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EEデンタル こだわり: 2023年5月アーカイブ

親知らずの移植で歯を作る

極たまに親知らずを使って移植 をしています。

と言っても、私は根管治療と補綴担当で抜歯+移植は湯浅先生にお願いしておりますが・・・

*湯浅先生はスペシャリストの尊敬する先生の一人です。

エビデンスの勉強を - EE DENTAL_Blog

  

患者さんは全顎治療をさせて頂いた40代男性

2023 EEdental KUM (1).jpg

右下6が根管治療の仮蓋が取れ、そのまま放置をしてしまったようで中に大きな虫歯+歯根破折が見られます。

*後々、話を聞くと過去の根管治療で何度も何度も痛い思いをして通っていたが症状がなかなか治らないので通院を止めてしまったとか。EEデンタルは根管治療を1回 or 2回で仕上げるのでびっくりしたとか(笑)

 

患者さんにはこの歯は残念ながら抜歯しかないこと、インプラントは本人が避けたいとのことで

代わりに残っている「左下の親知らずを使って移植してみるか!?」と提案 

  

患者さんの了承を頂き、紹介状をわたし、

医療センターの湯浅先生に移植をしてもらい

EEデンタルへ

2023 EEdental KUM (2).jpg

綺麗に親知らずを移植してくれています。

移植歯の初期固定はスーパーボンドを使用、EEデンタル来院時には固定期間が終った所です。

   

移植から4週間後ここからまず神経の治療を行います。

*移植した歯は神経が死んでしまうので、移植を行い初期固定が終わったら速やかに神経治療を行います。

「歯を抜いた=神経・血管を切断した」 歯を体の中に戻しても神経・血管は繋がりません。

2023 EEdental KUM (3).jpg

ここから仮歯を入れ、骨が出来上がってきてくれるのを待ちます。

仮歯を2~3か月後には仮歯を入れて柔らか目のものから咬めるようにします。 

 

移植後半年、骨もできつつあり症状もないことより

2023 EEdental KUM (4).jpg

フルジルコニアを入れました。 

  

久しぶりに来院があったのレントゲンでチェックさせてもらうと

2023 EEdental KUM (5).jpg 

 かなりびっちり歯の周りの骨も出来てくれて経過も良好です。

  

移植の成功率はざっくり80%

ただ、この80%をより確実にする為に、口腔外科医が移植を行いその後、歯内療法専門医が神経の治療

 2人の専門医が自分の得意分野を生かすことで成功率を上げて行きます。

 

 

ただ、今回のケースはちょっと出来過ぎかな(笑)

 

 

 

 

 

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何とか神経残せそう!?

患者さんは昔から来院してもらっている40代女性 

前々から左下に物が詰まるようになってきていた。

最近になり、冷たいものが凍み普通にしている時にも弱い痛みを感じるようになってきた。

 

とのこと

口腔内を見ると0.5秒で分かる虫歯!

後はこの虫歯がどの程度神経に近いか!?

 

レントゲンを撮らせてもらうと、

2023 EEdental NAM (1).jpg

虫歯はほぼほぼ神経に到達するぐらいの大きさ。。。 

  

患者さんの症状的にも神経を取る処置が妥当な所か!?

現状の虫歯の大きさを説明し、神経保存の方法とリスク一通り治療方針を説明しました。

 

患者さんはEEデンタルの方針をよく理解してもらっているので、

「任せます」

と言って頂いたので、とりあえず半分ダメ元で神経保存治療を行いました。

  

こういったケース、今はなるべく露髄させないようにシールドレストレーション or AIPC(非侵襲性歯髄覆罩)を選択することが多くなっています。

わざと虫歯を残す治療法「シールドレストレーション」 - EE DENTAL_Blog

大きな虫歯の神経保存処置 AIPC(非侵襲性歯髄覆罩) - EE DENTAL_Blog

 

虫歯を取り切ることよりなるべく神経を将来的に残すことを優先させる治療方針です。

 

という方針だったのですが、

治療してみると、あっという間に露髄(神経が出る)。。。

ただ、神経からの出血はある為 方針変更 ⇒直接覆髄+レジン充填を行うことに

 

術後レントゲン 

2023 EEdental NAM (2).jpg

今回露髄させた所が大きかったので、久々にMTAを使用

 

患者さんには、しばらく多少冷たいものが凍みますよ。 

一過性の弱い痛みなら様子をみて、ダメなのは「ズキズキする痛みが出た」「温かいもので痛みが出る」この場合は処置が違うという体のサインだからすぐに電話してください。

とお話し後は待つ。

  

術後3カ月のインタビュー

普段は痛くはないが、冷たい・温かいで微妙に凍みる

歯ごたえのあるものを咬むと多少痛む

レントゲンでも問題無かったので、とりあえず凍み止めを塗ってもう3カ月待つことに

 

術後6か月 レントゲン

2023 EEdental NAM (3).jpg

症状も落ち着き問題ないとのこと

レントゲンでは問題ないのですが、神経が死んで症状が取れることもあるので

電気歯髄診断を行うと、微弱な電気で反応がありこれは神経は生きている!  

今回の場合は、うまく行きそうな雰囲気が出てきました!ヾ( ̄ー ̄)

 

このまま様子をみることにしました。

  

 

注意:

経験上、大きな虫歯でも神経が残る場合もありますが、何割かは神経が死んできてしまう場合もあります。

また覆髄歯(神経を残した歯)は極々稀に1年以上経過して痛みを出す歯もあるので、しばらくは経過観察が必要です。

 

 

神経関連でいうと現在、神経再生の治療が出てきています。

費用は80万ぐらいです。

因みに今回の神経保存治療費ケース 直接覆髄2.5万+レジン治療7.5万 トータル10万円+税

*神経が残らなかった場合は 根管治療+土台の費用が別途必要になります。

歯髄を残す治療の価値というのは非常に大きいと個人的には思います。

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神経を残すクラック治療と自分なりの破折診断法

2回連続で歯のヒビのケースを書きましたが、

破折・ヒビが原因のフィステル(膿)×3 保存治療を行ってみました - EE DENTAL_Blog

ヒビが入った第一大臼歯の保存 - EE DENTAL_Blog

 

今回もヒビケース ただ、「神経を保存したケース」

昨日書いた患者さんの反対側の歯:ヒビが入った第一大臼歯の保存 - EE DENTAL_Blog  

初診時に右下も咬んだ際に変な感じがあるとのことで顕微鏡で見せてもらうと第一大臼歯の遠心にクラックがあり、一応患者さんに将来的に左下の歯と同じ運命をたどる可能性が高いことを説明させてもらいました。

 

根管治療半年後の左下の検診時に再度右下6を診察すると

2023 EEdental NAK2 (1).jpg

下から2本目

前回より明らかにクラックが開き黒い色素が入っています。

患者さんに症状を聞くと「パンや繊維質のものを咬んだ際に痛みがある」とのこと

この咬んだ時だけ痛いというのは、折れている歯に出る典型的な症状の1つ・・・

   

レントゲンを撮っても

2023 EEdental NAK2 (2).jpg

所見的に全く問題がないように見えます。

 

なぜ歯が折れるのか!?

これは固いものを咬んだりしたからではなく、原因はだいたい夜間の「歯ぎしり」

現代人はどんなに歯磨きを頑張っていても、咬む力まである程度コントロールしないと歯は失われます。

 

ちょっと前にも書きましたが、神経が生きている天然歯が折れる歯は

①犬歯誘導ではない、②折れる歯は非機能咬頭の内斜面に強いガイドがある、③咬頭の展開角が急な方も折れやすい

 

今回のケースは①と②が当てはまります。

2023 EEdental NAK2 (3).jpg 

横にギコギコ歯ぎしりをすると赤で示した部分にガイドがあり

2023 EEdental NAK2 (4).jpg

歯を引き裂くような赤矢印方向に力が加わります。

黄色矢印はエナメル質のクラック 黄色〇部分は歯がかけた所 

ただしこの黄色部分が問題を起こすことは稀なので、このままでも大丈夫と判断しています。

*歯髄(神経)方向に破折線が進行することは見たことがありません。咬み合わせによるベクトルの問題だと推測しています。

   

この非機能咬頭のガイドですが、犬歯のガイドがすり減り奥歯にガイドが移ってしまい起こるので年齢的には40代以上の方が殆どです。

 

*かなり難しい話をしていますね(笑)

 

またこの第一大臼歯の遠心舌側咬頭

2023 EEdental NAK2 (5).jpg

口頭頂を繋げるラインで見ても1本飛び出しています。

 

年に数件生活歯の破折を見させてもらい観察していると、ある程度同じような共通所見があります。

  

因みに神経を取ってクラウンを入れた歯などは

2023 EEdental NAK2 (6).jpg

この方向で縦に破折線が現れます。

(生活歯:近遠心方向 失活歯:根尖から歯冠方向)

*神経がある歯、無い歯でも破折線の入り方は異なります。

  

今回の右下6はまだ破折でも初期の段階で、神経の電気歯髄診断でも「1」という値で正常値だったので

神経は残したまま、フルクラウンにして歯の保存を行いました。

 

2023 EEdental NAK2 (7).jpg

咬合面をガサっと削ってみると、中心窩あたりまでクラックが入っていましたので

このクラック部分を激細のダイヤモンドバーで削り、レジンにて補修

 

歯肉辺縁辺りにマージンを設定

2023 EEdental NAK2 (8).jpg

破折線があった部分の白いものがレジン

 

その後、仮歯を製作し

2023 EEdental NAK2 (9).jpg

これで1~2カ月程度生活してもらい、痛みがないことを確認して本歯を製作していきます。

本歯は咬み合わせを少し低くした状態で入れます。(弱った歯なので)

 

反対側の左下のように、クラックが進行しそこに細菌感染が起こり神経が死んで膿んでしまうとこのような神経の保存は行えませんが、今回の場合発見が早かったのでまだ神経保存の選択肢がありました。

 

歯の治療において、治療の介入の時期というものは非常に重要で後手になればなるほど

治療の選択肢はなくなり、また治療難度も高くなり抜歯が近づいてきます。 

 

今回の歯、歯髄が残ってくれれば長く使えると思います。 

 

こんなこと書いていますが、私は咬合(咬み合わせ)の学問不得意です!

自費診療医で良かったと思う1点は、やはり一人の患者さんの話を聞く時間や口の中を観察させてもらう時間が長いので、共通点が見つけやすく経験値が積みやすい点ですね。

卒後勤務医の頃の1日30人治療していた時期は患者さんとはあいさつ程度で話なんて一切していなかったので、完全に作業でした。。。(まぁ、勤務医なので仕方がないんですが)

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