無理して攻めない根管治療
- 2023年5月16日 09:06
- 歯内療法日記
2023年 口腔内写真
この中に3年前に神経を取った歯が1本あります。
どこか分かりますか!?
患者さんは19歳女性(2020年)
奥歯に痛みが5日続き、緊急歯科で抗生剤をもらい服用中
その際先生に、「奥歯の神経が死んでいる可能性がある」ことを話される。
とりあえずレントゲンを撮ると
口蓋根に根尖病変様の所見あるように見えますが、一応CBCTでも確認して見ると
やはり口蓋根に根尖病変が見られ、近心頬側根は石灰化が著しく根管が見えない。。。
電気歯髄診断でも右上6には反応がなく、この歯の神経が死んでしまい痛みが出ているものと思われる。
また咬み合わせのチェックを行うと、この歯の咬み合わせが非常に強く当たっており
虫歯や治療痕などはないことより咬合により神経が死んでしまったと推測されます。
患者さんとお母さんに根管治療の必要性を話
3mmの穴から根管治療を1回法で行いました。
案の定、MB根は石灰化しており神経管は見当たりませんでした。
*CBCTで見えなくても根管を探せることはありますが、今回の場合はないと判断しました。
歯内療法専門医だから石灰化した根管でも探せるんじゃないか!?と思われる方もいると思いますが、
それは違います、オリジナルの根管がないものは治療できません。
私は先端が0.1mmのマイクロオープナーという道具で根管の入り口を探索して、微妙でもヒントがあれば0.08mmのファイルで治療を行います。
*先端が0.06mmのファイルもありますが、細すぎて押すとすぐに使えなくなるので根管の探索には不向きです。
逆に言えば、先が切れるヤスリで問題ない部分をゴリゴリ削る方がパーフォレーションという医原性の問題を引き起こします。
過去の日本の裁判で、根管充填は根の先まで入れなさいという訳の分からない判決があるので、躍起になってゴリゴリやる先生いますが、それって医学的に正しいのか!?
裁判の判決=医学的に正しいとは全く思いません。
今回の病変は口蓋根ですが、口蓋根は根の先まで治療は出来ています。
で、最初の口腔内写真は2023年来院の際のもの
レントゲンを撮らせてもらうと、口蓋根の病変は綺麗に治癒してくれています。
またファイルの入らなかったMB根には問題は見られません。
歯の色も
術前のグレーの歯よりは改善しているように見えます。
歯内療法専門医は色々なタイプ、考え方の先生がいますが。
私は綺麗なレントゲン所見の為に健康な問題ない部分ゴリゴリ削ってガッタパーチャーは入れませんね( ^ o ^ ) σ
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