイスムスは細すぎて、CTなどでも識別できません。私は顕微鏡下で洗浄液の動き方を見て推測します。
30分かけてこの細い幅0.1mmに満たない場所の超音波切削、洗浄をおこないました。
術中レントゲン
イスムスを削ったので遠心根の黒い2本線が、太い1本線に変わっています。
根尖2mm手前までイスムスを追いました。
*イスムス:MM根 (Middle Mesial) MD根 (Middle Distal )の探し方 根管治療 - EE DENTAL_Blog
治療3回目
患者さんは治療後1週間程度でフィステルは無くなったとのこと、痛みなどもないとのこと
いつもならこの状態で根管充填を行うのですが、今回のケースは私的にもレアケースなので、
治療3回目は洗浄のみ行いました。
年明けの今週に治療4回目
腫れや痛みは出ていないとのことで、根管充填
遠心根は樋状根のようなクネクネした形状だったのでMTAを使用
近心根はガッタパーチャー使用
イスムスは近心根には多くでてきますが、これだけ根管の離れた遠心根にイスムスが出てくるのは
開業以来初ケースでした。
この後、レジンコア、仮歯を入れ半年後にレントゲン診査を行っていきます。
これで治ってくれれば理想なのですが^^;
先日もありましたが、痛みが取れない膿が止らないという理由で闇雲に根尖をカンガン削って更にドツボに、1年以上根管治療を続けている患者さんも困り果てて転院してきた方がおられましたが、
はっきり言いましょう!
「根の先を闇雲に必要以上に削っても治りません!」
感染源が根尖にあるという昔の教育が染み付いている先生ほど根の先を必要以上に削り、最初より症状が悪化してしまいます。
後、貼薬剤を交換しながら治すという治療も過去のものです。
幸い今回の歯は担当の先生がある程度の段階で専門医を紹介していただけたので、
根尖も大きく破壊されていなかったのでまだ治療がやりやすかったです。
根管治療で同じ歯を半年以上触っている患者さんは、その先生では治る見込みはかなり低いので歯内療法専門医などを紹介して頂いた方がいいと思います!
*歯内療法専門医ではやり直しの根の治療は通常2~3回の治療で終わることが殆どです。抜髄なら1回が理想!
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