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破折・ヒビが原因のフィステル(膿)×3 保存治療を行ってみました
- 2023年5月 9日 09:01
- 歯内療法日記
患者さんは40代女性
3カ月前ぐらいから歯茎に白いものが出来てきた。
痛みはないが歯を押した時、咬んだ時に違和感を感じる。
レントゲンを撮ると、
根尖病変が3つあるのですが、
びっくりしたのがフィステル(膿の出口 ニキビのような所見)の数 3つ。。。
病変それぞれが独立して排膿路を確保している状況
根尖病変が見られても、多くの場合はフィステルなし or 1つ
たまに2つなのですが、数年に1人ぐらいでしょうか、フィステル3つ
患者さんには残す治療はした方がいいが、ちょっと難しそう。
もしかしたら外科的歯内療法になる可能性があることを説明
患者さんは何とか残したいとのことで治療スタート
インレーを外し、詰めてある人工物を取ると・・・
神経方向に向かって走るクラック(ヒビ)!
なるほど、歯が折れてそこから細菌感染して神経が死んでしまったのか。。。
そうなると、咬んだ時だけ痛いという症状の整合性が取れる。
患者さんにクラックのことを説明し、残す方向でトライさせてもらいました。
隔壁を行い、歯の中の神経管を探し出し徹底的に根管洗浄
治療2回目
3つのうち2つのフィステルは消えましたが、1つ「ん~、消えたと判断していいのか!?」という微妙なフィステルが・・・
患者さんに説明行い、もう1度根管洗浄を行う。
治療3回目
腫れも痛みもなくフィステルも消えたことより、根管充填
3壁健康なしっかりした歯は残っていましたが、クラックがあることよりクラウンにすることに
仮歯を作り10か月後
フィステルも出来ていなく骨も出来てきてくれています!
ヒビから神経が死んでしまったケースですが、何とか保存出来そうです。
患者さんから継続してクラウンもやってと言われたので、この後クラウンを製作します。
*この場合、クラウンの咬合(咬み合わせ)の与え方と咬合面の形態に注意を気を使います。
クラックが入った歯の取り扱いはステージごとに分けているのですが、そのステージ判断が難しいのです。
昨日は他の患者さんで経過をみてもらっていた歯 顕微鏡で見ると明らかにクラックで歯が開き始めている。
ただ、無症状で今回のような根尖病変はなく、電気歯髄診断も微弱な電気で反応し生活歯と判断
この場合は根管治療なしでクラウンで治します。
クラックが入った後に、強い冷水痛&温水痛&咬合痛が出てくれば神経の生死を判断し、根管治療+クラウン
クラックが入って根尖病変(膿)が出来た場合 ダメ元で根管治療を行い予後が良ければクラウン
完全に2つに割れた場合 ⇒ 私は抜歯を勧めます。
*どうしても残したい人は・・・接着修復の先生の歯科医院に行ってもらいます。
個人的にはこういったクラック
しっかりした第2大臼歯がある第1大臼歯の場合は早目なら比較的予後がいい、第2大臼歯は・・・
治らず何本か抜歯をしています。
私なりの考察:最後大臼歯(歯の一番奥歯)は歯の負担が大きくクラックが進行してしまう、第2大臼歯がしっかりしていれば第1大臼歯は守られるので奥から2本目の歯にクラックが入ったケースは予後が良い。
追記:
【神経のある歯が折れる方】は、①犬歯誘導ではない、②折れる歯は非機能咬頭の内斜面に強いガイドがある、③咬頭の展開角が急な方も折れやすい
不思議なんですが、神経の生きた歯のクラックってなぜか前歯では起こらず臼歯(奥歯)に起こり、上顎は第2小臼歯、下顎は第1・2小臼歯には今の所見たことありません。
結局、歯の寿命って、最後は咬合(咬み合わせ・咬む力)なんだなと思います。
追記2:
無事クラウンが入りました。
だいぶ骨も出来てきてくれています。
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