ヒビが入った第一大臼歯の保存
- 2023年5月10日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは50代女性
主訴は左下第一大臼歯のレントゲンを撮った所先生に化膿しており神経の治療をした方がいいと言われたとのこと
この歯の経過
30代の頃から咬むと痛かった。
40代で温かい物で痛みが大きくなってきた。その際クラックを疑いインレーを入れた。
55歳で歯茎が腫れてきた為、レーザー治療を3回行った(膿んだ部分を焼き取る治療でこげ臭かった)がその後も度々腫れてきている。
今はフィステル(膿の出口)が2つあり歯が浮いた感じがある。
レントゲンを撮らせてもらいました。
メタルインレーが入っているのですが、神経が死んでしまっています。
過去に根管治療をした形跡なし。
こういった生活歯(神経のある歯)がたまに折れてしまうことはあるのですが、
初期のうちだとレントゲン診断では所見は出てきませんが、この場合でも患者さんに症状を聞くと破折は推測できることがあります。
また、この生活歯の破折は結構経験がものをいう分野で、個人的には破折の診断で必須なのは顕微鏡 10倍以上の拡大率でみると破折線がよく分かります。
話を今回の歯に戻して、
経験上、第二大臼歯がしっかりしている第一大臼歯のこのパターンの時はまだ歯の保存がうまく行くことが多いので患者さんに保存治療を提案
患者さんも残せるのであれば残したいとのことで治療を行いました。
インレーを外すと歯髄に繋がるヒビ
顕微鏡治療で使用している極細のダイヤモンドバーで可能な限りヒビを追います。
ヒビから神経に細菌が中に入ってくる可能性が高いので、ヒビ部分はなるべく削って行きレジンで埋めます。
その後は通法の根管治療を行い治療一回目終了
レントゲン
*黄色い部分がクラックにレジンを埋めた所(極細のダイヤモンドバーを使用)
治療二回目 症状もないことより根管充填
根管充填はガッタパーチャー使用、即日レジンコア+仮歯を入れます。
健康な歯質が沢山残っていますが、破折が進行しないようにクラウンします。
ここから定期的にレントゲンを撮っていきます。
*EEデンタルで根管治療をした歯に関しては、6か月後、1年後にレントゲンを撮らせて頂きます。
10分のレントゲン検診に関しては治療費はかかりません、骨の出来が遅いケースに関しては2年後のレントゲンを撮らせてもらうことも年に2~3件あります。
半年後のレントゲン診査
腫れやフィステルなどもなく、痛みも無いそう。
レントゲンでもだいぶ骨が出来てきてくれています。
この状態であればクラウンに替えても問題無さそうなので、クラウン(本歯)を作っても問題ないと思います。
何も治療したことのない歯でも咬むと痛い歯などは折れていることが稀にあります。
またそういった歯に関してかかりつけの先生も診断に困っているような場合は一度歯内療法専門医などに相談した方がいいと思います。
次回もクラックケースを
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