パフォレーションによる痛み
- 2023年5月31日 09:03
- 歯内療法日記
患者さんは30代女性
3カ月前から根管治療(抜髄)をスタート、痛みが続いているが先週レジンコアまで入れた。
でも痛い!
現在の症状は普通にしている時にも痛むし、歯を磨いて歯を触るとt特に痛む。
何とか痛みを取って残せないか!?
レントゲンを撮ると
綺麗な根管治療がしてあり、特に根尖病変は見られません。
ただ、打診などで根管治療中の歯を触ったりするとこの歯だけ大きく痛みあり。
患者さんに痛みの原因はこの歯であること、抜く前に一度保存治療をしてみるか!?
患者さんの了解を得て治療を開始
レジンコアを除去していくと・・・
かなり大きなパフォレーションを発見!
*パフォレーション:歯を削り過ぎて、歯に穴を開ける医原性の問題
歯の中から出てくる出血。。。
ここまで大きく開ければ、前の先生も「パフォった。。。」と分かっていたと思いますが・・・
とりあえず、穴がかなり大きかったので止血の為に水酸化カルシュームを入れこの日は終了
*水酸化カルシュームには止血効果があります、血が止まらないと穴を埋める処置ができません。
2週間後の治療2回目
患者さんに症状を聞くと、「痛みは無くなった」「前のような嫌な感じも無くなった」とのこと
根管内からの出血も止まっており、穴の開いた部分をMTAでパフォレーションリペア
入れてあるガッタパーチャーは戦略的に取りませんでした。
*パフォレーションが大きすぎて、ガッタパーチャーを除去するとこの穴から上顎洞の方にガッタパーが出そうだったので。
仮歯で経過を見ていき、経過も良好だったので
術後1年 セラミッククラウンを入れさせてもらいました。
結論的にいえば、パフォレーションによる歯の痛みでした。
裸眼の治療だと見えない部分を手の感覚だけで治療を行う為、このように歯に穴を開けてしまい ⇒ 抜歯
となることが少なからずあります。
そのリスクを減らすには顕微鏡などの拡大ツールで歯を見ながら治療を行うことでパフォレーションなどは回避出来ます。
難しいのですが、日本の保険診療は治療費が安すぎる為の弊害の1つだとも思います。
(物価を上げて行こうという機運がある中、保険医療費は上げないのか!? 材料費は値上げラッシュなんですが・・・)
今月、別件で来院されたので久しぶりにレントゲンを撮らせてもらいました。
外に出たMTAがだいぶ吸収されています。
患者さんは問題なく普通につかえているとのこと。
歯の治療は悪くなってからだと、治療の難易度がかなり上がった状況になるので、
トラブルにあった歯は専門医に早目に頼んだ方が無難だと思います。
そもそも抜髄スタートで抜歯は・・・ 悲しすぎますよね(*_*)
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